第 1 回
九州各県議会議員研究交流大会

第 2 分 科 会
【福岡県議会 三田村統之議員】

皆さん、こんにちは。お疲れさまです。
 福岡県議会の地方分権推進対策調査特別委員長をいたしております関係で、きょうは、私がご報告を申し上げたいと思います。先ほど、野村先生の大変すばらしいお話を聞いて、どうも頭を下げにくくなっておりますが、準備をいたしておりますので、それを見ながらご報告にかえたいと思っております。
 まず、これまでの地方分権の流れと本県議会とのかかわりについて触れてみたいと思います。平成9年に、ご承知のとおり、国の地方分権推進計画における考え方が示される中で、本県議会では「地方分権推進調査特別委員会」を設置いたしまして、本格的な地方分権時代の到来に備えて、組織機構、定数の見直し、さらには地方税財源の充実確保に向けた議論を2年間行ってまいりました。2年間、特別委員会をやったわけでございますが、私どもは、地方分権推進一括法が国で制定をされて以降、地方は、大変大きな期待と夢を抱いておったわけでございますが、なかなか具体的にその後ならなかったものですから、11,12,13,14,4年間は、この委員会を実はやりませんでした。
 ところが、平成15年度には、三位一体の改革が政府から提起をされまして、特に財源確保への影響、あるいはまた、県と市町村のあり方の間題など、地方分権をめぐる新たな課題に対応しなけれぱならないという状態になりまして、再度、地方分権推進調査特別委員会を設置いたしたところでございます。委員会では、審議に当たって、次の3つのことを柱にさせていただきました。1つは、三位一体改革とその対応、2つ目に市町村合併の推進、そして3つ目に、市町村合併後の県のあり方。この3つを柱として、特別委員会を実はやったわけでございました。
 市町村合併につきましては、福岡県では、平成12年度に策定をした「福岡県市町村合併推進要綱」に基づき、合併の枠組みの参考として、市町村合併の類型や合併パターンを示すとともに、各種の支援策を講じながら、市町村の具体的な取り組みを、県といたしまして促してきたというのが現状でございます。委員会としましても、県のスタンスとして、地域の自主性を尊重した上で、地域の実情に応じたアドバイスや指導を行っていくよう求めたところであります。
この結果、本県における合併の進捗状況は、平成15年4月の宗像市と玄海町の合併を皮切りに、3市16町3村が合併済み、もしくは決定がなされ、本県の市町村数は24市65町8村から27市49町6村に推移することが、現時点では確実になっておるところでございます。今後、市町村合併が進み、基礎自治体である市町村の規模が拡大してまいりますと当然、県としても、より広域的な機能強化が必要となり、新しい役割を持った自治体としての体制が求められるところでございます。
 その手段の1つとして、県合併あるいは道州制ということが挙げられます。全国的に見ますと、北東北3県においては、近い将来の道州制移行を視野に入れた広域連携の取り組みを展開しておりますし、北海道では、道州制特区として、国の機関である北海道開発局との機能統合などの具体的な取り組みが始まろうといたしております。私たち九州における取り組みといたしましては、昨年の2月に、九州地方知事会のもとに、「道州制等都道府県のあり方を考える研究会」が設置され、仮に九州が道州制に移行した場合の課題などについて論点整理を行い、この春の知事会議に報告されると聞いておるところであります。私どもの特別委員会におきましても、考え得る広域自治体の事例、すなわち、県連合、県合併、道州制、連邦制の4つの制度に関しまして、それぞれのメリット、デメリットについて調査、議論を行いました。
 道州制を例に挙げて紹介しますと、道州制は国と地方との役割分担を根本から変えるものでありますので、国の出先機関等との二重行政の解消によって、大幅な行財政改革が期待できる。また、国からの権限、税財源の大幅な移譲が期待できる。重点投資や戦路的な施策の展開ができ、地域の競争力の向上につながることが期待できるといったメリットが考えられる一方、地域間の利害対立が起こるおそれがあるため、重点投資の妨げになるのではないか。また、国の出先機関の廃止・縮小に対して、国の各省庁の抵抗が強いのではないかという懸念が生じるとの報告がなされました。
 道州制につきましては、現在、国の第28次地方制度調査会で本格的に議論されていることもあり、どうしても関心が高くなりがちですが、我々の委員会といたしましては、必ずしも道州制ありきという前提ではなく、それぞれの制度をさまざまな方向から検討して論点整理を行い、どの制度がすぐれているかということを九州地方知事会あたりで決めてから、次の段階へと行くよう提言を行ったところであります。いずれにせよ、県レベルの広域調整機能が発展していくとなると、当然、県境を越えた機能をどうしていくのかというのが課題になってくるわけでありますが、それに際しては、国からの権限や税源のスムーズな移譲が行われ、地方がもっと力をつけることが必要不可欠であります。
 道州制を含めた新たな広域自治体の間題というのは、これから5年先、10年先の近い将来の話なのか、あるいはもっと長いスパンで考えるべきではないのか、今の時点ではまだ不透明な部分が大きいと言わざるを得ません。しかし、九州地方知事会でも、九州各県が連携して、行政効率の視点から、共同でやれる事業はできるものからやっていこうという機運があるようです。具体的には、ご承知のとおり、九州7県で合意し、本年4月より実施される産廃税の導入、あるいは、観光戦略会議の設置もなされたところでございますし、これから、九州の農産物の海外戦路という大きな課題がございますから、こういうことも検討に値する課題ではないかなというぐあいに考えておるところでございます。県の今後のあり方というのは、国、市町村との関係をにらみながら、今後、具体的に研究・検討していかなけれぱならない課題であると認識しておるところでございます。以上で、福岡県議会のご報告を終わりたいと思います。お手元に、委員会活動状況を配付いたしておりますので、ご参考にしていただければ幸いでございます。ご静聴ありがとうございました。