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平成20年度3月定例会
~石井ひでお議会での質問事項

134 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=私は、四項目について質問をしてまいりたいと思います。
 予算が大変厳しくなりました。たしか、年間予算で佐賀県の予算が一番多かったのは平成九年だったと思いますけれども、五千億円を超えていたんじゃないかと思います。それが今年度、約四千三百億円になりまして、来年度は十八年ぶりに四千億円を切るという大変厳しい予算編成をせざるを得なくなりました。その中で平成二十年度の当初予算案の農林水産商工本部関係の予算総額は三百三十六億六千八百九十五万二千円であり、これは県全体に占める構成比八・六%ということが書いてあります。
 午前中からこの委員会のやりとりを聞いておりますと、何となく元気がないような気もいたしますし、そうであってはならない、こういうときにこそお互いに知恵を出し合って元気な、いい佐賀県をつくっていかなければいけないなと、そういうことを感じておりました。私が常日ごろ考えている中、思っている中の四項目を順番にそれでは質問をしていきたいと、そのように思います。
 まず最初に、耕作放棄地対策について聞いてまいりたいと思います。
 全国的に耕作放棄地が増加しているというのは、これはもう皆さん御承知のとおりだと思います。特に、中山間地域におきましては、農地を預けたいと思っておられる農家、あるいは預ける農家がいないという人もおりまして、年々、荒廃化が進んでいると思っております。県内でも、平たん部は別といたしまして、今申し上げましたように、中山間地を中心に耕作放棄地が随分増加しているのではないだろうかと思っております。こうした状況が続けば、地域農業そのもの、あるいはその地域そのものを崩壊させていくのではないだろうかという心配もいたしております。
 農地は、食料生産の基盤でありますと同時に、よく言われておりますけれども、県土の保全、あるいは水資源の涵養など、いわゆる県民生活、国民生活に係る多面的で大切な役割を果たしております。将来にわたってしっかりと守っていくことが大変重要だと思っております。
 そこで、耕作放棄地の推移についてお伺いをしてまいりますけれども、まず最初に、全国における耕作放棄地の推移についてお答えをお願いいたします。

135 : ◯御厨農産課長
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◯御厨農産課長=全国におきます耕作放棄地の推移を農業センサスで見てみますと、平成七年には十六万一千七百七十一ヘクタールであったものが、十年後の平成十七年には率で言いますと三八%、面積では六万一千六百一ヘクタール増加いたしまして二十二万三千三百七十二ヘクタールとなっております。


136 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=次に、県内の耕作放棄地の推移をお願いいたします。

137 : ◯御厨農産課長
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◯御厨農産課長=県内の推移を同様に農業センサスで見てみますと、平成七年には二千百六十七ヘクタールであったものが、十年後の平成十七年には率で言いますと三六%、面積では七百七十三ヘクタール増の二千九百四十ヘクタールとなっておりまして、全国と同じような傾向となっております。

138 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=三六%増ということですから、約四分の一近くになってきているという感じがいたしておりまして、全国とほぼ似たような感じになっているんじゃないだろうかと思います。
 次に、耕作放棄地の発生状況が大変気になります。田、畑、樹園地の発生割合からお伺いいたします。

139 : ◯御厨農産課長
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◯御厨農産課長=耕作放棄地の田、畑、樹園地の発生割合についてでございますが、直近の平成十七年農業センサスで見てみますと、水田が三〇%、畑が一九%、樹園地が五一%となっておりまして、樹園地が半分以上を占めている状況にございます。


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140 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=田が三〇%、畑が一九%、樹園地が五一%という答弁をいただきました。この耕作放棄地の主な原因は、どんなことが考えられますか。


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141 : ◯御厨農産課長
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◯御厨農産課長=耕作放棄地の発生要因につきましてでございますが、ちょっと古うございますけれども、平成十四年に全国農業会議所が全国の農業委員を対象に実施いたしました耕作放棄地発生の実態調査によりますと、農業者が耕作を放棄する原因といたしましては、まず、「高齢化、後継者不足」を挙げた者が八七%と最も多くございまして、次いで「農産物価格の低迷」が四四%、「基盤整備が進んでいない」というのが二七%、「農地の受け手がいない」が二五%などの順となっておりまして、本県でもこうした担い手不足や農産物価格の低迷によります収益性の低下、さらには生産条件の不利などが耕作放棄地の発生の主な要因となっているものと考えております。

142 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=やっぱり高齢化とか後継者不足とか、いろんな原因があるわけですけれども、これはおそらく全国的な傾向でしょうね、佐賀県だけじゃなくて。
 その中で、県内における市町別と申しましょうか、合併する前の発生状況をお伺いいたします。
143 : ◯御厨農産課長
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◯御厨農産課長=県内における市町別の発生状況につきまして、十七年におきます耕作放棄地の状況を旧市町村別で見てみますと、伊万里市が三百十一ヘクタールで最も多くございまして、次いで浜玉町の二百八十一ヘクタール、唐津市と鹿島市が同じく二百二十六ヘクタールなどとなっております。
 また、これを地帯別で見てみますと、中山間地域が二千七百七十七ヘクタールで全体の九四%とほとんどを占めている状況にございます。

144 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=わかりました。そうなってくると、耕作放棄地の発生をいかに防いでいくのかということが課題になるわけですね。各市町村別の、これは合併する前のもので今話をしていただきましたけれども、耕作放棄地の発生を防止するためには、例としては、よく言われておりますけれども、意欲のある担い手に耕作放棄地を集約する、あるいはいろんなことを考えておられると思いますけれども、どのような方策があるとお考えですか。

145 : ◯御厨農産課長
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◯御厨農産課長=耕作放棄地の発生を防止していくためには、基本的には、現在、栽培されております作物の高品質化なり高付加価値化、さらには新規作物の導入などによりまして収益を向上させていくことが重要であると考えております。
 また、地域の実情に応じまして発生防止の方策といたしましては、規模拡大を志向する農業者などの担い手が、その地域内におられる場合につきましては、その担い手の集積ということが考えられます。また、地域内に担い手がいない場合には、他の地域の担い手に農地を集積するなど、広域的な連携による有効活用ですとか、集落の農家が協力をして出役をすることなどによります集落ぐるみでの保全管理、さらには、市民農園やオーナー園など、都市住民との連携による農地の活用、また、営農の継続が困難な農地につきましては、林地への転換などの方策を進めていく必要があるのではないかというふうに考えております。

146 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=さまざまな方策があると思います。どれ一つとっても難しい面があるんじゃないかと思うんですね。少子・高齢化の時代に既に突入しているわけですから、高齢化も進み方が半端じゃないと。特に農村部、中山間地域ではこれが顕著なんですね。ですから、そういうことをどういうふうな形でとらえていくのか。
 農地の集積の話を先ほどからしておりますけれども、簡単に隣から隣に集積していくというわけにもいかないでしょうし、だから、今おっしゃった広域的な連携とか、そういうことをやっていかざるを得なくなる。それをやらないと耕作放棄地というのはなかなか解消していかないという感じがするわけです。
 あと、市民農園の話も出ました。こういうことで都市部との連携も必要になってくるんじゃないかと思います。都市部との連携というのは、要するに、都市部、都会にいる人は畑をつくってみたいとか、田植えをしてみたいとか、米をつくってみたいとか、そういうことを結構思っていらっしゃる方がおられるんですね。だから、こういう方たちに対する情報の発信、そういうものをどういうふうな感じでやっていくのか、あるいはそういう人たちに対して県がどういう働きかけをしていくのか、これはもう県だけではなくて、市も町もそうでしょうけれども、そういうものとか、あるいはこれは後からまた質問しますけれども、観光との組み合わせ、こういうものも、じゃ、どういう組み合わせがあるのかとか、これを部課横断的に会議でもつくっていただいて、そして、そういうものを有効に活用するということも一つの方法かもしれません。
 ですから、そういうことをぜひ話をしながら、あるいはもう一つはモデル的な取り組み、これは非常に難しい面もありますけれども、こういうことをしっかり、確実にやって実績を残すことによって有能な後継者に耕作放棄地を集約して預けてしっかりやっていくということ等も本当に真剣に考えていかないといけないと、そう思います。
 そこで、この耕作放棄地の解消に向けた取り組みですけれども、例えば、今話をしましたモデル的な地域をつくる、こういうことも大変重要だし必要だと思いますけれども、どんな形で取り組んでいけますかね、こういうことをやろうとしたら。


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147 : ◯御厨農産課長
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◯御厨農産課長=耕作放棄地の解消に向けた取り組みについてでございますが、現在、既に耕作放棄地が発生している地域、また、今後発生するおそれがある地域につきましては、それぞれ担い手がいるとかいないとかの有無、あるいは農地の立地条件、栽培作物などがそれぞれ異なっておりますことから、先ほど述べましたようないろんな方法等につきまして、地域で十分話し合いを持ち、中山間地域直接支払制度等を活用しながら、それぞれの実情に応じた取り組みが現在でも進められているところでございます。
 また、国の事業ですとか県単独事業を活用いたしまして、遊休化している農地の発生防止と有効活用を図るモデルとなるような取り組みを県内でも進められております。
 具体的に御紹介させていただきますと、唐津市の厳木町ではミカン園の荒廃が進んでおりますことから、JAが佐賀大学等と連携いたしまして軽作業で高齢者でも取り組みやすく、また、イノシシの被害も少ないと考えられるようなキノスとか実山椒を試験的に導入する取り組みが見られております。また、太良町では、遊休化したミカン園に繁殖牛を放牧することによりまして有効利用を図る取り組み。さらには、嬉野のお茶の農家が鹿島市のミカン園を購入して園地改良を行い、大規模で効率的な茶園を整備する取り組みなどが挙げられるところでございます。
 いずれにいたしましても、耕作放棄地の発生防止を図ることは、地域農業の振興はもとより、委員も言われましたとおり、県土の保全や集落の維持等の観点からも大変重要でありますことから、今後とも、市町や農業団体等と連携しながら、地域の実情に応じまして、国や県の各種事業の有効活用を進めますとともに、先ほど紹介しましたようなモデルとなりますような優良事例を一つでも多くつくり上げ、その成果を他地域に波及させるなどして耕作放棄地の発生防止に努めてまいりたいというふうに考えております。

148 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=今、旧厳木町、それから太良町、嬉野市の例を三つほど挙げていただきましたけれども、こういう成功事例を情報発信といいますか、ちゃんとした形でいろんなところに宣伝とまでは言いませんけれども、PRをしていくということが非常に大事だと思いますから、ぜひそういう形でやっていただきたいと思いますし、今、答弁をしていただきましたことを地道にやっていく、いろんな関係機関を含めた、行政も含めた、JAも含めた、地域も含めた、そういう形でこの耕作放棄地の解消にぜひ力を合わせてやっていくようにしたいと、そういうふうに思います。
 次の質問に移ります。
 次は、農産物の直売所についてお聞きをしていきたいと思います。
 農産物直売所の取り組みがここ数年、県内各地で大変盛んになっております。こうした取り組みは、消費者にとっては新鮮で安心・安全な農産物を比較的安い値段で買うことができる、あるいは直売所に参加する農家の皆さんにおきましては、生産量が少なくて都市圏に出荷できないような農産物が販売できるとか、そういう意味で農家の所得確保につながっているということも、この直売所がふえてきた背景にあると思います。さらには、消費者と生産者とがお互いに顔が見える関係と申しましょうか、いわゆる信頼関係があるという効果もあります。地域によりましては、農産物直売所の設置を契機として、女性の方、それから高齢者の方が大変元気が出て生きがいを持って生活をされている、農業生産に取り組まれているということで、その地域そのものが大変明るく元気になっているという感じもいたしておりまして、これは大変いいことだと思っています。
 この農産物直売所が今後ともそれぞれの地域で生産者とか消費者を結びつけ、農業振興の拠点的な施設として、さらに大きな役割を果たしていってほしいなと、そういうことを思いながら質問をしてまいります。
 県内に百五十七箇所の農産物直売所があるとお伺いしておりますけれども、この運営主体、開設状況、こういうものはさまざまであって、いろんなことがあって立ち上げられていると思いますけれども、現在の設置の状況はどういうふうになっているんでしょうか。


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149 : ◯迎生産振興部副部長
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◯迎生産振興部副部長=農産物直売所の設置状況でございます。
 農産物直売所は、女性や高齢者が地域での社会活動に積極的に参加しようという意識が高まったことなどを背景に、平成に入ってから急速に増加をしておりまして、平成元年に二十二カ所だったものが、平成十八年には先ほど委員御指摘のように百五十七カ所となっております。
 運営主体別に見てみますと、生産者で組織する任意団体によるものが百七カ所、全体の約七割でございます。それから、農協によるものが二十一カ所、個人や法人によるものが二十九カ所となっております。
 また、開設の状況を見てみますと、販売員を置いて常時開かれている施設が百五カ所、時間や曜日を限って開かれている、例えば朝市や夕市などが三十三カ所、それから、独自の店舗を構えずに大型店などにコーナーを設けて販売をしているのが十四カ所などとなっているところでございます。
150 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=さまざまだということですね。
 次に、県内の直売所のうち、地域によっては直売所の活性化を図るために消費者との交流など、いろんな地域の条件、そういうものを生かしてイベント等、いろんな取り組みがなされていると思いますけれども、その特徴的な取り組みをしているところを含めてどんなものがありますか。

151 : ◯迎生産振興部副部長
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◯迎生産振興部副部長=農産物直売所の特徴的な取り組みについてでございます。
 農産物直売所では、それぞれ地域の人たちがさまざまな知恵を出し、工夫を凝らして特徴的な取り組みをされているところが多数ございます。
 例えば、佐賀市大和町、こういうところで固有名詞を出していいかどうかわかりませんけれども、佐賀市大和町の道の駅大和「そよかぜ館」では、例えば、干し柿づくりとか稲刈り体験などの年間を通した消費者との交流、それから、地元のホテルや保育園、あるいは病院などへの食材の供給、さらには、遊休農地を活用した体験農園の設置などがされているところでございます。
 それから、嬉野市の「吉田まんぞく館」では、地元の食材を使った鶏めし、唐揚げ、弁当など人気の高い惣菜部門の充実や、その場で食事ができる食事室の設置、それから、地元では吉田米で呼んでいます特別栽培米の販売、それから、近隣の直売所との連携による多様な品ぞろえなどがなされております。
 それから、唐津市七山の「鳴神の庄」では、安全・安心な農産物づくりの研修や、村を挙げた地域おこしイベントへの参画、わさび漬けやゆずごしょう、お茶など地元の産品を活用した加工品の販売などがあり、各地域の特色を生かした農産物や加工品の販売はもとより、農業体験による交流など、生産者と消費者のお互いの顔が見える関係、さらに、大型店やコンビニと違ってマニュアルどおりの応対ではなくて、人のぬくもりを感じさせるような応対が非常に人気があるのではないかなというふうに考えております。


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152 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=今、最後のほうで答弁いただきました人のぬくもり、(副委員長、委員長と交代)この辺が直売所の一番いいところかもしれませんね。こういうのがあって、みんなが、その地域の人たちが盛り上げていく。これは農家の方ばっかりじゃなくて、そこに生活している皆さんが自分たちの直売所という、そういう意識のもとに何とか盛り上げていこう、成功させようという、その気持ちが乗り移った形で今非常に評判がいいのではないかなと、そういうふうに思います。
 それで、今後の取り組みと申しますか、活性化をさせていかなくちゃいけないわけですけれども、運営が順調なところばっかりじゃないかもしれません。手探りで試行錯誤を繰り返すなど苦労をされて、いろんな研修とかをやられているところもあるし、そういうことは売り上げが伸びているところもやっていかなきゃいけないと思いますね。そういう意味では、直売所をさらに活性化させて、もっともっと元気が出るようにするためにどのような取り組みを県は考えておられるのか、お伺いいたします。

153 : ◯迎生産振興部副部長
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◯迎生産振興部副部長=農産物直売所に対する今後の県の取り組みについてでございます。
 農産物直売所の活性化を図ることは、農産物の販売を通した同業者、あるいは女性や高齢者の所得の向上や生きがいの向上のみならず、地元農産物の愛用によるふるさとに対する愛着心や誇りの醸成、それから、都市住民などとの交流を通した地域活性化などの点からも大変意義のあることだというふうに考えております。
 県では、これまで農産物直売所の対しましてフードコーディネーターなど食や農に関する専門家や、あるいは先進的な取り組みを行っている農産物直売所の運営者、あるいは中小企業診断士などによる魅力的な商品づくりや販売力アップに向けた指導、それから、農業改良普及センターによります安全・安心な農産物づくりのための研修会の開催などを行ってきたところでございます。
 今後は、引き続き、これらの取り組みを通じまして各農産物直売所の商品開発力や運営能力の強化を図るとともに、学校給食への地場産農産物の納入など、農産物直売所を核とした地産地消の拡大、それから、周辺の農村観光スポットや特産物を紹介いたします地域案内人の育成など、農村における交流拠点としての機能の充実、さらには、農産物直売所が取り組みます消費者との農業体験交流や農家民泊などに対する支援などに力を入れて取り組みたいというふうに考えております。

154 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=「九州の産地直売所概要」という資料をいただきました。これで見ますと、佐賀県の農産物直売所数、これは「農産物・地産地消等実態調査結果」という調査ですけれども、佐賀県が三十七カ所、平均販売額が八千八百二十九万円と出ています。そういう意味で実績を一番上げているのが大分県、九十六カ所で一億一千三百七十六万円、次が熊本県の百十六カ所で一億一千八十二万円となっております。数から言うと、佐賀県は三十七カ所、大分県は九十六カ所、熊本県は百十六カ所ですから、それからいきますと販売額は佐賀県は非常に優秀だといいますか、上がっているんですね。ですから、こういうことが背景にあって元気が出ているのではないかと思いますね。
 繰り返しになりますけど、直売所が成功しているところは、お年寄りの方、高齢者の方、それから女性の方がこの仕事に直接かかわっていて、そして、それが所得としてはね返ってきて生活がよくなるといいますか、余裕ができる。それが生きがいでありますし、やりがいにもつながっていく。ですから、こういうことについては県も目を離さないでしっかり見ていただいて、今後、こういうことに支援をしなきゃいけない。それはお金だけの支援ではなくて、さっき話が出ましたように、イベントの後押しをするとか、それから研修をするとか、そういうものをしっかり続けてやっていただきたいと、そう思います。いかがでしょうか。

155 : ◯迎生産振興部副部長
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◯迎生産振興部副部長=農産物直売所に対する支援は、単に金銭的な支援だけではなくて、先ほど申し上げましたように、人の育成でありますとか、いろんなイベントに対する支援、それから、私ども、県の「さが”食と農”絆づくりプロジェクト」で「さが”食と農”づくり体験マップ」というものをつくっております。きょう、質問が終わったら石井議員さんにはお持ち帰りいただきたいと思いますけれども、こういうのを配っていろいろPRをして広げてきたところでございます。こういうことでいろんな形で支援をしていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

156 : ◯牛嶋委員長
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◯牛嶋委員長=暫時休憩をいたします。
    午後三時三分 休憩

    午後三時十六分 開議

157 : ◯牛嶋委員長
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◯牛嶋委員長=委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行います。

158 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=最近の観光の動きについて質問をいたします。
 観光は、経済波及効果が大きく、交流人口の増加や地域産業の振興、雇用機会の増大など、地域経済の活性化に大きく寄与することから、二十一世紀のリーディング産業と言われており、県勢の発展にも貢献するものであり、観光振興を推進していくべきものと考えております。
 特に、外国人観光客につきましては、平成十五年から国を挙げての取り組みが始まりましたビジット・ジャパン・キャンペーンの効果もありまして、東アジア諸国を中心として訪日観光客数の増加が顕著にあらわれておりまして、佐賀県といたしましても積極的に受け入れに取り組んでいくことが重要であると考えております。
 観光動向等についてでありますけれども、全国の宿泊観光客及び観光消費額の推移についてどのようになっているのか、お伺いをいたします。


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159 : ◯北川観光課長
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◯北川観光課長=全国の宿泊観光客及び観光消費額の推移についてお答えいたします。
 全国の宿泊観光客数については、そのもののデータはございませんが、国土交通省の観光白書におきまして、国民一人当たりの国内宿泊観光旅行の宿泊数が推計されておりまして、近年、減少傾向にございましたが、平成十六年は二・七八泊、十七年は二・八九泊、十八年は二・七七泊と、ここ数年は二・八泊前後で推移しております。
 また、全国の観光消費額につきましては、観光白書によりますと、平成十六年は二十四兆四千六百三十億円、十七年は二十四兆四千二百五十億円、十八年は二十三兆五千三百七十億円と、ここ数年間は二十四兆円前後で推移しております。


160 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=宿泊観光客、観光消費額ともに大体横ばいというような答弁でありました。
 それでは、佐賀県の宿泊観光客及び観光消費額の推移はどうなっているんでしょうか。

161 : ◯北川観光課長
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◯北川観光課長=本県の宿泊観光客及び観光消費額の推移についてでございます。
 本県の宿泊観光客数につきましては、近年では平成八年をピークに減少傾向にございましたが、ここ三年間で見ますと、平成十六年は二百四十一万人、十七年は二百四十一万三千人、十八年は二百四十二万八千人となっておりまして、このところ、下げどまりの傾向が見られております。
 また、観光消費額につきましても、近年、減少傾向にございましたが、ここ三年間で見ますと、平成十六年は九百二十八億八千三百万円、十七年は九百三十一億一千七百万円、十八年は九百六十億三千四百万円となっておりまして、宿泊観光客の増加などによりまして、この二年間は増加いたしております。

162 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=ここ二年間は観光消費額は増加を見ているということでありました。
 次に、宿泊観光旅行の目的地の選定方法について、観光客の皆さんは、目的地を選定するに際して何を参考にしているのでしょうか。
163 : ◯北川観光課長
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◯北川観光課長=宿泊観光旅行の目的地の選定方法についてでございますが、社団法人日本観光協会が実施いたしました「平成十九年度国民の観光に関する動向調査」によりますと、国内での宿泊観光旅行の目的地を選定する際に参考とするものとしましては、複数選択回答でございますが、「家族・友人の話」、いわゆる口コミが三八%で、本調査が開始されました昭和六十一年以来、連続して最多となっております。次に多いのは「インターネット」で三五・八%と、前年度の三〇・三%から大きく増加をいたしております。以下、「パンフレット」三四%、「ガイドブック」三二・八%、旅行専門雑誌三一・九%などが続いております。


164 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=インターネットが三〇・三%から三五・八%ということで、ここにある意味のヒントが出てきているのかなという感じがいたします。
 続けて質問しますけれども、次に、宿泊観光客の旅行先での行動についてであります。観光客の皆さんは旅行先でどのような行動をされているのでしょうか。

165 : ◯北川観光課長
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◯北川観光課長=宿泊観光客の旅行先における行動についてでございますが、同じく「平成十九年度国民の観光に関する動向調査」によりますと、まず、宿泊観光旅行の主な目的としまして、自然、名所、旧跡などの見学や行楽が三三%と最も多く、次いで慰安旅行が三一・六%、スポーツ活動が一〇・七%などとなっております。
 また、宿泊観光客の旅行先における実際の行動につきましては、これも複数選択回答でございますが、最も多いのが「温泉浴」の五〇・三%、次いで「自然の景観・風景を見る」の四四・一%となっておりまして、以下、「名所・旧跡を見る」が三二・一%、「特産物などの買い物・飲食」が二五・一%などと続いております。


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166 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=温泉浴が五〇・三%と断トツですけれども、これも後でまた触れますが、観光地の魅力アップですけれども、観光客を呼び込むためには観光地の魅力アップというのが大変重要になってきます。この辺はどんな取り組みをされていますか。


167 : ◯北川観光課長
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◯北川観光課長=観光地の魅力アップについてお答えいたします。
 観光地の魅力アップのために、平成十六年度から十八年度までの三年間、市町村や民間との連携によりまして「観光さが魅力アップキャンペーン」を実施したところでございます。この取り組みの中で、佐賀県にお越しいただいたお客様に満足してもらい、また来たいと思っていただくために観光地としての磨き上げに取り組むこと、また、おもてなしの心でお客様を受け入れる体制の整備に努めてまいりました。
 本年度からは引き続き官民一体となりまして「ウェルカム佐賀キャンペーン」に取り組んでおりまして、この中で先ほどの視点を引き継ぎまして、例えば、地域の団体が主体的に取り組む観光地の魅力アップのためのソフト事業、例としまして、地域の特色を生かした観光マップや冊子の作成とか、地域の温泉手形のシステム構築といったようなことが挙げられますけれども、こういったものを支援する魅力アップ支援事業、また、タクシードライバーや宿泊施設などの観光従事者のマナーアップや観光ボランティアガイドの育成等のための研修会の実施等の受入体制整備事業、そして、観光客の口コミ情報が大変重要な情報源でございますので、観光客の声を拾い上げて満足度の高い観光地づくりを推進するために宿泊施設と連携して実施いたします満足度調査事業など、観光地の魅力アップを推進するための取り組みを行っております。


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168 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=今お答えをいただきました。そして、先ほど宿泊観光旅行先での行動、主な目的の中で断トツで温泉浴というのが出ておりまして、このことについて質問には入りませんけれども、参考のために私は資料を持ってきておりますので。
 これは、社団法人の日本温泉協会がアンケート調査を行っております。「最も行ってみたい温泉地ベスト50」というのがあるんですね。一番が群馬県の草津温泉、二番が別府の温泉郷、三番が湯布院、四番が登別、五番が黒川、九州では二十三位に鹿児島県の指宿、四十二位に長崎県の雲仙・小浜、残念ながら佐賀県は入っておりません。
 次に、「最も印象がよかった温泉地ベスト50」は、一番が草津温泉、二番が箱根温泉郷、三番が別府温泉郷、四番が黒川、五番が野沢、十番に湯布院、二十四番に指宿、四十七番に雲仙・小浜、残念ながら佐賀県からは私の出身地の嬉野も武雄も入っておりません。非常に残念です。
 こういう行動がパーセンテージで出ているわけですから、こういうものをしっかり分析していただきたいなと思います。
 もう一つありまして、これは日経新聞の日経プラスワンですが、「行ってみたい古湯」、中小大に分けてありますけれども、大規模温泉の一番が草津温泉、二番が別府温泉、三番が道後温泉、四番が霧島温泉、五番が下呂温泉となっています。「行ってみたい古湯」の中小規模の温泉でやっと出てくるんですよ、一番が蔵王温泉、山形ですね、二番が雲仙、三番が嬉野温泉、四番が大鰐、五番が野沢温泉、こういう形になっております。
 ですから、温泉といういい素材を佐賀県は嬉野、武雄、それから最近は富士町のほうにもいい温泉地ができておりますので、こういうものをもう一回見直す必要があるんじゃないかと私は実は思っております。この中で全部、草津が一番なんですね。草津に行かれた方、いらっしゃいますか。ちょっと手を挙げてください。──残念ながら、だれもいない。だろうと思っていました。これは一回、陣内本部長、それから担当の北川課長、草津に行ってください。なぜ草津が一番になっているかというのを実際に行って見なきゃだめですよ。これは重要だと僕は思いますね。そういうのをいろんな形で勉強をして、そして、なぜ草津が「最も行ってみたい」とか、「最も印象がよかった」とか、「また行ってみたい」という温泉地になっているんでしょうか。我々の温泉地がどこが欠けているかということについて示唆に富んでいるような感じがいたします。ひところ、別府は随分低迷していましたけど、上位に必ず出てますよ。そういうことがありますから。これはぜひ部課の中で検討していただきたいなと、そう思います。
 それともう一つは、せっかく県で「二十二世紀に残す佐賀県遺産」という支援事業があるでしょう。これはなかなかいいんですよ。県内にはいろんなところがありますね。これとの連携をどうするか。こういう商品をエージェントあたりと話をして売り込んでいくということとか、そういうことをやっていく。そして、今、旅行形態が団体からグループ、個人になってきていますね。そういうことをしっかりとらえるとか、そういうものをやりながら、佐賀県には見るところがたくさんありますから、結びつけていって、せっかく上向きになっているという答弁が先ほどありましたから、ぜひこういうものをやっていただきたいと思います。
 私たちは、しゅっちゅう見ているから、しょっちゅう体験しているから何とも思っていないようなところも、都会の方にとっては、例えばお茶畑が非常にすばらしいなとか、ミカン園がすばらしいなとか、そういうのがあるんですよ。いやしとかいろんなことが言われていますけれども、お互いに勉強しながら、一人でも多くの人に佐賀県に来て泊まってもらいたいと思います。そして、お金を落としていただきたい。そういうふうに思っておりますから、ぜひそういうものを参考にしていただきたいなと思いますけれども、本部長、何かありますか。


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169 : ◯陣内農林水産商工本部長
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◯陣内農林水産商工本部長=ただいま、あらゆるデータの中で草津が一番だということで御指摘を受けたわけでございますが、先ほど観光課長からも御答弁申し上げておりましたように、私どもも魅力ある観光地づくりということで進めております。先ほど御質問にもございましたように、観光地をどういった形で選ぶのかという方法だとか、また、そこでどういった行動をとるかということについては、例えば、口コミだとか、それからインターネットが大幅にふえたというふうなことの中で温泉浴が一番だということでございますので、そういった観光される方のニーズの動向、観光地そのものの魅力アップに取り組むということがまず第一に重要だと思います。あと、いわばパブリシティーを重視するとか、旅客ニーズに応じた商品の造成をやっていくとか、そういったこと等については、草津等のことも、先ほど御指摘いただきました人気がある温泉地を参考にしまして、どういった活動が具体的に一番有効なのかということについては検討させていただきたいと思っております。


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170 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、今までは国内の視点から見ましたけれども、次は海外からの観光客につきまして、訪日外国人旅行者数の推移はどのようになっているんでしょうか。

171 : ◯北川観光課長
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◯北川観光課長=訪日外国人旅行者数の推移についてでございます。
 国におきましては、外国人旅行者数を二〇一〇年までに一千万人にするという目標を掲げましたビジット・ジャパン・キャンペーンを推進しておりますが、訪日外国人旅行者数は、平成十六年は六百十三万八千人、十七年は六百七十二万八千人、十八年は七百三十三万四千人と着実に増加をいたしているところでございます。


172 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=着実に伸びてますね、七百万人台に乗りました。一千万人というのが目標ですから、おそらくあと数年で実現可能な数字になってきております。
 次に、国別訪日外国人の旅行者数はどうなっているんでしょうか。
173 : ◯北川観光課長
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◯北川観光課長=国別訪日外国人旅行者数につきまして、平成十八年の状況を申し上げますと、最も多いのは韓国からの二百十一万七千人で、全体の二九%を占めております。
 続きまして、台湾が百三十万九千人、以下、アメリカが八十一万六千人、中国が八十一万二千人、香港が三十五万二千人となっておりまして、この順位はここ三年間、変わっておりません。


174 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=わかりました。
 この外国人旅行者の増加の要因ですけれども、増加の要因をどのようにとらえておられますか。


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175 : ◯北川観光課長
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◯北川観光課長=訪日外国人旅行者数の増加の要因でございますが、主な要因といたしましては、韓国、台湾、中国など東アジア諸国の経済発展に伴う富裕層の増加や、これらの国、地域からの訪日ビザ制度の改善、韓国ウォンなどに対する円安基調、国際航空路線や便数の拡充などが要因と言われております。

176 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=そうですね。増加の要因は、東アジア地域が今非常に元気がいいということですね。それから、何といってもビザの改善が大きかったと私は思っております。そういう追い風がありますから、こういうものを佐賀県にもぜひ生かしていきたいと思っています。
 そういう意味で、佐賀県の外国人宿泊者数の推移を教えてください。

177 : ◯北川観光課長
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◯北川観光課長=本県の外国人宿泊者数の推移についてでございますが、ここ三年間の状況を申し上げますと、平成十六年は三万二千三百十九名、平成十七年は二万七千五百十五人、十八年は三万六千七百二十三人となっておりまして、平成十八年一月から始まった台湾からのプログラムチャーター便の運航や、韓国からのゴルフツアー客の入り込み等によりまして平成十八年は増加いたしております。

178 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=それでは、国別外国人の宿泊者の数はどのようになっていますか。

179 : ◯北川観光課長
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◯北川観光課長=本県への国別の外国人の宿泊者数でございますが、平成十八年の状況を申し上げますと、一番多いのは韓国で一万七千二十四人となっておりまして、全体の四六%を占めております。続きまして、台湾の一万二千百八十三人、約三三%。そして、中国の二千百三十六人、アメリカの一千四百四十六人、香港の八百八十六人と続いておりまして、地理的に近い東アジア地域からの宿泊客数が全体の約八八%を占めております。

180 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=東アジアから八八%ということですから、ある意味では一〇〇%に近い数字ですよね。ここにまた本県に来ていただくための情報の発信でありますとか、あるいは誘致をするキーワードがあるような気がいたしております。特に、近い韓国、台湾、中国、香港、この辺ですよね。これまた後で触れますけれども、こういうことをしっかり分析しながら、次は外国人観光客の受け入れ体制の整備が大変重要になってきます。
 これは、今後も東アジアを中心とする外国人観光客が増加することが当然予測されます。佐賀県を訪れてもらうためには受け入れ体制の整備が大変重要だと思いますけれども、どういう取り組みをされてきておりますか。


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181 : ◯北川観光課長
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◯北川観光課長=外国人観光客の受け入れ体制の整備についてお答えいたします。
 海外から本県にお越しいただいたお客様に満足していただきまして、「佐賀はよかった。また来たい」と思っていただくには、受け入れ体制の整備に努めることが重要であると考えておりまして、県内の観光業界の関係者を対象といたしまして、海外観光市場セミナーを開催いたしまして、外国人観光客のニーズや受け入れの留意事項などについての研修会を行っております。
 また、旅館、ホテル等におきます外国語館内表示や外国語テレビ放送受信、あるいは外国語でのホームページの立ち上げなど、外国人観光客受け入れのための環境整備の支援にも本年度から取り組んでおります。
 今後とも、実態を踏まえまして、市町や関係団体などとも十分協議をしながら、外国人観光客の受け入れ体制の整備促進に努めてまいりたいと思っております。
182 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=今答弁をいただきました。例えば、道路の標識あたりは割と英語、中国語、韓国語ぐらいで書いてあるところもありますけれども、これも市とか町によってばらばらなところがありますね。特に、私どもの嬉野とか武雄では結構ふえていると思いますけれども、じゃあ、例えばホテルとか旅館に入って一目でトイレはここですよとか、フロントはここですよと、そういう表示をしているところはあんまり見たことがないような気もしますし、あったとしても、おそらく一、二軒かもしれませんね。ですから、その辺の調査もしっかりやっていただいて、きめ細かな、外国から日本に来た人の気持ちになって、立場に立って、その辺のことをしっかり整備をしていくことが大変重要だと思います。ですから、この辺は市とか町の担当課、担当者と意見交換しながらしっかり取り組んでいただきたいなと、そういうふうに思います。
 それともう一つ、今、外国人旅行者の訪問地ということで、これは国際観光振興機構というところが調査を出しておりまして、当然、東京が訪問率でいくと一番で五八・五%、以下、京都、神奈川となっていますけど、福岡が七番目に来るんですよ。パーセンテイジは七・四%ですけど。それから、長崎が十二番に来るんですね。あと十六位に熊本、十七位に大分、十八位に沖縄と、九州には結構来るんですね。だから、福岡、長崎、熊本あたりぐらいまで何か連携がとれないかなと、外国から佐賀県に来てもらうためにですね。そういうことも大事な視点じゃないかなと思いますので、この辺もぜひ知恵を出していただきたいと思います。福岡には結構来てるんですね。僕らも話を聞いてみますと、例えば韓国あたりからも若い人、特に若い女性あたりに福岡は人気が非常に高くて、天神とか、あの辺を歩きながら買い物をする。日本人は向こうに出ていっているんでしょうけれども、そういう形で福岡にかなりの外国人が来ておりますので、そういうものもしっかりとらえた戦略を立てていただきたい、そう思います。
 次に、新しい観光分野、いわゆるニューツーリズムと言われておりますけれども、この取り組みについてお伺いをいたします。
 このニューツーリズムは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、いろんな新しい観光分野ができております。また、こういうのが要求をされております。こういう新しい分野での観光振興を図る上で、いわゆる陶芸でありますとか、先ほど申し上げました農業等の体験観光、あるいは名所旧跡はもちろんですけれども、文化に触れるとか、いろんなことがあると思いますけど、そういう新しい観光分野の対応も大変重要になってくると思います。この辺の取り組みをどのように考えて、どのように取り組んでいかれるのか、これは陣内本部長にお伺いいたします。

183 : ◯陣内農林水産商工本部長
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◯陣内農林水産商工本部長=新しい観光分野への取り組みということで、ニューツーリズムということでの取り組みをどうするかということでございますが、先ほどの選択の機会とか、行って何をしたいかというふうなこと等にもかかわってこようかと思いますが、いわゆる観光自体が名所旧跡の見学だけということではなくて、いわば体験をしたいとか、それから交流をやりたいと、そういうふうな意味合いで旅行ニーズが変化をしてきているあらわれじゃないかというふうに思っております。そういった意味合いで農業とか漁業、それから先ほどお話がございましたように、伝統工芸づくりの体験、そういったことなどにつきまして、最近で言えば、昨年開催されました「長崎さるく博」が非常に人気があったというふうなことじゃなかろうかと思っております。
 そういった中、県としてどうするかということでございますが、農業を基幹産業といたしまして、玄海、有明海という性格の異なる二つの海を有しておりますし、伊万里・有田焼に代表されます伝統工芸、さらには吉野ヶ里遺跡、名護屋城跡などの歴史遺産、そういった豊富な観光素材がございますので、そういったものを生かしながら、先ほどお話がございましたように、いわば参加・体験型ができる形でのニューツーリズムのニーズが今後ますますふえてくるというふうなことで考えておりますので、先ほど具体的な施策についていろいろ検討を今後させていただきますということでお話ししましたが、まずは市町や観光協会、それから観光施設の職員さんなどともいろいろな形で連携をとりながら、具体的にどういった形が一番、いわば旅行の商品化造成という形に向けて取り組みやすいかというふうなこと等を含めたところで積極的に取り組むような形で検討させていただきたいと思っているところでございます。

184 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=ありがとうございました。
 このニューツーリズムの定義づけと申しましょうか、幾つか国土交通省が挙げております。今お話をいただきました中にもありましたけれども、一つは、長期滞在型観光ですね。これは団塊世代の大量退職時代に入ったということですね。あるいは自然、環境、歴史、文化を対象としたいわゆるエコツーリズムとか、それから、農山漁村地域の自然、文化、人々に触れるグリーンツーリズム、あるいは文化の観光とか産業観光、そして、ヘルスツーリズムというのが非常に注目されています。そういうことをやっていこうと、こういうことが今からの外国人の受け入れには非常に効果があるんじゃないかというふうに言われております。
 締めに当たって、私は今回質問するに当たりまして調べたことで印象に残ったことがありますので少し話をさせていただきますと、今、外国人観光客の話をしましたけれども、岐阜県の飛騨高山を訪れる観光客は毎年三百万人を超すんだそうです。最近十年間で外国人観光客が二倍以上にふえたと、これは市長の話です。平成十八年、高山市を訪れた外国人観光客は六万人を超えたと言っています。高山市ですからね、佐賀県より来ているわけですね。そして、昨年度、平成十九年は八万人台にふえたということなんですよ。これはなぜふえたかということについて市長は、外国人観光客を誘致するために、まずバリアフリーに注目したというんですね。市民が暮らしやすいまちというのは、結局、来た外国人の方も過ごしやすい、やさしい、そういうまちになると市長は考えたということで、「住みよいまちは行きよいまち」というテーマで、安全・安心、快適なバリアフリーのまちづくりに取り組んだと、こうおっしゃっていまして、具体的な取り組みとしては、バリアに直面しがちな在日外国人の皆さんや、高齢者、障害者の方々などを招いて実感したバリアを指摘していただくモニター旅行を実施したということです。このモニターの人たちが、道路に段差があって通りづらいとか、外国語の観光情報が十分でないとか、先ほど私が申し上げました標識が日本語だけで読めないとか、そういうのをインターネットによって情報を発信したというのが非常に効果的だったと、こうおっしゃっております。
 高山市のホームページをごらんになっていただくとわかりますけれども、観光案内には、それこそ日本語はもちろんですけど、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語など、十カ国語ぐらいの情報発信をしているということですから、ぜひ佐賀県もそういうこともやっていいんじゃないかと。もうやっているんでしたら結構ですけれども、そういうことがありましたので一つの例として紹介をいたします。
 それともう一つは、この産業常任委員会が所管の委員会ですけど、今、自動車産業が出てきてますね。この自動車産業の、例えば工場見学、こういうのも立派な観光資源になるんじゃないかと思います。そういうことを指摘する専門家、あるいは学者の先生方もいらっしゃいますので、こういうのも立派な観光資源になると思います。ですから、こういうこともぜひ検討していただければなと思っています。
 これも打ち合わせの段階で話をしましたけれども、露天風呂が武雄、嬉野でも随分ふえてきました。富士町、あっちのほうにもふえてきました。そこには、露天風呂に入ると、この風景はいいなとか、そういうのをつくるに当たってはやったらどうかとか、示唆に富んだことをおっしゃっていただく方がたくさんいらっしゃいますので、そういう人たちの意見とか指摘を真摯に受けとめるのも非常にいいのかなと、そういうふうに思っておりますので、締めに当たってそういう話をさせていただきました。
 それでは、私の質問の四項目め、最後の質問に入ります。
 伊万里・有田焼の産地再生について、今回新規で産地再生支援事業、予算額が一千五百九十一万四千円で上がっております。佐賀県の伝統的地場産業の振興につきましては、景気の低迷等もありまして大変厳しい状況にあると思っております。伊万里・有田焼、あるいは諸富家具の産地再生を図るために、意欲的な事業者に対して新商品の開発から企画、販路開拓まで総合的に支援するという予算が新規で組まれております。
 今、話をしました伊万里・有田焼と諸富家具につきましては、これまでもいろんな地域振興に向けた取り組みを実施されてきました。しかし、これまでの取り組みにもかかわらず、産地の状況というのは、改善するどころか、むしろ悪化の状況をたどっております。依然として下げどまる気配が見えないという状況だと思います。
 具体的には、伊万里・有田焼の売上高のピークは平成三年で二百四十九億円ありました。これが平成十八年は七十七億円と約三分の一になりました。諸富家具の出荷額はピーク時、平成五年ですけど、二百四十九億円、これが十七年の六十二億円、約四分の一まで落ち込んでおります。産地全体が大変沈んでしまっている状況というのは表現がいいのかどうかわかりませんけれども、大変苦戦をされているし、厳しい状況にあります。
 特に、伊万里・有田焼の産地では、依然として窯元や商社などの業種ごとに組織されております産地組合の一本化ができてないんですね。組合が四つぐらいあるんですけれども、その組合には、その目的とか、あるいは財務状況の問題があるかもしれません。それぞれの事情があるかもしれませんが、産地組合としては、産地再生をリードしなければいけない存在だと思います。産地がこのような厳しい状況下であればあるほど、そういう組合が三つも四つもあるのを一本にできないかなという感じがいたしております。
 このままの状況が続きますと、産地はますます元気がなくなりますし、伊万里・有田焼という、いわゆる佐賀県の顔とも言える産地を失うことになりかねない、そういう危険もはらんでおります。かつては世界に冠たる有田焼ということでありまして、これを未来に継承しなきゃいけない。何とか思い切ったことをしないとだめだと思います。有田で何か新しいことをやり出したことを認知してもらうために、外に向けて広く情報発信をする必要があると考えておりまして、今回、伊万里・有田焼の産地再生に向けた取り組みに関した質問をしたいと思います。
 産地の現状ですけれども、伊万里・有田焼の現状について、改めてお聞きをしたいと思います。


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185 : ◯志岐商工課長
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◯志岐商工課長=伊万里・有田焼につきましては、本県を代表する地場産業でありますが、景気の長期低迷を初めといたしまして、消費者ニーズやライフスタイルの変化、また、中国などからの安価な輸入品の急増などによりまして、先ほど委員からも御指摘がありましたように、平成三年には二百四十九億円あった売上高が、平成十八年には約七十七億円と、ピーク時の約三分の一まで落ち込んでおります。
 このような売上高の減少に伴いまして、事業所数も平成二年には五百八十一社であったものが、平成十七年には五百十五社と六十六社、減少いたしております。
 また、従業員数につきましても、平成二年には八千百三十六人であったものが、平成十七年には三千七百七十一人まで減少し、ピーク時の二分の一以下となっております。
186 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=この数字からも厳しいなということが改めて思われますね。
 次に、焼き物業界で本当に目立たないと申しましょうか、日の当たらないと申しましょうか、陶石から陶土をつくる陶土販売業という組織があります。皆さん、御存じかどうかわかりませんけど、川の横のほうに張りついています。そういう陶土販売業がありますが、この陶土販売業も大変厳しい状況にあります。
 資料をいただきましたので紹介をしますと、先ほど、有田、伊万里、諸富の現状を申し上げましたけれども、ピーク時は昭和五十五年ですけれども、組合数が五十五あったんですよ。販売額が二十六億九千万円と二十七億円近くあったのが、平成十八年で二十五事業者に減って、売上高が六億四千四百万円です。ものすごい落ち込みなんですね。ですから、陶土販売業の皆さんも大変苦労されているし、ここ数年で大変減ってきております。平成十年に組合員数が三十八であったのが、十九年には二十三、これは二十二になるんじゃないかと言われておりまして、数字上から見ても本当に厳しい状況に立っております。
 ですから、この辺のこともぜひしっかり頭にいれていただきたいと思いますので、この辺の状況はどういうふうになっているんでしょうか。

187 : ◯志岐商工課長
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◯志岐商工課長=ただいまお話がありました陶土製造業、陶石から陶土をつくる製造業ですけれども、事業所の多くが嬉野市、旧塩田町に集積しておりますが、この陶土業界につきましても、ただいま委員御指摘のとおり、伊万里・有田焼産地の売上高の減少に伴いまして、まず、販売額につきましては、昭和五十五年度に約二十七億円あったものが平成十八年には約六億五千万円とピーク時の約四分の一まで落ち込んでおります。
 また、同業者で組織されております肥前陶土工業協同組合の組合員の数も、先ほどお話がありましたように、昭和五十五年度末に五十五事業所であったものが、現在は二十三事業所とピーク時の約四割まで減少いたしております。
 陶磁器の生産が大量生産から少量・多品目生産へと変化する中で、陶土業界では、製造する製品、陶土自体に陶磁器のように付加価値をつけることが非常に難しいというふうなことから、販売量の大幅な減少が販売額の落ち込みに直結しているというふうなことで、陶磁器産業以上に厳しい状況にございます。

188 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=陶磁器産業以上に厳しいということですから、今度の事業の中にも何とかこういうところも組み込んでいただいて元気が出るような方策はないのか、ぜひ検討をお願いしたいなと思います。
 戻りますけれども、この産地の組合の現状、業種ごとに組織をされました産地組合の合併の話を、先ほど一本化という形で私は話をしましたけれども、この協議はどういうふうになっているんでしょうか。

189 : ◯志岐商工課長
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◯志岐商工課長=伊万里・有田焼産地には、ただいま申し上げましたように、陶土の製造、あるいは陶磁器の製造、販売など、さまざまな業種の事業者が集積をしておりまして、業種ごとにそれぞれ組合が組織されております。
 このように、さまざまな産地組合がある中、今から申し上げます五つの組合、一つは商社と窯元を中心に組織されました肥前陶磁器商工協同組合、二つ目に窯元を中心として組織されております佐賀県陶磁器工業協同組合、三つ目に全国のホテル、旅館などへ直接販売する業者で組織されております有田焼直売協同組合、四つ目に地元の小売店等に卸しております卸商業者で組織されております佐賀県陶磁器卸商業協同組合、五つ目にこれら産地組合の調整機関としての役割を担うものとして設立されております大有田焼振興協同組合、以上五つの組合におきましては、産地再生のためには志を一つにして組合の一本化を図る必要があるとして、平成十七年一月に合併趣意書が取り交わされております。この合併趣意書に基づきまして、平成十八年三月にこの五つの組合で有田焼組合合併協議会プロジェクト会議が設置され、以来、産地組合の合併に向けた協議が行われております。
 このうち、有田焼直売協同組合につきましては、平成十八年九月の臨時総会におきまして、新組合の合併には参加しないことが決議されておりまして、その後は残りの四組合での合併について協議が継続されているところであります

190 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=私が冒頭申し上げた四つの組合というのは、そのことを申したわけですけれども、この辺、有田町と何らかの連絡、連携をとっていただいて、厳しい状況にあることは間違いないわけですから、ここで下げどまるというような兆しも見られないということでありますので、ぜひそういう機会が持てるように、何とか頑張ってそういう機会を見つけていただきたいなと思います。
 次に、この産地の現状について県はどういう認識をお持ちなんでしょうか。


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191 : ◯志岐商工課長
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◯志岐商工課長=この産地の現状についての県の認識でありますが、伊万里・有田焼産地におきましては、先ほど申し上げましたように、売上高の減少に依然として歯どめがかからない。また、それに伴いまして雇用情勢も悪化し、地域の雇用の場が失われているといったことから、地域の経済雇用情勢は極めて厳しい状況にあると認識をいたしております。
 このような現状にあります伊万里・有田焼は、このままの状態が続くようであれば、いずれ産地そのものが崩壊し、長期にわたり築き上げてきたすぐれた技術や人材、あるいは地域ブランドといった貴重な地域資源を失うことになるのではないかというふうな危機感を抱いております。
 また、産地組合の合併につきましても、合併協議を続けております組合には、それぞれに事情があり、難しい課題も多々あろうかと思いますが、産地再生のためにはぜひとも実現していただきたい重要な課題であると認識をいたしております。


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192 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=今答弁いただきましたように、非常に厳しい状況には間違いないわけですから、そういう認識を組合の皆さんもぜひ共有をしていただいて、早い時期に一本化できて、それが一つの力になればいいなと、そういうふうに思います。
 新規の産地再生支援事業についてでありますけれども、どういうねらいでこの事業を立ち上げようとされていますか。

193 : ◯志岐商工課長
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◯志岐商工課長=伊万里・有田焼に対しましては、県としても、これまでさまざまな支援を行ってきたところでありますが、先ほど申し上げましたようなさまざまな環境変化の中で産地全体の売上高は依然として下げどまるといった状況には至っておりません。
 ただ、そのような厳しい状況の中にありましても、例えば、窯元のグループが主導する形で、インスタントラーメン専用として開発された「究極のラーメン鉢」、また、商社のグループが主導する形で「匠の蔵シリーズ」として開発されております焼酎グラスやビアグラス、さらに、有田を代表します陶磁器メーカー二社と万年筆メーカーとの異業種の連携・融合により生まれました「有田焼万年筆」、こういった新しい製品がここ数年、産地内で活発に取り組みを行っております窯元、あるいは商社などの事業者グループによって生まれております。全国的にも注目を集めるものが出てくるまでになっております。
 今回お願いしております産地再生支援事業は、このような意欲ある事業者の取り組みに対しまして、総合的に支援することにより、商品開発や販路開拓などにおいて新たな事業展開を促し、産地の再生を図ろうとするものであります。


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194 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=ぜひそういうことで意欲のある事業者をたくさんつくっていただいて、支援をしていただいて、そして、この事業が立ち上がってスムーズに流れていくように期待をしたいと思います。
 そして、産地再生会議、これは仮称だそうですけれども、これはどのようなメンバーで構成されて、どのような役割を果たそうと思っておられますか。


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195 : ◯志岐商工課長
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◯志岐商工課長=産地再生会議は、今、委員からも御指摘がありましたように、まだ仮称ではありますけれども、産地再生を推進し、また、支援する組織として、この中に全体会議とアドバイスグループを設置したいと考えております。
 まず、全体会議は、県のほか、地元自治体、産地組合、商工団体、事業者などで構成することにしておりまして、意欲的な事業者による新たな事業展開を産地全体で推進する母体として位置づけまして、産地再生に向けた機運の醸成などを図っていきたいと考えております。
 また、アドバイスグループにつきましては、窯業技術センターの研究員や専任のアドバイザーなどで構成いたしまして、新たな取り組みの発掘や相談に対応するとともに、事業構想や計画案の具現化、磨き上げに対する支援などを実施したいと考えております。


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196 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=そうしますと、このメンバーは地元の方たちが主体になりますか。そうじゃなくて、外部からも入れますよということなんでしょうか。

197 : ◯志岐商工課長
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◯志岐商工課長=産地再生会議の全体会議としましては、基本的には地元の関係者で構成をして、現在、こういった厳しい状況にあるというふうな危機感を関係者で共有していただきまして、そして、産地再生に向けての機運なりを盛り上げていきたい、そういうふうに考えておりますので、基本的には地元の方を中心に考えております。
 ただ、アドバイスグループの中には必要に応じて伊万里・有田焼の産地再生に欠かせない人材がいらっしゃるとすれば、それは地域以外の方を加えることについては検討していきたいと考えております。


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198 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=基本的には、地元の方を中心にということでありますけれども、これは苦言を呈したり思い切ったことを発言する人、そういう人を中に複数入れていかないと、ここ何年かに始まった下降線じゃないわけですから、その辺は思い切ったことを言う、斬新な改革ができる人、そういうアドバイスができる人をぜひ探していただきたいと私は思います。ぜひ考えてください。
 次に、商品の構想から商品開発、販路開拓までの各過程において、具体的にどのような支援を行いますか。


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199 : ◯志岐商工課長
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◯志岐商工課長=先ほどもお答えいたしましたが、最近のヒット商品、例えば、「究極のラーメン鉢」、また、「匠の蔵シリーズ」、こういった製品は窯元や商社などの事業グループで開発されております。こういった点を踏まえますと、この事業では新たな取り組みを展開しようとする事業者グループを支援の対象にすべきじゃないかなというふうに考えております。
 県としましては、このような事業者グループによる取り組みが成功するように、事業構想から商品開発、販路開拓に至るまでのそれぞれの過程、プロセスにおいて総合的に支援を行うことといたしております。
 具体的には、先ほど申し上げましたアドバイスグループによる事業全般に対する助言や新たな取り組みのため事業者が必要と希望する専門アドバイザーの派遣、また、それと並行しまして商品開発や販路開拓に対して、一件当たり上限百万円の助成を行うなどの支援を考えております。
 その一方で、新たな取り組みをまだ模索されているような事業者もいらっしゃるのではないかなというふうに思いますが、そういった方々に対しては、新たな取り組みに対するやる気を起こしてもらうために成功事例等を紹介するためのセミナーを開催したいと考えております。


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200 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=わかりました。
 今回、この質問を取り上げて、有田、伊万里に特化いたしましたけれども、陶磁器の産地が私の市にもあります。そういうところも同じような経緯をたどっております、非常に厳しい状況が続いています。最初の答弁でも出てきましたけれども、安いものが、いわゆる百円ショップみたいなところが出てきたり、安い材料を使った安いものがベトナムや中国から入ってきた、そういうのも当然影響していると思いますけれども、果たしてそれだけなのかなという感じもいたしております。もちろん、景気も基本的にはあると思いますけれども、先ほどから例の「究極のラーメン鉢」の話も出ました。これは幸いにもと言ったらおかしいんですけれども、NHKがドキュメンタリータッチで取り上げてくれまして、こういうものが非常にきいているんですね。ですから、こういうものについても情報の発信というのは非常に大事だなと、そういうふうに思います。
 先ほど、産地再生会議の話の中で、ものをはっきり言う人を入れてくれというのは、その辺にもかかっているわけでありまして、今まで産地の皆さんはそれぞれ頑張ってこられたと思いますよ。こういうのは何年か前に立ち上がっていればなと返す返すも残念ですけれども、しかし、今回こういう形で新規で計上していただきましたから、何とか成功に導くように、これは県だけじゃなくて、産地、あるいはそこを抱えている市町、関係者が一体となった取り組みをぜひお願いをしたいと思っております。
 最後に、陣内本部長にお伺いしますけれども、今後のこの産地再生の方向性についてです。県は、この事業を通じまして、この産地をどのような方向に導きたいとお考えでしょうか。


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201 : ◯陣内農林水産商工本部長
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◯陣内農林水産商工本部長=今後の産地再生の方向性ということでお答えさせていただきます。
 まず、伊万里・有田焼の産地につきましては、先ほど、売り上げが三分の一というふうなこととあわせまして、陶土業界が置かれている状況、そういったことからまた商業関係もというふうな形で非常に厳しいということは十分認識をいたしておるところでございます。
 そういったことで、先ほどから御議論いただいております産地再生支援事業ということで打ち出させていただいたところでございます。
 この産地再生支援事業の具体的な内容については、先ほど商工課長のほうからも御答弁申し上げたところでございますが、これまで厳しい中でも、例えば窯元グループとか異業種の企業がそれぞれ連携されて、先ほど委員から御指摘がございましたように、世界に冠たる有田焼を未来に継承していくというふうな思いで取り組まれている方もいらっしゃいますので、そういった新たな取り組みを総合的に支援することによりまして、いわば成功事例と言えるものを一つでも多く生み出すことによりまして、あわせてこの動きを産地全体に広げ、そういった産地全体の動きを、先ほどからお話があっておりますように、いわば世の中にも情報発信をしていって伊万里・有田焼をまた知っていただくというふうなことをやることが大事じゃないかというふうなことを考えているところでございます。
 そういった意味合いで、伊万里・有田焼の産地再生ということは重要な課題ということで、先ほど御指摘がありましたようなことも踏まえまして精いっぱい取り組んでまいりたいと考えているところでございます。


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202 : ◯石井秀夫委員
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◯石井秀夫委員=今、陣内本部長の答弁をいただきました。そういう方向性をぜひつくっていただきたい、そういうふうに期待をいたします。
 委員長のお許しを得まして、生産振興部副部長の迎さんが、聞くところによりますと、この三月で退職をされるということのようです。私は、迎さんとは、きょう、議事録を持ってきましたけど、平成八年二月定例県議会の一般質問で、まだインターネットがそんなに普及をしていないときにインターネットについてお伺いした経緯があります。
 そのときのやりとりを実は迎さんとしたものですから、ちょっと御紹介をしますと、「学術研究を目的に始められたと言われるインターネット、世界百五十カ国以上で利用され、五千万人以上、日本でも二百万人ぐらいの利用者がある」というその当時の話ですね。そして、ちょうどそのころは「世界・炎博」の情報を発信しようということで、県のPR、イメージアップ、そういうものに有意義な取り組みだろうということで、答弁は当時の松尾企画局長がしてくれました。
 迎さんは、聞くところによりますと、三十一年間お務めだったそうですけれども、三十一年間を振り返って気持ちとか思い出が何かあればお聞かせいただいて、私の質問を締めくくらせていただきます。
 ありがとうございました。


---------------203 : ◯迎生産振興部副部長
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◯迎生産振興部副部長=退職を目前にして、三十一年間の感想をという御質問をいただきまして大変恐縮しております。ありがとうございます。実は、きょうを入れてあと十九日、県庁生活が残っておりまして、実は振り返る余裕もないのではありますが、多分、断片的な感想になると思います。
 県庁生活三十一年間のうち、私は、農業関係に十五年、IT関係に九年、県庁生活を異質な農業とITという二つの分野で八割を過ごしました。ある意味、非常に幸せだった、好きな分野に携われて幸せだったなと思います。
 しかも、平成十三年から平成十八年まで続けて六年間、IT関係の仕事をさせていただきました。この時代は、国を挙げて高度情報化へ向けて進んだ時期であります。佐賀県も同じように進んだ時期で、平成十三年度当時、高速インターネット、いわゆるブロードバンドを利用できる環境は、県内で約四〇%弱でありました。県としても何とか、いつでも、どこでも、だれでもブロードバンドを利用できるようにということで幹線網を引いたり、あるいはケーブルテレビの新設に対して支援をしたりして、現在では県内で九八%強が利用できるような環境になっていると思います。ただ、高速インターネットの利用率は県内で約三七%、つまり高速道はつくったものの、通る人はまだまばらというような状況にございます。今後、ブロードバンドは、例えば遠隔医療であるとか、高齢者の安全・安心のためのシステムとか、そういう意味で人々の暮らしを陰で支える強いシステムになると思いますので、そこは今後大いに期待したいと思っております。
 それから、ちょうどこの時期には県庁の仕事のやり方が変わった時代でありました。一つは、電子県庁システムというものをつくりまして、これまで県民の方々が県の事務所に手続に来なければできなかった申請や届け出の事務の多くがインターネットを経由してできるようになりました。それから、県の内部の仕事では、従来、紙でやっていた決裁が職員一人一台のパソコンを通じて電子決裁ができるようになったとか、いろいろメリットが生じております。ただ、システムをつくった当時は、職員からも、「何でこんな使い勝手が悪いのか」とか、「遅い」とか、「ストレスがたまる」とか、いろんな不満が私のところにメールで来まして、必死になっていろいろ改修を続けて、今ではシステムもかなりよくなったのではないかなと思います。
 ただ、目的は、電子県庁は単にパソコンを使うだけではなくて、県民の利便性の向上と、もう一つは県の業務の効率化を進めて、浮いた時間を例えば現場に行くなり、あるいは政策の議論をするなりということで進めたいというふうに考えておりました。そこは今後、進化する過程でできていくというふうに考えております。
 それから、生産振興部ですので農業のことにも触れないといけませんが、十三年から十八年の前後五年間は農業関係、特に私は農業協同組合の組織の整備、いわゆる合併を推進してまいりました。特に、平成九年度一年間は農協中央会に出向いたしまして、農協の中で農協組織のよさも欠陥も見ました。私が平成十九年四月に再び生産振興部に来たときには、昭和五十二年に私が入庁した当時、多分三十七か三十八だった農協の数が四つになっておりました。さらに、今、生産者支援課は漁協も所管しているんですけれども、有明海側の漁協はすべて合併をして一漁協になっております。全国でも有数の体質の強い漁協になっております。ただ、玄海地区にはまだ十三の漁協があって、極めて厳しい環境にありまして、僕が来た当初、数字を見てびっくりしたんですけれども、十三の漁協のうち、一漁協を除いた十二漁協は事業利益ベースがマイナス、僕はここは何とかせんといかぬということで十三の漁協をすべて回りまして、漁協の役員さん方と議論をしました。漁協としての機能は今のところ、十分果たしていないんじゃないか、今後どうするのかということを議論させていただきまして、やっと自分たちの力で、自助努力で、何とか十三の漁協の体質を変えようと、組織の整備をしよう動きがあらわれました。まだ温度差もあり、それぞれ思惑もあってどうなるかわかりませんが、今後の行方に目を向けていきたいと思います。
 最後に、きょう、岡口委員さんからも質問をいただきましたイノシシ、県庁生活最後の年にイノシシ対策をするとは思ってもいませんでしたけれども、イノシシの被害を見ると、本当に三億円から四億円の間で推移をしておりまして、これは本当に何とかしないといけないということで議会でもいろんな議論をいただきました。
 特に、僕が思い出に残るのは、九月の議会で桃崎委員さんから、僕が「被害の現場をあちこち見て回っている」と言いましたら、「昼間見てもわからん、イノシシとか猿は夜しか動かん。泊まりがけで見に来い」と言われまして、早速、十月の中旬に行きまして、桃崎委員さんに連れていってもらいまして道なき道を歩きました。猿には遭遇しませんでしたけれども、イノシシには二回か三回、遭遇しました。
 こういう議会での議論や現地を見たことを踏まえて、我々としてはできる限りのイノシシ対策の充実強化を図ったと思っております。これで十分ではないかもわかりませんが、後を継ぐ職員たちが力を注いで、あと数年後には被害が軽減されるものと大いに期待をしております。
 本日は、このような機会をいただきましてありがとうございました。今後とも、職員に対する御指導、御支援をよろしくお願いして、最後の答弁といたします。
 ありがとうございました。(拍手)


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