H16.3.8  質問内容
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〜一般質問内容(九州新幹線長崎ルート・佐賀県観光の振興について〜
2004.03.08 : 平成16年2月定例会(第4日) 本文

◎石井秀夫君(拍手)登壇=
自由民主党の石井です。私は六項目について質問をいたします。
 まず最初に、九州新幹線長崎ルートについてお伺いをいたします。
 いよいよ九州新幹線が動き出します。平成三年九月の着工から約十二年半、九州新幹線鹿児島ルートの約半分に当たる百二十七キロメートルの新八代−鹿児島中央間が三月十三日に部分開業いたします。これまで最速三時間四十分かかっていました博多−鹿児島中央間が、この開業によりまして最速二時間十分へと大幅に短縮され、熊本−鹿児島中央間は最速五十六分、新八代−鹿児島中央間は最速三十四分で結ばれることになります。
 九州の南北がぐっと近づくと同時に、九州内での交流が加速され、地域の活性化、地域経済にも多大な波及効果をもたらし、大きな弾みがつくことが予想されます。そして、全国からも、アジアを中心に海外からも注目を集めています。また、博多−新八代間の工事も順調に進んでいると聞いておりまして、全線開通は二〇一二年ごろの予定になっております。
 二〇〇四年度予算案に事業費約八百億円も盛り込まれておりまして、開業が二年ほど早まる可能性が出てきております。この全線が開通をいたしますと、人、物の流れは革命的に変わると思われます。一方で、この鹿児島ルートの完成により大幅な時間短縮が図られることから、観光客等が南九州に奪われて、佐賀や長崎が取り残されるのではないかという不安もあります。このため、これからは長年の懸案であります長崎ルートに真剣に取り組んでいかなければならないと思っております。
 長崎ルートも含めた整備新幹線の未着工区間の見直しにつきましては、現在、与党などで検討が行われていると聞いておりますが、財源が厳しい中で北陸新幹線や北海道新幹線との競争になっている状況であり、着工区間の決定に際しては、長崎ルートの場合、並行在来線の経営分離についての地元同意が最大の課題となっております。しかし、並行在来線の地元市町は、JR長崎本線存続期成会を設立され、平成八年に県が提案した第三セクターによる経営存続案を拒否されて以来、現在も経営分離に同意されていないと聞いております。
 長崎ルートが今回の見直しにおいて着工区間に位置づけられるためには、着工区間決定までの限られた時間の中で、並行在来線の課題を一つ一つ解決していくことが大変重要であり、そのための協議を地元としっかり話をする時期に来ていると思います。
 そこで、長崎ルートに対する基本的な考え方についてでありますが、長崎ルートの整備について、これまで県の基本姿勢がはっきり見えないと感じておりました。県は、長崎ルートについて基本的にどのようなお考えをお持ちなのか。また、これまでどのような取り組みをされてきたのか、お伺いをいたします。
 次に、並行在来線問題へのこれまでの対応についてであります。
 県は平成八年以来、並行在来線が存在する地元に対しどのような対応をされてこられたのでしょうか。
 そして、今後の取り組みでありますが、未着工区間の見直しの決定までに余り時間がありません。長崎ルートの整備を推進するためには、並行在来線問題を解決する必要があります。今後、この並行在来線問題に対してどのように取り組んでいかれるのか、古川知事にお伺いいたします。
 次に、佐賀県観光の振興についてお伺いをいたします。
 県では、平成十三年を観光元年と位置づけ、今年度までの三年間、“観光県さが”ダイナミックキャンペーンに取り組まれてまいりました。佐賀デスティネーションキャンペーンなど、全国へ向けた大規模なPR等を実施されましたが、昨年は折からのはなわブームとも重なりまして、佐賀県の認知度は大きくアップしたものと思っております。
 しかし、そうしたものが観光客の増加につながったかと申しますと、そうでもないようで、旅館とかホテル関係者の話などを総合いたしますと、増加傾向にはあるものの、宿泊客は減少し、観光客の消費額も伸び悩んでおり、なかなか期待どおりにはふえていないようであります。
 九州・山口経済連合会によりますと、九州観光が苦戦をしている要因の一つは、各県がPR活動をばらばらに展開していること。例えば、地域が一体となり誘致活動を展開している北海道に比べ、九州ブランドの浸透はいま一つで、首都圏やアジア各地での宣伝活動も不足していると分析をいたしております。
 九州を訪れる観光客の消費額は、年間二兆円だそうです。基幹産業の自動車出荷額は年間一・五兆円だと言われておりますけれども、それをも上回っております。ことし三月からの韓国からの訪日修学旅行のノービザ化、先ほどから話が出ております八月一日開館予定の佐賀城本丸歴史館、あるいは九州国立博物館の開館などが予定をされておりますだけに、各県が足並みをそろえた観光浮揚策が必要になってきます。そして、短期、中期、長期の観光戦略が大変重要だと思っております。
 今後は、今回のキャンペーンの成果及び反省も踏まえて、実際に観光客の方に来てもらうための施策を展開してほしいと、そういうふうに期待をいたしております。
 まず、今後の観光施策の展開についてでありますが、“観光県さが”ダイナミックキャンペーンの成果と反省を踏まえ、今後の観光施策をどのように展開されようとしておられるのか。また、最近、アジアを中心に増加している外国人観光客につきましては、誘致対策や受け入れ態勢の整備等が大変重要だと思っています。

 次に、外国人観光客誘致対策についてであります。
 全国的に国内旅行が低迷する中、政府が海外からの観光客増加を目指す観光立国構想に本格的に取り組み始めました。具体的な戦略を練るために小泉首相は、この三月にも民間人を中心とした推進委員会を設置するようです。観光立国構想について、首相は一月の施政方針演説で、二〇一〇年までに日本を訪れる外国人旅行者を一千万人に倍増させるという考えを表明しています。
 観光立国構想の背景には、外国人観光客が日本国内でお金によって、特に観光関連産業を振興し、地方の景気回復に結びつけたいというねらいがありまして、ビジットジャパンキャンペーンを展開中でもあります。本県も中国、韓国などアジア諸国からの観光客誘致に積極的に取り組む必要があると思います。また、外国からの観光客がふえるにつれ、観光施設や宿泊施設内で外国語表記による案内や誘導表示の整備、語学や接遇のレベルアップなど、ソフト面での受け入れ態勢の整備が重要だと思います。こういうことをどのように考えておられるのでしょうか。
 そして、最後になりますが、観光連盟の組織強化対策についてであります。
 古川知事は二月二十三日の提案事項説明の中で、県を取り巻く社会経済情勢の変化や厳しさを増す財政状況を踏まえつつ、それぞれの政策課題に対して戦略を持ち、前例にとらわれない新しい施策の創造、展開が必要だと述べられました。また、観光県さがの推進については、観光地づくりを推進するため、官民一体となった観光さが魅力アップキャンペーンを実施するとともに、これらの事業展開を担っていく佐賀県観光連盟の体制を強化していくとも述べられました。
 私は、その一つの方策として、広く全国から公募をも含めた民間からの人材の登用の確保も考えていいのではないかと思っております。観光立県さが実現のためという願いを込めて、古川知事にお伺いをいたします。

 続きまして、地域水田農業ビジョンの策定についてであります。
 地域水田農業ビジョン案の策定期限が三月末までと、あと一カ月を切りました。米政策は今年度から大きく変わり、その第一歩が地域水田農業ビジョンづくりであると思います。
 米政策改革基本要綱によりますと、市町村は生産者団体と一体となってビジョンを策定することとなっていますが、JAの役割も大変大きいものがあります。行政と連携してビジョンづくりを急がなければなりません。
 ビジョンの策定は、産地づくり対策交付金を受ける前提となるだけでなく、地域の稲作や担い手の育成、地域農業や地域社会をどうするのか、地域自身が地域の将来像を描くことでもあります。地域の将来像は、個人だけではなく、地域に住む人たちが話し合い、知恵を絞って描く必要があります。小手先のビジョンづくりだけは避けたいと思います。
 大切なことは、地域住民の話し合いであり、みんなが納得したビジョンにするべきだと考えます。十六年産米の個人ごとの生産目標数量の配分と、地域における助成金の使途、水準が早急に固まらなければ、春の農作業に間に合わないおそれもありまして、その意味からもビジョンづくりを早く仕上げる必要があります。
 今回のビジョンづくりは、地域農業を守るため、住民がお互いに協力し合い、農地、農業の将来をだれに託すのかを確認するよい機会でもあります。最も重要なことは、このビジョンづくりの中でその中身をいかに充実させていくかにかかっております。
 平成二十年度からは、米の生産調整が生産者と農業団体が主役となるシステムに移行されます。今回の米改革への対応いかんによっては、地域間で競争力の格差が大きく広がることも予想されますことから、議論を本格的に行い、真に地域農業の将来像を明確化するビジョンづくりを進める努力が必要であると思っております。
 いずれにいたしましても、地域水田農業ビジョンの策定が期限に間に合わないような事態は絶対に避けるべきだと思っております。おくれている地域に対する県の指導も必要だと考えます。
 県では、この地域水田農業ビジョンづくりに対しまして、これまでどのような対応をされてきたのか。また、各地域における現段階での進捗状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
 
次に、教職員の不祥事についてお伺いをいたします。
 今年度、県内では教職員の不祥事が続いております。特に交通違反、交通事故にかかわる懲戒処分が相次いでいるという状況のようであります。このような不祥事は、県民の教育に対する信頼と期待を裏切るものであり、教職員の服務規律を徹底させるべきではないかと思っております。
 そこでお伺いをしていきますが、一つ目は懲戒処分の状況についてであります。
 今年度は、例年に比べ懲戒処分の件数が多いように思われますが、過去五年間の処分の状況と今年度の状況をまずお伺いいたします。
 二点目に、不祥事発生の原因です。
 このような不祥事は、あってはならないと思っておりますが、不祥事発生の原因についてどのようなお考えをお持ちなのでしょうか。
 三番目に、採用後の服務規律の指導についてであります。
 教職員につきましては、職務上、児童生徒、保護者、地域社会との信頼関係が大変重要だと思います。そのためには、不祥事防止に限らず、絶えざる服務規律の保持が必要であると思いますが、採用後、どのような服務規律の指導をされているのでしょうか。
 四番目に、現在の不祥事防止対策についてであります。
 不祥事防止のため、県教育委員会が積極的に各県立学校教職員を直接指導したり、あるいは市町村教育委員会を通じて小中学校教職員を徹底的に指導すべきであると私は考えておりますが、現在どのような指導をされているのか、お伺いをしたいと思います。
 五番目です。最後になりますが、今後の再発防止の対策であります。
 今後、この不祥事撲滅に向けてどのような対策を考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。今年度は半減した、あるいはゼロになったと、そういう答えをぜひ聞かせていただきたいと、そのように期待をいたします。

 次に、子供たちの安全対策についてであります。
 多くの方々の記憶にまだ新しいと思いますが、平成十三年六月の大阪教育大学附属池田小学校における児童殺傷事件は、学校関係者のみならず社会全体に大きな衝撃を与え、改めて子供たちの安全、学校の安全について見直しを迫られたものでありました。その後、全国、そして県内におきましても、さまざまな安全対策に取り組まれてきたと思います。
 しかし、そうした中で昨年十二月、京都府の小学校で刃物を持った男が侵入し、児童が負傷するという事件が発生いたしましたことは、まことに残念でありました。このことは、池田小学校事件の後、直ちに取り組むべきことを十分に実施してこなかったのではないかということを指摘する声も聞いております。
 一方で、学校外に目を転じてみますと、最近、県内の各所で、登下校中の子供たちが不審人物に声をかけられたり、無理やり車に連れ込まれたりするような悪質な略取事件も発生をいたしております。大変危惧の念を感じております。
 そこで、まず不審者侵入に対する安全対策ですが、附属池田小学校事件以来、県教育委員会として学校への不審者侵入に対する安全対策について、どのような取り組みをされてきたのか、お伺いいたします。
 そして、犯罪被害防止ですけれども、登下校中の子供たちの犯罪被害防止については、保護者や地域社会や警察などとの連携協力が大変重要だと思っております。どのような取り組みをされてきたのでしょうか。
 そして、防犯訓練についてであります。
 子供たちに対する安全対策として、学校内外のさまざまな事件を想定した防犯訓練が大変重要だと思っております。その一方では、この防犯訓練が子供に過剰な恐怖心を与えない配慮も大切だと思います。その取り組みについてお伺いをいたします。

 次に、警察行政についてお伺いをいたします。
 連れ去り事案等の防止と現状についてお伺いをいたします。
 全国的に未成年者が被害者となる連れ去り事件が、県内でも多発をいたしております。最近では、鳥栖市内で下校中の小学生が車で連れ回される事件、また幼稚園児が誘拐される事件が相次いで発生をいたしました。そのほか、武雄市内でも小学生が連れ去られそうになるなど、佐賀県内でも未成年者が犯罪被害に遭う事件が多発しています。
 この幼児等を含む未成年者を対象とした連れ去り事案等の犯罪は、ややもすれば殺人事件などの凶悪事件に発展する可能性のある極めて悪質な犯罪で、地域住民はもとより、関係者の不安はいかばかりかと推察されます。このような犯罪を防止するために、警察のみならず、地域社会全体で防止対策に取り組んでいかなければならないと思います。
 そこで、未成年者が犯罪被害者となる連れ去り事案等の発生状況について、まずお伺いいたします。
 次に、防止対策ですが、このような犯罪の未然防止を図るため、警察はどのような対策を講じておられるのか、お尋ねいたします。

 次に、福祉犯の現状と対策です。
 少年の福祉を害する犯罪が数多く発生をいたしております。特に、児童買春や佐賀県青少年健全育成条例違反等の犯罪が多発をいたしております。これらの犯罪は、少年の権利を著しく侵害するとともに、少年の身心に有害な影響を及ぼすもので、次代を担う少年の健全育成を図る上でも、また将来にわたる健全な社会形成を図る上でも深刻な問題であります。
 昨年九月には、いわゆる出会い系サイト規制法が施行され、出会い系サイトを利用した犯罪から児童を保護するための法律も整備されておりますが、これは出会い系サイトを利用した犯罪がいかに深刻なものであるかということのあらわれではないかと思われます。少年を福祉犯の犯罪から守り健全育成を図ることは、警察のみならず関係機関を初め、地域社会と協働した対策を推進する必要があるものと思われます。
 そこで、次の二点についてお伺いをいたします。
 一つ目は、少年が被害者となる福祉犯の発生状況についてお伺いいたします。
 二つ目は、少年の福祉を害する犯罪から保護するために、警察ではどのような対策を講じておられるのかお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)

◎古川知事 登壇=
石井秀夫議員の御質問にお答えします。
 まず、新幹線長崎ルートに対する基本的考え方についてであります。
 九州新幹線長崎ルートの整備は、将来を展望した全国高速交通ネットワークの形成に資するものであり、西九州地域の広域的な交流と産業、文化、生活の一体的発展を促進するための交通基盤と認識をしておりまして、県としてはこれを推進するというのが基本的立場であります。
 このため、福岡、佐賀、長崎の三県による建設促進期成会を設置しまして、三県で連携して国などへの要望活動を行い、長崎ルートの整備促進について鋭意取り組んできたところでございます。
 次に、これまでの対応についてでございますが、長崎ルートにおける並行在来線問題については、御指摘のとおり、平成八年に佐賀県、長崎県、JR九州の三者協議により、経営分離後の第三セクターによる経営存続案を策定しまして、沿線市町で組織しますJR長崎本線存続期成会に提示をいたしましたが、存続期成会からは検討に値しないとして拒否をされました。
 その後、沿線市町とは新幹線に関する国の動きなどについて事務レベルでの情報交換は随時実施をしてきておりますけれども、今日まで具体的な協議に入ることはできていない状況でありまして、県としてはこの状況について大変厳しく受けとめをしているところでございます。
 次に、今後の取り組みについてでございますが、九州新幹線長崎ルートを含む整備新幹線の未着工区間に関する平成十二年の政府・与党申し合わせの見直しについては、現在、与党内において検討が行われていると聞き及んでいるところでございます。
 しかし、申し合わせの見直しについて具体的に検討し、最終的な結論を出すための組織である政府・与党の検討委員会は、いまだ設置をされておらず、結論が出される時期が明確になっていないことから、県としては国などの動向を重視して見きわめていくこととしております。
 いずれにしても、九州新幹線長崎ルートを推進するに当たっては、この並行在来線問題が最大の課題であることは十分認識をしておりまして、並行在来線沿線市町との協議をできるだけ早期に行いたいと考えております。
 次に、佐賀県観光の振興についてでございます。
 まず、今後の観光施策の展開についてでございます。
 御指摘にもありましたように、昨年は本県の認知度は上がったということは言えようかと思います。また、観光客数そのものについても、それまでの減少傾向が増加に転じております。これは、一部には佐賀デスティネーションキャンペーンの効果があったものというふうに考えているところでございます。しかしながら、御指摘にありましたように、宿泊客数そのものについては、長引く景気低迷などもありまして、なかなか伸びていないというのが現状でございます。
 これまでの佐賀デスティネーションキャンペーンの成果を踏まえて、一定の数のお客様に佐賀に来ていただくことはできたと考えておりますが、今後、佐賀県にあります素材を磨き上げ、自信を持って、来てくださいと言えるような、また来た人に楽しんでもらえるような観光地づくりをしていくことが必要であると考えております。
 その磨き上げについては、来年度から行うこととしております観光さが魅力アップキャンペーンの中で、例えば、地元産品を使った食の開発でありますとか、観光地をきれいにする活動などの観光地としてふさわしいまちづくりを支援することとしております。
 また、御指摘にもありましたように、観光は県単位だけで考えられるものではございません。これまでも県境を越えた視点での「佐賀・長崎を巡る 西九州キャンペーン」でありますとか、北部三県の長崎街道旅行の商品化事業、そういったものを実施してまいりましたが、これからはこれまで以上に長崎、福岡、または九州一丸となった広域的な、いわばお客様の立場に立った広域的な取り組み、商品開発が必要になると考えております。
 あわせまして、我が佐賀県が観光として何を売り出し、どのように楽しんでいただくかということについて、短期、中期、長期にわたる基本的な戦略をもう一度見詰め直す必要があるとも考えております。こうしたことを含めまして、名実ともに観光県佐賀といったものが振興されるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、外国人観光客の誘致対策についてでございます。
 昨今、さまざまなメディアでも取り上げていただいておりますように、我が佐賀県がアジアとの関係において密接な関係があり、非常にいい位置にあるということで、今後経済発展が見込まれるアジアを中心とするところの海外からの観光客誘致に努める必要があることについては、御指摘のあったとおりでございます。とりわけ外国からの観光客誘致については、一県のみならず広域的な連携による取り組みが何よりも必要であると考えておりまして、九州各県が共同で行っております中国、韓国でのPR、福岡、長崎両県と共同で行う中国からのマスコミの方々の招聘事業、そういったものを実施してきているところでございます。
 私も昨年、遼寧省に行って佐賀県の観光のPRをしてまいりましたが、遼寧省におきましては佐賀県のパンフレットだけでなく、九州そのもののPRも行ってまいりました。現在、九州地方知事会におきましても、九州全体を観光として対外的に売り出していこうという取り組みがなされているところでございます。
 私は今後、現実的に中国、韓国を初めとする海外からのお客様の受け入れを図っていくには、広域的な対応が何よりも必要であると考えておりまして、今後ともそのように努めてまいりたいと考えております。
 また、実際に外国からの観光客を誘致することとなりますと、受け入れ態勢が本当にあるのかというところが問題になってまいります。これまでも言葉や習慣、嗜好などの違いについての研修会を実施しましたり、また、これからは新たに個々の宿泊施設へ旅行業界の経験者をアドバイザーとして派遣しまして、いろんな細々としたことについてもサービスの向上になるように指導を行っていくようなソフト面での支援を充実してまいりたいと考えておりますが、外国からのお客様が安心して行くことができる、泊まることができるという観光地をモデル的にせよ整備をしていきたいと考えているところでございます。
 次に、観光連盟の強化対策についてでございます。
 議員からも御指摘がありましたように、観光というものそのものが民間で行うものが中心となりますだけに、佐賀県観光連盟がもっと県以上に広報宣伝や誘致関係事業を主体的に実施することがこれから必要になっていくであろうと考えておりまして、このために四月からは、まず県から現職の職員を派遣することといたしたいと考えております。
 これとあわせまして、御指摘がありましたように、民間から観光事業に専門的な知識、柔軟な発想、そうしたものを持った人材を民間から確保することによりまして、より効果的かつ機動的な事業の展開を図っていき、もって観光県さがの振興に資することとしたいと考えているところでございます。
 私からは以上でございます。

◎野口農政部長 登壇=
地域水田農業ビジョンの策定についてお答えをいたします。
 このビジョンの策定は、平成十六年度から各地域段階に交付されます水田農業構造改革交付金、いわゆる産地づくり対策交付金の交付要件になっておりますことから、本年三月までにはビジョンの原案づくりを行い、遅くとも本年四月中には市町村、農協等の関係者で構成される各地域の水田農業推進協議会で正式に決定される必要がございます。
 このため県では、これまで各地域におけるビジョンの策定作業が円滑に進められるよう、昨年九月から十二月にかけまして農林事務所ごとのブロック別に検討会を開催し、ビジョンの様式例の提示を行うなどいたしまして、各地域において水田農業推進協議会の設置とビジョンの策定作業の指導を行ってきたところでございます。
 さらに、産地づくり対策交付金の地域別交付予定額や、平成十六年産米の市町村別生産目標数量が明らかとなりました一月以降は、農協中央会と一体となりまして県内のすべての地域水田農業推進協議会に対する巡回指導を行いますとともに、担い手の明確化や交付金の使い方など、具体的なビジョンの内容についてのヒアリングを実施するなどいたしまして、策定作業の取り組みを推進したところでございます。
 そこで、二月末現在におけるビジョンの策定状況について申し上げますと、県内四十九市町村のうち、広域的に取り組む協議会が三地域ございまして、その結果、県内には四十三の地域水田農業推進協議会が組織をされており、このすべての協議会においてビジョンの原案が作成をされております。そのうちビジョンがほぼ完成に近いところが十五地域、原案を協議会で検討しているところが十九地域、原案をまだ協議会で検討していないところが九地域となっております。
 このようにビジョン策定の進捗におくれぎみの地域もありますことから、県としては農林事務所や農業改良普及センターによる徹底した指導を行いまして、予定どおりビジョンの策定が行われるよう努めていくことといたしております。
 いずれにいたしましても、三月末までにはすべての地域でビジョン策定のための協議会が開催されることになっており、遅くとも四月中にはすべての地域でビジョンの策定作業が終わるものと、このように考えております。
 以上でございます。

◎吉野教育長 登壇=
教育関係二点をお答えいたします。
 まず、教職員の不祥事についてでございます。
 第一点目でございますが、懲戒処分の状況についてでございますが、今年度、懲戒免職処分を含みます重大な不祥事が連続して発生いたしましたことは、県民の皆様が教育に寄せられている信頼と期待を裏切るものでございまして、まことに遺憾に存じ上げる次第でございます。
 県内におきます過去五年間、平成十年度から平成十四年度までの教職員の懲戒処分者数は三十五人、うち懲戒免職処分が七人となっております。
 今年度、平成十五年度の状況でございますが、八人に対して懲戒処分を行っておりまして、うち懲戒免職処分が三人という状況でございます。この八人中七人が交通違反、交通事故関係でございまして、交通違反、交通事故関係での処分者数が近年になく突出した人数となっております。
 次に、不祥事発生の原因についてでございますが、教職員の不祥事の原因につきましては、例えば、酒気帯び運転や無免許運転につきましては突発的な事故と異なりまして、本人の認識、心構え次第で完全に防止できるものでございまして、こうしたことを考えますと、教育に携わる公務員に必要とされる高い倫理観、あるいは社会規範に対する意識や自覚の問題が大きく影響しているのではないかと考えております。
 次に、採用後の服務規律の指導についてでございます。
 児童生徒の教育に携わります教職員につきましては、高い倫理観が求められているところでございまして、採用後、各学校におきまして管理職が、教職員としての職責の重要性を十分自覚して行動することや不祥事の防止など服務規律の保持について常日ごろから指導を行っているところでございます。
 さらに、県教育委員会といたしましては、採用時の新規採用職員研修、あるいは五年及び十年経過時の研修、さらに管理職登用時の研修と、さまざまな機会におきまして服務規律の指導徹底を図っているところでございます。
 次に、現在の不祥事防止対策でございますが、現在、不祥事防止のために任命権者としてさまざまな研修会におきまして、各県立学校教職員及び小中学校教職員に直接指導を行っております。また、県立学校及び小中学校の管理職に対しましては、学校訪問の機会に直接指導を行っているところでございます。
 さらに、年度当初、あるいは長期休業前等には綱紀粛正、あるいは服務規律の保持につきまして通知指導を行っておるわけでございますが、この通知の中では、飲酒運転等の危険性が高く悪質な違反につきましては懲戒免職を含めて厳しく責任を問うこと、あるいは児童生徒に対するわいせつ行為については原則懲戒免職の処分を行う方針であることなど、不祥事に関しては厳しい処分で臨む方針を明らかにしております。
 さらに、飲酒運転の撲滅実践計画の策定を各学校に指導いたしますことや、いわゆるセクハラ防止につきましてはビデオ教材、あるいは職員間の自由討議等による意見交換など、さまざまな工夫を凝らして不祥事の防止対策に努めているところでございます。
 今後の再発の防止のための対策についてでございますが、特に本年度は交通違反、交通事故に係ります事案が相次ぎましたことから、この二月五日には市町村立小中学校及び県立学校臨時校長研修会を開催いたしまして、直接各学校長に対して交通違反、交通事故等不祥事の防止について指導を行ったところでございまして、指導内容の所属職員への周知徹底と各学校で策定をしております飲酒運転撲滅実践計画がより効果的なものになるよう見直し、実施するよう強く指示したところでございます。
 いずれにいたしましても、今後、研修や啓発を一層充実させますとともに、管理職を通じた指導を徹底し、教職員としての意識や自覚を促すことにより、不祥事の再発防止に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、子供の安全対策についてお答えいたします。
 まず、不審者侵入に対する安全対策でございますが、大阪教育大学附属池田小学校の児童殺傷事件を受けまして、県教育委員会といたしましては、各県立学校及び市町村教育委員会に対しまして、例えば、来訪者の受付や声かけによる身元確認、あるいは教職員による校内巡視の実施強化など、不審者に対する対応策を直ちに講ずるよう指導いたしました。
 その後、県教育委員会は学校への不審者侵入時の危機管理マニュアルといったものを各学校に配布いたしまして、学校や地域の実態に応じた独自の危機管理マニュアルを作成するとともに、それを踏まえて訓練を実施するなどの学校の安全管理に取り組むよう指導したところでございます。
 その結果、危機管理マニュアルの作成並びに防犯教室の実施につきましては、すべての学校で実施されているところでございます。さらに、県教委では、今年度新たに県内全学校からの参加者を得まして、防犯教室講習会を開催いたしまして、学校の危機管理意識の高揚、子供たちの安全確保等につきまして指導の徹底を図ったところでございます。
 次に、犯罪被害防止についてでございますが、県教育委員会では、登下校時の安全対策につきましては、市町村教育委員会に対し通学路の安全確認や集団での登下校、防犯ブザーの携帯など、具体的な安全対策を講ずることや、各学校が保護者や地域、警察等の関係機関に協力を呼びかけ連携を図ることなどの指導を行っているところでございます。
 各学校で連携して行われております具体的な対策といたしましては、警察による通学路等のパトロールの強化、地区の防犯推進協議会、消防団等によるパトロールの実施、保護者や地域住民の協力によります通学路の危険箇所の点検や登下校時の安全指導、こういったことなどを地域の実情に応じて取り組まれております。
 県教育委員会におきましても、知事部局、警察本部の関係各課によります連絡会議を開催し、連携を図りますとともに、声かけ事案等の発生時には二次被害防止のため、情報が管内の学校や関係機関に速やかに伝わるよう警察等との連絡体制を整備いたしております。
 今後とも、教育委員会といたしましては、各学校におきます保護者や地域社会との連携協力について指導していきますとともに、関係機関との情報交換、連携協力に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、防犯訓練についてでございますが、御指摘いただきましたように、教師や子供たちが安全を確保するためにさまざまな緊急事態を想定した実地の防犯訓練は重要であると考えております。
 学校が行います防犯訓練は、各学校独自の危機管理マニュアルに基づきまして、教職員に対しましては、不審者侵入時の対応の仕方や子供たちの避難誘導の仕方及び応急手当てなど、子供たちには、不審者侵入時の避難の仕方と登下校中の声かけや連れ去り等の緊急時の対応の仕方、こういったことについて、警察、消防などの関係機関の指導、助言を得ながら実施いたしております。
 また、防犯訓練を繰り返すことで、各学校におきます危機管理マニュアルについて、その内容に不足はないか、避難経路や誘導に支障はないか、教職員の役割分担は適切か、など見直しを行うことができ、実効性も高まるものと考えております。
 今後も教職員の危機管理の意識の高揚及び緊急事態発生時の対応能力の向上と、子供たちの安全に関します実地訓練を含めました適切な防犯教育の推進に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

◎菊谷警察本部長 登壇=
連れ去り事案と福祉犯についてお答えをいたします。
 まず、連れ去り事案などの発生状況についてであります。
 佐賀県内において昨年、平成十五年中に発生した児童等未成年者に対する声かけ、わいせつ事案などの発生件数は百八十二件であります。
 内訳は、強制わいせつなどが七十件であり、声かけ、つきまといなどが百十二件であります。このうち連れ去り事案は、未遂を含めて五件発生しており、うち一件をわいせつ目的誘拐、強制わいせつ未遂で検挙いたしております。
 また、本年は二月末現在で声かけ、わいせつ事案などが二十五件発生しておりまして、この内訳は強制わいせつなどが二件、声かけ、つきまといなどが二十三件であります。このうち連れ去り事案は、未遂を含め四件発生しており、二件を未成年者略取、未成年者誘拐で検挙いたしております。
 次に、防止対策についてであります。
 議員御指摘のとおり、このような連れ去り事案などは殺人事件等の凶悪事件に発展する可能性のある極めて悪質な犯罪であり、少年をこのような犯罪の被害から未然に防ぐため、警察としては発生を認知した場合は直ちに捜査に着手すると同時に必要な情報発信を行い、保護者を初め地域住民に広く注意を喚起するとともに、県民の防犯意識の高揚を図るため、発生状況を県警ホームページに掲載するなどの方法により周知を図っているところであります。
 また、児童を対象とする誘拐防止教室、あるいは誘拐事件を想定した模擬訓練等を実施しますとともに、登下校時間帯における警ら・警戒活動の強化などの諸対策を推進しているところであります。
 さらに、連れ去り等の重要事案が発生した場合、連続発生による被害の未然防止を図るため、教育委員会、児童青少年課などの幼児や児童生徒の安全対策に関係する部局に通報し、この関係部局を通じて県下の各学校などに速報するシステムを整備し、運用しているところであります。
 このほか、少年補導員等のボランティア、関係機関・団体によるパトロール活動にも積極的に支援し、児童生徒の被害防止に取り組んでまいる所存であります。
 次に、福祉犯の発生状況についてであります。
 昨年、平成十五年中の少年の福祉を害する犯罪は四十二件を認知しておりまして、四十七人を検挙しております。その内訳は、児童買春、児童ポルノ禁止法違反十二件九人、佐賀県青少年健全育成条例違反二十二件二十三人、その他風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律違反など八件十五人となっています。
 このうち出会い系サイト利用により十八歳未満の少年が福祉犯の被害を受けた事件では、児童買春、児童ポルノ禁止法違反八件八人、佐賀県青少年健全育成条例違反五件五人を検挙し、被害を受けた少年は十三人で、内訳は女子中学生三人、女子高校生七人、その他の女子三人となっています。
 また、出会い系サイトの掲示板に対償を示して児童を異性交際の相手となるように誘引する書き込みをなした事件を認知し、昨年九月施行された「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」、いわゆる出会い系サイト規制法でありますが、この出会い系サイト規制法違反により成人男性一名を検挙しているところであります。
 最後に、防止対策についてでありますが、福祉犯事件の捜査の強化とあわせて、特に福祉犯の被害から少年を守るために出会い系サイト利用犯罪の被害防止の対策を講じているところであります。
 具体的には、出会い系サイト利用犯罪の実態などについて、学校警察連絡協議会等を利用して学校関係者等に説明し、同関係者などを通じた児童生徒への啓発。県内の全高校生を対象に出会い系サイトによる犯罪被害状況、注意事項等を記載したチラシの配布。いわゆる出会い系サイト規制法の周知徹底を図るため、学校等関係機関・団体関係者に対する法令の説明会の実施。出会い系サイト利用の危険性を認識させるため、テレビなどのメディアを活用した少年が出会い系サイトを利用しないための広報・啓発などを推進しております。このほか、出会い系サイトへの違法書き込み等を早期に発見検挙するため、サイバーパトロールを強化するなどの対策を講じているところであります。