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平成21年度3月定例会
~石井ひでおへの回答

◎古川知事 登壇=石井秀夫議員の自民党の代表質問にお答えをします。
 まず、今後の県政運営についての私の決意ということでございますが、一期目の四年間については、とにかく佐賀県を元気な県にしたい、県民満足度日本一の県にしたいという思いを実現するために、私自身が先頭に立って、ある意味、がむしゃらに取り組んでまいりました。
 「オープン」「現場」「県民協働」というキーワードを掲げ、各種の施策に積極的に取り組みました結果、例えば、特例子会社や福祉工場といった障害者の働く場をふやしていくことや、宅老所、ぬくもいホームの整備、こうした、いわば佐賀県方式とも言える高齢者や障害者の自立支援に取り組むことができました。
 また、かねてより議会でも議論になっておりました、小学校低学年における少人数学級の導入についても、各学校における少人数学級とチームティーチングの選択制の導入といった形で取り組むことができました。
 このほか、積極的に企業誘致を始めることとあわせて、トライアル発注といった県内の中小企業のものを優先して使う、こうした全国初のやり方なども取り入れまして、結果的に公約をいたしました一万人雇用創出を短期雇用を別にして達成することができました。
 また一方で、九州新幹線西九州ルート、プルサーマル、県立病院の移転など、世論の分かれる課題も幾つもございました。また、食糧費問題、商工共済問題、このような過去からの宿題もございました。私としては、こうした問題に対して判断を先送りせずに正面から取り組み、与えられた条件の中で県民の評価、歴史的な評価にたえ得る判断を行ってきたと考えております。
 一方、県内経済の底上げ、ユニバーサルデザインのまちづくり、つくる農業から売れる農業への転換など、幾つかの施策は道半ばでありましたり、さらなる充実が求められるものもございました。
 また、政策の進め方そのものについても、ややトップダウンになり過ぎていたのではないか、こうした反省もございました。
 こうした一期目の実績と反省を踏まえまして、また、現在佐賀県が置かれている人口減少や格差の拡大、こうした時代の変化、地域的な環境変化にも対応した、「くらしの豊かさを実感できる佐賀県」を実現したいという思いから、新たな四年間の任期に取り組むこととしたところでございます。
 二期目に入って、十年後の佐賀県という一つの地域のあるべき姿に到達をしていくため、四年間に実施しておくべき施策を盛り込みました「佐賀県総合計画二〇〇七」を策定して、緊急プログラムに沿って必要な財源を確保しながら、その着実な推進に努めてまいりました。
 この二年間に、長年の懸案でありました新幹線や商工共済の問題に一定の決着がつきました。あわせまして、粒子線がん治療施設の立地に向けた取り組みの本格化や、唐津市の中高一貫校の早稲田大学系属校化決定、こうしたことなどを県政の少なからぬ分野におきまして、将来を見据えた一歩を踏み出すことができたものと認識をしております。
 今後の県政運営に臨むに当たりましては、私は、ことしの県政運営の方針を「地歩を固める」すなわち足元をしっかりと固めていく年と位置づけました。このような方針のもとに、急速な景気後退の中、何よりもまず、県内の経済や雇用をしっかりと支えていくことに全力を挙げて取り組むこと、また、県政の各分野においても、これまでに取りかかって育ててきたものをしっかりと開花させていくことを念頭に、県政を進めてまいりたいと存じます。
 まずは、さきに御議決をいただきました補正予算を含みます緊急総合対策を速やかに実施し、その効果をできるだけ早く実際のものとしていくことが第一となってまいります。また、「くらしを守る」「活力を生み出す」という名前どおりに、今回の対策によって、県民の暮らしの不安が解消されることとあわせて、今後の社会のあり方を見据えた新たな活力の芽生えとなり、佐賀県の底力の発揮、ブランド力の底上げ、そうしたものにもつながっていくように工夫を凝らしてまいりたいと存じます。
 緊急総合対策の実施に必要な財源を確保するため、今回、緊急プログラムの見直しを行いました。総合計画二〇〇七につきましても、現在の社会経済情勢を踏まえて、より力を入れて取り組むべきものや、スピードや手法を見直す必要があるものなどについて整理をした上で、必要な見直しを行ってまいりたいと存じます。
 必要な見直しを行いながらも、「くらしの豊かさを実感できる佐賀県を目指す」という総合計画の基本理念については、何ら変わるものではございません。その実現に向けまして、福祉、教育、環境といった暮らしに密着した分野において、県民生活の実相にまで踏み込んだ施策を充実させていくことや、そのために必要な税収の確保を図るため、産業の振興を図っていくとともに、必要な社会資本をきちんと整備していくことに総合的に取り組んでいく必要があると考えております。
 そのような認識のもと、県政の各分野において、今と未来の佐賀県を見据えた各種政策の推進にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、財政運営についてのお尋ねでございます。
 急速に県内経済が悪化をし、今後さらに厳しさが増していくことが予測をされる中、何よりも県民の暮らしや地域経済の安定を第一と考え、緊急総合対策を緊急プログラムバージョン2.0における財政フレームの外枠として実施をすることにいたしました。これに伴いまして、緊急プログラムバージョン2.0を一部見直しを行いました。
 今、何が求められているかを考えたときに、当面の財政運営に当たって、財政の健全化から景気の回復に軸足を移すべきだと考えました。また、このように景気を回復させることによって税収がふえ、そのことが結果として財政の健全化への道につながると認識をしております。
 今回は、財政の健全化と景気回復の、いわば二羽のウサギを追おうというぎりぎりの選択をしたものでございますが、中長期的に財政の健全化をしていかなければならないという基本的な必要性は変わるものではございません。今後とも、財政健全化のための必要な見直しを絶えず行いながらも、財政運営と景気回復の両面を見据えた県政運営を行ってまいりたいと存じます。
 次に、地方分権改革についての私の決意というお尋ねでございます。
 地方分権改革推進委員会のこれまでの勧告につきましては、「地方政府の確立」という目標を明確にしていること、分権改革の本丸であります義務付け・枠付けの見直しについて、全国知事会の意見を踏まえて、約四千条項の見直しを勧告し、地方の自由度、とりわけ地方議会の条例制定権の拡充に大きく道を開いたことなどの点を高く評価しております。
 他方、国の出先機関の見直しにつきましては、看板のつけかえにならないように、今後、国から都道府県への権限移譲を進めることなどが必要と認識をしております。
 春に予定をされております第三次勧告におきましては、地方税について、国と地方の税源配分を五対五とするため、地方消費税の充実による税源移譲を行うこと。都市と地方の財政力格差の是正のため、消費税と法人関係税の税源交換を行って、地方交付税が地方の固有財源であることを明確にし、財源保障・財源調整機能を強化する地方共有税に改めること。国庫補助金や直轄事業負担金について、国と地方の役割分担や義務づけなどの見直しに応じて見直すこと。国と地方の関係について、対等、協力の関係とするため、中央政府と地方政府が協議する場として、地方行財政会議を法律により設置することなどを勧告することを期待しております。
 今回の改革は、平成十二年施行の分権一括法や、三位一体改革で実現できなかった本丸に切り込んでおりまして、強い抵抗が確かに現に始まっております。さらに、急激な経済状況の悪化に伴いまして、国と地方の財政状況もそれぞれ大きく悪化をしております。こうしたことから、税財政制度についてどこまで踏み込めるのか、不確定要素も出てきております。
 こうしたことから、改革や勧告の先行きは楽観視できませんが、分権改革は与野党がそれぞれマニフェストに掲げ、与野党大多数の賛成により、地方分権改革推進法が成立した経緯がございます。すなわち、分権改革は与野党対立ではなく、与野党一致のもと、法律により立法府が行政府に示したミッションを行政府が守るのかという政治課題であると認識をしております。
 したがって、政府が平成二十一年度中に地方分権一括法案を国会に提出するだけでなく、各党も総選挙のマニフェストに分権改革の実現を明記する必要があると考えております。
 政治主導、政治の責任で地方分権改革をしっかり進めるために、私も全国知事会政権公約評価特別委員長として、各政党のマニフェストが地方の意見を反映したものとなるよう、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、玄海三号機プルサーマル計画について、まず、この計画に対する私の認識についてのお尋ねでございます。
 我が国では、エネルギー資源の九六%を輸入に頼っております。また、中国やインドを初め、今後、世界的にエネルギー消費が増大をし、エネルギー供給が厳しくなる可能性が指摘をされております。
 こうした中、プルサーマルを含みます核燃料サイクルを実現していくことは、我が国のエネルギー供給、エネルギー安全保障にとってプラスになると考えております。また、一度使用した燃料からプルトニウムを取り出して、再び燃料として使うことは、循環型社会という考え方にも合っていると考えています。(「循環になりません」と呼ぶ者あり)
 一方、プルサーマルを含め、原子力発電に関することは安全性の確保が大前提でございます。玄海原子力発電所三号機プルサーマル計画については、二年近くの歳月をかけ、県民の皆様からのさまざまな御意見や公開討論会での慎重、推進双方からの議論などを踏まえまして、安全性に関する論点の中から基本的なものや、論争の焦点となった八項目、十二の論点について、県の考え方を取りまとめたところでございます。
 その結果、玄海原子力発電所三号機プルサーマル計画の安全性は確保されると判断をしたところでございまして、この考えは現在も変わっておりません。
 次に、MOX燃料輸送の安全確保についてのお尋ねでございます。
 まず、九州電力の輸送計画の安全確保対策はどのようなものであるかというお尋ねでございますが、九州電力のMOX燃料輸送計画における安全確保対策は、大きく分けて二つございます。
 一つは、MOX燃料を収納した輸送容器の安全確保対策でございます。
 放射性物質の漏えいの防止、放射線の遮へい、核分裂の連鎖反応の防止などを考慮した専用の輸送容器を使うこと。輸送容器は、輸送中の衝突や落下事故、火災、水没を想定しても安全性が確保される構造や強度を持っていることなどの対策が講じられております。
 二つ目は、輸送方法の安全確保対策でございます。
 船体が二重になっておりまして、衝突や座礁で沈没しにくい構造で、人工衛星を使用した航行設備や衝突予防レーダーなどを備えるといった国際海事機関の安全基準で最高レベルの輸送船を使用することや、テロなどにも備えて武装護衛船による護衛が行われることなどの対策が講じられております。(「大ごとですね」と呼ぶ者あり)
 なお、この九州電力の輸送計画については、国において専門学識経験者から成る放射性輸送物技術顧問会の御意見も伺いながら、国際的な輸送基準も取り入れた法令に照らし、厳正な審査が行われ、その結果、安全性が確保されるとの確認がなされたものと認識をしております。
 次に、今後のプルサーマルの安全確保対策についてのお尋ねでございます。
 MOX燃料が玄海原子力発電所に輸送された後、九州電力の自主的な検査に加え、国による輸入燃料体検査が行われ、MOX燃料の健全性の確認が行われます。さらに、実際に原子炉にMOX燃料を挿入して運転を開始するという前には、国が燃料の配置や制御棒の効きといった原子炉の運転に関する検査を行い、安全の確認が行われることとなっております。
 県としては、プルサーマルを含め、原子力発電については、安全性の確保が大前提であると考えております。今後とも、国に対しては厳格な検査や指導監督を、また、事業者に対しては適正な運転管理を要請するとともに、原子力に関するさまざまな情報を広くお知らせして、県民の皆様の安全・安心に努めてまいりたいと存じます。(「なっとらん」「県民投票ばせろ」と呼ぶ者あり)
 次に、有明海の再生についてのうち、有明海再生に向けた取り組みについてのお尋ねでございます。
 有明海再生に向けたこれまでの取り組みについては、一定の効果は見られますものの、有明海の環境変化の原因が必ずしも明確になっていないこともありまして、十分なものとなっていないのが現状でございます。
 このような中、御指摘のとおり、有明海では二枚貝類は減少したままでございます。ノリもことしは一部海域で色落ちが起きました。有明海の海域環境は依然として厳しい状況にあると認識をしております。
 そこで県では、これまで取り組んでまいりましたタイラギやアゲマキなどの増養殖技術の開発を加速化させるために、水産資源の回復に向けました有明海水産資源回復技術確立事業に新たに取り組むことといたしました。
 また、これまでの研究成果などを踏まえまして、新たな取り組みとして、特に厳しい現状にある有明海の湾の奥のほうの地域、一般的には湾奥部と言われておりますが、ここにつきまして、海域の特性に応じた総合的な再生策を検討する有明海再生方策検討事業に取り組むなど、一日も早い有明海再生に向け、これまで以上に努力してまいりたいと存じます。
 次に、中長期開門調査の実現に向けた取り組みについてのお尋ねでございます。
 開門調査のための環境アセスメントにつきましては、昨年九月に農水省が策定しました「環境アセスメントに関する指針」に基づきまして、現在、九州農政局において方法書の作成が進められていると聞いております。
 県としては、この方法書の作成過程におきまして、しっかりと佐賀県としての意見を述べ、その意見を方法書に反映させていきたいと考えておりまして、九州農政局の作業の動向を注視しているところでございます。
 また、その後に九州農政局において、準備書や評価書が作成されることとなりますが、それぞれの過程におきましても、県としての意見をしっかりと述べていきたいと考えております。そのため、平成二十一年度から実施を計画しております有明海再生方策検討事業の中で、排水門を開門することによる環境改善効果などについて理論的な整理を行いまして、開門調査の必要性などをしっかりと国に訴えていくこととしております。
 このようにして、ぜひとも県議会と連携を図りながら、開門調査の実現に向けて全力を挙げていきたいと考えております。
 次に、地球温暖化対策について、どういう姿勢で臨むのかというお尋ねでございます。
 地球温暖化対策をより推進していくため、エネルギー転換の促進や研究支援、そして、国民、住民それぞれのレベルにおける意識づくり、そしてまた地域づくりを早急に進めることが必要であると考えております。
 特に、低炭素社会の実現に向けて、県民のライフスタイルの見直しが必要だと考えております。そのための具体的な実施計画を策定した上で、温暖化対策を総合的に進めることにしております。
 具体的には、知識の普及と行動の呼びかけの二つの視点が必要になってこようかと存じます。こうしたことを通じて、結果的なライフスタイルの見直しにつなげていきたいと考えております。
 そうした中、県庁の役割も大きなものがあると考えております。こうした地球温暖化問題対策やライフワークバランス、男女共同参画といった時代を先んじて取り組む分野については、県庁がいわばラビット役として、地域を先導していく役割を負っていると考えております。
 こうした観点に立ちまして、例えば、地球温暖化の場面におきましては、既にこれまで使用しておりました白熱灯を電球型の蛍光灯に切りかえております。また、今回、御議決をいただきました緊急総合対策におきましても、県立学校において、更新時期を経過している照明器具について、すべて省エネルギー型に切りかえることにいたしました。こうしたことを通じて、地球温暖化対策、低炭素社会づくりに寄与するものと考えておりますし、また、県庁では私の公用車をハイブリッド化することとあわせて、県庁においてタクシーを使用する際にも、できるだけハイブリッドのタクシーを使用する率先使用の規定なども設けているところでございます。こうしたことを踏まえて、県庁がいわば音頭をとって率先垂範をしていくことによりまして、県民に対してもアピールをしていくことが望まれると考えております。
 これとあわせまして、「佐賀県環境にやさしい県民運動推進会議」を中心にした県民挙げての取り組みも必要となってこようかと存じます。それぞれの各界各層の取り組みによって、佐賀県が地球温暖化対応社会、低炭素社会にふさわしいライフスタイルに変えていくための努力を、私を先頭にして取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、少子化対策についての取り組みでございます。
 少子化対策については、単に子供を産んで育てやすい環境にするというだけではなく、地域社会のみならず、国をどのように考えていくのかということにもかかわります非常に大きな問題であると考えております。
 我が県は、夫婦共働き世帯の割合が九州では第一位、全国でも第九位と比較的高いという特徴がございます。こうした特徴を踏まえて、子育てと仕事の両立ができるような支援をしていくということを第一として、子育ての支援に取り組んでまいりました。
 その結果、四月一日時点ということではございますが、保育所における待機児童ゼロが平成十八年以降、三カ年連続で達成されております。また、必要が認められます全保育所で延長保育が実施をされております。また、必要とされる全小学校区で放課後児童クラブの設置率が九八%に達しております。こうしたことなど一定の成果は上がっているものと考えております。
 議員御指摘のとおり、昨今の経済状況を反映して、さらに共働き世帯がふえてくるということが現実問題となってきておりますし、四月一日時点においては、待機児童ゼロであった幾つかの市や町においても、待機児童が出てきているという状況もございます。より一層、共働きの方や、さまざまな状況にある方を支える、子育てしやすい環境づくりをきめ細かく進めていく必要があると考えております。
 二十一年度は、新たに「佐賀県安心こども基金」を設置することとしております。この資金を活用しながら、保育所の整備、認定こども園の県内全域での普及の促進、こうしたことを図ることとしております。また、病気を抱えた子供の保育、病児保育を開始したり、病気が治ったばかりの子供、病後児の保育、こうしたことを行う施設を拡大していきますこととあわせて、余りにも大きくなり過ぎている放課後児童クラブの規模を適正化していくことや、放課後児童クラブの開設時間を延ばすことや、土曜日にも開設していただくことなど、内容の充実にも引き続き取り組むこととしております。
 さらに、妊婦健康診査の重要性や必要性が高まっていく中、妊婦の健康管理の充実、そして、経済的負担の軽減を図っていくために、佐賀県妊婦健康診査支援基金を設置して、市や町が実施をする妊婦の健康診査事業に対し補助することとしております。
 このほか、今回の緊急雇用対策におきましても、県が直接雇用をする臨時職員につきましては、子育て中の方々が働きやすいように弾力的な勤務時間を準備するなど、こうしたことに配慮しながら支援をしていくことにしております。
 いずれにしても、少子化対策については、将来の佐賀県を見据え、福祉、保健、雇用労働、教育はもとより、幅広い視点で県民が将来の展望を持ち、県内どこにいても安心して子育てができるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、新しい県立病院の整備運営についてのお尋ねでございます。
 まず、予算の確保についてのお尋ねでございますが、新しい県立病院の移転改築事業についての建設費用や医療機器整備費用などについては、病院事業債の起債、借金が可能となっております。この元利償還額の二分の一は病院が負担しますが、二分の一は一般会計が負担することになります。この負担額の六〇%相当は交付税措置されることとなっておりますものの、いずれにしても、県としても多額の財政負担が必要になることに間違いはございません。
 県の財政状況や自治体病院をめぐる環境は厳しいものがございますが、高度専門医療や救急医療など、県民に必要な医療を確実に提供していくため、着実に新県立病院の整備を進められるように、県として必要な予算はきちんと確保してまいりたいと存じます。
 また、進捗状況についてですが、今年度は基本設計を行っております。そして、来年度はこの基本設計に基づいて実施設計を行うことにしておりまして、移転用地の造成工事に着手をする予定でございます。平成二十二年度以降、建設工事や医療機器整備などを行いまして、平成二十四年度中の開院を目標としておりますが、現在のところ、おおむね予定どおりに進捗をしております。
 次に、地方独立行政法人の特徴を生かした病院の運営についてというお尋ねでございます。
 今回、運営形態を地方独立行政法人に移行することといたしましたが、法人化によりまして、独自の人事評価制度や給与制度などを構築しまして、病院経営により適したものにしていくことが可能になります。そうしたことが、医師を初め、必要な人材の確保やいい人材の獲得にもつながっていくと考えております。
 一例としまして、我が県に先行して地方独立行政法人化している例を申し上げますと、最近、採用が難しくなってきております薬剤師の募集に際しまして、直営では創設が難しい独自の手当を新設することで人材確保に結びつくなど、法人化の効果が出ていると聞いております。
 また、複数年契約の拡大やほかの病院と共同購入を行うなど、多様な契約手法を採用したり、経営、運営に対する職員の参画意識を高めることなどによりまして、経営面における効果も出るものと期待しているところでございます。
 働く人にとって働きがいのある病院となることで、優秀な人材に選ばれる魅力のある病院となりまして、そのことが患者にとっても魅力的で、患者に選んでいただける病院となると思います。そのために、地方独立行政法人のメリットを最大限に生かしていただきたいと考えております。
 次に、新型インフルエンザ対策についてのお尋ねでございます。
 私は、新型インフルエンザを発生するかもしれないではなく、いつか必ず発生するものとして対策を進めるべきであると考えております。そのため、県は国の対応を待つことなく、県ができることについては独自に取り組むこととしております。(「プルサーマルもっと怖いよ」と呼ぶ者あり)
 この考えのもと、ことし一月に、「あわてない」「集まらない」「がんばらない」をキーワードとして、「佐賀県新型インフルエンザ対応行動計画」の改訂(第三版)を行いまして、対策を推進することといたしました。
 具体的な対策として、まず、タミフルなどの抗インフルエンザウイルス薬の備蓄については、国が想定している人口比四五%の備蓄率より、さらに五%上乗せした備蓄を行うことで県民の安心を確保することといたしました。
 また、医療体制の確保のため、県内すべての医療機関などにおけますマスクやガウンなどの個人防護具などを県単独で整備することといたしました。これらの整備に関しましては、緊急総合対策の一つとして今議会に提案をさせていただき、先般、御了承をいただいたところでございます。
 今後、医師会や関係医療機関と十分調整を図りながら、より具体的な医療体制を整備していきたいと考えております。
 一方、議員御指摘にありましたように、県においても住民に最も身近な行政機関である市や町との連携は必要不可欠であると考えております。このため、先月、担当部局に指示をして、各市町を回り、県の対策、そして市町の役割について説明を行いました。あわせて、市町版行動計画の策定や連携した取り組みについてお願いをいたしました。
 今後とも、引き続き迅速に策定作業が進むように、必要な助言を行ってまいりたいと存じます。
 さらには、電気、ガス、水道などのライフライン事業者を初め、社会機能を維持する上で必要不可欠な業務を担う事業者に対しましては、感染リスクを抑え、業務を継続していただくための事業継続計画をなるべく早く策定していただく必要がございます。先月には、こうした事業者を対象にしました「事業継続計画のためのセミナー」を開催し、取り組みを始めました。
 いずれにしても、新型インフルエンザは、いつ発生してもおかしくないとの危機意識を持ち、県全体が一体となって社会機能を維持できるように取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、粒子線がん治療施設についてのお尋ねでございます。
 まず、資金確保についてのお尋ねでございます。
 米国のサブプライム問題に端を発した今回の世界規模での経済危機は百年に一度とも言われまして、我が国経済にも深刻な影響を及ぼしております。百三十億円の資金確保については簡単なことではないことは、もちろん議員御指摘のとおりであると考えております。
 しかし、その一方で、粒子線がん治療施設のすぐれた効果が知られていくにつれまして、ぜひ実現してほしいという声や応援したいという申し入れもふえてきております。
 現在、経済界、医療界、大学、行政関係者で事業推進委員会を組織して、事業計画のもととなる事業計画案の策定の詰めの作業を行っております。特別目的会社が立ち上がり、事業計画が固まれば、資金確保の目標を達成できるように、私が先頭に立ち、精力的に活動してまいる所存でございます。
 議員からは、県に資金集めのプロジェクトチームを組織して支援するなど、相当の覚悟を持って臨む必要があるという御指摘をいただきましたが、資金集めは特別目的会社、医療運営法人、そして県が一体となって行っていくことがむしろ必要ではないかと思っておりまして、そうした観点から、特別目的会社などと話し合いを行ってまいりたいと存じます。
 次に、人材確保に向けた取り組みについてでございます。
 これについては、地元佐賀大学を初めとしまして、九州大学、久留米大学、福岡大学並びに放射線医学総合研究所の先生方に御参加をいただきまして、具体的な人材確保と育成方策について御検討をいただいております。
 高度な粒子線治療に対応できる医療スタッフを確保するため、関係大学や放射線医学総合研究所の協力を得ながら、開業までの四年間の間で研修プログラムを組むなどして、人材養成に取り組むことなると考えております。
 先ほど申し上げました関係大学や放射線医学総合研究所も非常に協力的でございます。人材確保については、しっかりと必要なものが実現できるようにしてまいりたいと存じます。
 次に、計画実現に向けた決意でございます。
 がん撲滅は、佐賀県だけでなく、国民的な願いでもございます。今回の計画が実現できれば、佐賀県、九州、全国、ひいては海外に至るまで、がん患者に福音を与えることができると信じております。来年度は、平成二十五年春の開院に向けた基礎を築く大切な年になると職員には自覚を促しております。私も強い指導性を発揮し、実現に導きたいと考えているところでございます。
 次に、商店街の活性化についてのお尋ねでございます。
 私が小さいころは、まちの商店街はそこに住む人々や周辺の地域から来られた方々がたくさん来られている場でございました。交流もあり、娯楽もあり、まさに地域コミュニティーの核であり、晴れの場でもございました。そうした時代をよく知っている者の一人として、現在の状況を大変寂しく思っておりますし、何とか復活をしていただきたいと心から思っているところでございます。
 そういった意味で、自分たちのまちをどうするのかといった意識を、まずは商店街の関係者がしっかりと持っていただきたいと考えております。
 議員御指摘ございましたように、今回、国の新法による支援制度も検討されています。こうしたことを活用するに当たっても、まずは地元の商店街、そしてさらに地元の自治体、こうしたものがどのように取り組んでいくのかということが何より必要であろうと考えております。そうした強い思い、熱い思い、そうしたものを持って取り組まれる商店街の再生方策については、県もしっかりと支援をし、努力を惜しまずにやっていかなければならないと感じております。そして何より、こうした地域商店街の再生策の実例を佐賀県で生み出すようにしていかなければならないと強く考えておりまして、しっかりと支援をしていきたいと考えております。
 県では既に、地元商店街などでの消費拡大の取り組みとして「Buyさがん運動」を推進してきております。今回の定額給付金の給付と合わせた各地域での取り組みも呼びかけているところでございます。こうしたこともあわせて、ぜひとも商店街の活性化を、そして、その成功事例を実現させていきたいと、強く念じているところでございます。
 次に、佐賀県農業の振興についてのお尋ねでございます。
 大きく変化をしていっております農業情勢の中で、佐賀県農業が持続的に発展をしていくためには、何より消費者が求めている安全でおいしい農産物をしっかりと生産をすること。そして、それに付加価値を受けてしっかりと売っていくことが重要であると考えております。
 今後の農業振興に当たっては、有機や特別栽培といった環境保全型農業の取り組みを拡大していくことや、重油などへの依存を減らした省資源型農業への転換を進めていきながら、特に水田農業については、温暖化に対応した「佐賀三十七号」の普及とマーケティングの確立、水稲の直まき栽培など革新技術を普及させていくことによる低コスト化や、集落営農組織などの経営力の強化などに力を入れていくことにしております。
 また、園芸農業につきましては、ミカンの糖度を高めるための高畝マルチ栽培や、お茶のうまみを増すための被覆栽培などの普及によります高品質化の推進や、ホワイトアスパラガスやアイスプラントなどの新品目の生産拡大、新規就農者や集落営農組織の取り組みによる園芸産地の育成強化などに積極的に取り組むこととしております。
 さらに畜産については、優良な県産の肥育素牛の安定確保による佐賀生まれ、佐賀育ちの佐賀牛の生産拡大、自給飼料の増産などによる低コスト化や畜産物の一層の高品質化を通じた経営の安定化などにしっかりと取り組むこととしております。
 こうした取り組みに加えまして、全国に誇れるブランドであります佐賀牛やハウスミカンなどに代表される県産農産物の大都市圏を初めとする国内での販路拡大や輸出を促進していくこととしております。
 また、農業者と加工業者などが連携して、豊富な県産農産物を活用した新商品の開発や販路開拓などに取り組む農商工連携の促進などにも力を入れていくことにしております。
 このような取り組みを積極的に推進することによりまして、魅力があり、希望の持てる佐賀県農業となるよう、その振興に努めてまいりたいと存じます。
 また、米の生産調整の見直しについてのお尋ねでございます。
 生産調整については、自由に米をつくりたいという農家の意欲をそいでいるという意見がございます。一方で、本県のようにまじめに生産調整に取り組んできた農家にとっては、依然として米価が下落してしまうことなど、生産調整の効果が十分には上がっていないではないかという不満もございますし、また、一定の価格維持という生産調整の恩恵を、制度を守らない農家も受けているということに対する不公平感が生じております。こうしたさまざまな問題があります。
 今回、国において正直者が報われるような生産調整のあり方を抜本的に検討されるということについては、大いに期待をしているところでございます。その検討に当たっては、どうやったら日本の農業を守っていけるのか、日本の農家、そしてさらには日本の農業地域を守っていくことができるのか、そうした観点での検討を行っていきたいと考えますし、そうしたことを通じ、農家だけでなく、消費者である国民にもしっかりと納得していただけるような仕組みにしていただきたいと考えているところでございます。
 農林水産漁業がしっかりしてこそ、商店街を初めとする佐賀県経済の基盤がしっかりしてまいります。こうした観点からも、こうした一次産業地域にお住まいの方々の経済がしっかりしていくような、そうした仕組みを考えていただきたいと強く念じているところでございます。
 次に、経済動向を踏まえた企業誘致の推進についてのお尋ねでございます。
 厳しい経済情勢のもとで企業誘致活動を展開するに当たりましては、企業の立地ニーズだけでなく、現在、そして将来を見据えた企業誘致の方針が必要であると考えております。近い将来と遠い将来という複数の視点を持つことが何より重要であると私は考えております。
 そうしたことを考えたときに、現在のような景気後退期にありましても、例えば、情報通信関連産業というのは非常に意欲的でございます。むしろ東京のように地価が高く、また電力料金も高い地域から、他に比べて、地価も、また電力料金も安い地域に情報通信関連産業をシフトさせていきたいというふうな動きもございます。こうしたことに、素早く敏感に反応していくことをまず行ってまいりたいと存じますし、流通業においては、さらなる低コスト化、さらなる効率化というものを目指すという観点から、九州の中央に位置する佐賀県にアプローチがあるということもございます。こうしたものをまずしっかりやっていきたいと考えております。
 また、これまで設備投資をリードしてきた自動車関連産業や半導体関連産業も、この景気後退期が終われば、また復活していくこととは存じますが、こうしたこととあわせて、新しい分野である太陽光発電などの新エネルギー関連産業や、次世代の照明と言われる発光ダイオードの関連産業、こうした将来のエネルギー関連産業の誘致にも力を入れてまいりたいと考えております。
 こうした新しい受け皿となりますものとして、地元の市や町と共同して、新産業集積エリアの整備を進めております。現状では、景気回復の見通しが立ちませんので、整備スケジュールについては工夫をし、再検証することが必要だと考えておりますが、いずれにしても、景気や企業の設備投資意欲が回復する時期を逸しないように事業を進めていくことが重要だと考えております。
 企業誘致活動においては、企業から、事業計画にあわせた用地や働く人たち、労働力の確保などの要望や課題が提示をされます。そして常に、そのときそのときにおける企業に対する柔軟かつ機動的な対応が求められます。
 私自身、こうした点を念頭に置きながら、新しい産業、伸び行く産業に対する重点的、積極的なトップセールスを行いまして、将来を見据え、さまざまな企業との情報交換に努めながら、一社でも多くの企業立地が実現するように取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、佐賀県観光の振興についてのお尋ねでございます。
 私は、佐賀県観光は非常に重要であると考えております。何より、こうしたことを通じて地域に誇りを持つことができます。また、こうした魅力を感じて地域を訪れていただく方々がたくさんふえるということを通じて、地域経済の振興にもつながりますし、何より観光の熱心なところというのは、地域のブランド力を身につけていると考えております。
 佐賀県そのものの地域力を向上させていくためにも、佐賀県のブランド力を向上させていく、そのためには、佐賀県の観光の振興をしっかりと図っていくことが必要であり、重要だと考えております。
 本県には、さまざまな自然、歴史遺産、温泉などがございます。こうしたものを観光商品としてどう生かしていくのかという取り組みがますます求められると考えておりますし、今後、高齢者が活発に観光に動いていくということを考えますと、高齢者にとって旅行しやすい環境をどうつくっていくのか、そのためにもユニバーサルデザインによる地域づくりが重要となっていくと考えておりますし、また、こうした景気の状況にあっても、例えば、香港からの外国人観光客の数は堅調に推移をしていることに見られますように、外国人観光客にとっても旅行しやすい環境をつくり上げるということも求められると考えております。
 観光も、経済と同じく日に日に変化をしております。こうした変化に柔軟に、そして時代を先取りして対応していくことによって、ほかの地域よりも魅力のある観光のしやすい地域をつくっていくことができると考えております。
 こうした観点から、平成十六年度から佐賀県観光連盟に旅行会社から一名の派遣を受け、民間的な発想と営業力で佐賀県観光の振興に取り組んでおります。こうした中から、外国人観光客の誘致の取り組みなど、新たなものも生まれてきております。平成二十一年度は、この民間人スタッフをさらに増員しまして、観光客誘致の取り組みを強化していくこととしております。
 次に、九州新幹線についてですが、進捗状況についてでございます。
 西九州ルートについてでございますが、鉄道・運輸機構からの聞き取りによりますと、九州新幹線西九州ルートの県内区間の進捗状況につきましては、昨年末までに基準点測量及び水準測量を終えました。現在、中心線測量及び横断測量が実施をされております。
 また、昨年十一月に施工業者が決定をしました嬉野市の俵坂トンネル(西工区)については、三月までに地元調整や埋蔵文化財の確認調査を行いました後、トンネル坑口の仮設ヤードを造成して、夏ごろまでには本格的な工事が始まると伺っております。
 また、平成二十一年度予算の事業としては、俵坂トンネル(東工区)など、比較的工期が長いとされるトンネル工事や、高架橋の概略設計などの発注が予定されていると伺っております。
 次に、この建設投資効果の拡大についてのお尋ねでございます。
 建設投資効果を県内により広く、より強く及ぼしていくための拡大に向けた提案については、私自身が昨年の四月に鉄道・運輸機構の理事長に要請をいたしました。この後、副知事や担当部長からもさまざまなレベルで再三要請を行っております。
 鉄道・運輸機構からは、全国的な制度とのバランスの関係から、難しいところもあるという指摘は受けておりますけれども、私どもがこうして取り組んでいることについては、一定の評価を得ているものと理解をしておりますし、こうした県の取り組みとあわせて、佐賀県の経済団体でもこうしたことについての取り組みを積極的に行っていただいておりまして、大手の建設会社を初めさまざまなところに、県内の業者とのジョイントでありますとか、県内からの資材等の納入についての働きかけをして、一定の成果を得ているところでございます。
 こうした結果、県内からの資材等の納入については、鉄道・運輸機構から地元企業が参画できるように工夫をするという発言を得ました。また、こうしたことを受けて、県内経済三団体で設置されました「九州新幹線西九州ルート建設投資効果の佐賀県内への拡大を推進する会」という会がございます。こうした会と連携をとっていきながら、効果の拡大を図っていきたいと存じます。
 今後とも、実現が難しい場合でも、提案内容の精神をどういう形で具体化していくのかということについて、経済団体を初め関係者のお知恵をさまざまおかりしていきながら、引き続き精力的に働きかけを行ってまいりたいと存じます。
 次に、肥前山口から武雄温泉間の複線化についてのお尋ねでございます。
 昨年十二月の政府・与党ワーキンググループ合意で、肥前山口─武雄温泉間の複線化などを進めることとし、さらにその具体化の方法の検討を行うとされました。それを受けまして、その調査費が平成二十一年度の国の予算に盛り込まれました。現在、国において具体的な調査方法などについて検討されているところでございます。
 整備スキームについては、国との協議次第でございますが、県としては、この区間の複線化工事に伴いまして、地元負担が発生する場合には、その負担を県が行うこととしております。沿線の市や町に負担を求めることは考えておりません。
 次に、在来線走行区間の踏切対策についてのお尋ねでございます。
 西九州ルートの在来線走行区間であります新鳥栖から武雄温泉間の沿線住民の皆様が、踏切の渋滞や安全性などに不安をお持ちであるということは承知をしております。県としても、平成十九年の十二月に「九州新幹線西九州ルート沿線踏切対策検討会」を立ち上げまして、沿線市町とどのような対応ができるのか検討を進めているところでございます。
 そのような中、在来線走行区間も新幹線が高速で走るなどという誤解もありましたので、ことしの一月に吉野ヶ里町と協議の上で、区長や町議会議員の皆様に対して、担当部局から在来線走行区間の新幹線開業後の状況、すなわち、この在来線区間については、現在走っている在来線の特急と同じ速度であるということなどの説明を行いました。ほかの沿線市町とも調整を行っているところでございます。
 議員御指摘のとおり、できるだけ早く沿線住民の皆様の不安を解消できるように、今後ともどのような対応が可能なのか、沿線市や町と検討を進めていきたいと存じます。
 次に、鹿児島ルートに対する県の負担額の増加についての県の姿勢についてでございます。
 建設物価の高騰によります建設事業費の増加について、本年一月七日に国土交通省から説明がございました。その後、一月十四日、そして二月十日に鉄道・運輸機構から個別に説明を受けました。
 この説明によりますと、西九州ルートについては、昨年の四月に着工したばかりでございまして、参考までに事業費を試算したものでもあることから、今回負担増を求めるものではないと言われております。
 一方、鹿児島ルートについては、確定したものではございませんが、佐賀県負担の対象となる事業費が約五十四億円増加するという説明を受けました。具体的には、約七百八十九億円だったものが、約八百四十三億円になるという説明でございました。この五十四億円分の鹿児島ルートの増額分を、これまでのルールである三分の一を地元が負担すると仮定し、試算をした場合には、その増加額は約十八億円、交付税措置後の実質負担で約十億円の負担増となります。
 県としては、最近建設資材の物価が下がっている状況もあるのではないかと、こうしたことの指摘をいたしまして、鹿児島ルートの今回の事業費増加の理由について、国や鉄道・運輸機構に納得のいく説明をしていただく必要があると考えております。その上で、関係県である福岡県及び熊本県とも歩調を合わせながら、例えば、昨年国が示されたような将来の貸付料を増加分の財源に充てるなど、できるだけ県負担が生じないように国に求めていきたいと考えております。
 次に、有明佐賀空港について、開港十年の評価についてのお尋ねでございます。
 平成十年七月二十八日に開港しました有明佐賀航空は、折からの航空の自由化という流れの中で、開港からの五年間は、平成十三年八月の日本エアシステムの大阪便からの撤退、平成十五年二月の全日空名古屋便の運休など、厳しい状況が続いてまいりました。
 しかしながら、平成十六年七月の九州で初めてとなります夜間貨物便の就航や、平成十八年一月からの台湾とのプログラムチャーター便の運航、さらには、平成十七年十月と、昨年十一月の東京路線の相次ぐ増便などがありまして、人、物の交流の拠点として、近年着実に成長を続けていると考えております。
 しかしながら、その一方で、増便前の平成十九年の調査では、半径二十キロ圏内にある佐賀県及び福岡県南西部地域からの利用率が三割にも満たないという状況にあったことから、何よりも地元の皆さんの利用をふやしていくことが大きな課題であると考えております。
 さらに、夜間貨物便や国際チャーター便の運航再開というものに加えまして、議員御指摘の空港の収支についても引き続き改善に向けた努力を続けることが重要な課題であると認識をしております。
 この空港の収支については、お隣福岡県の福岡空港の収支差が年間で約九十六億円の赤字に上るなど、一般的な空港の収支について非常に厳しいものは承知をしておりますものの、少しでも空港の収支差が縮まっていく努力を重ねていく必要があると認識をしております。
 次に、今後の目標と取り組みについてのお尋ねでございます。
 このような課題を踏まえて、県としては、平成二十二年十月末に予定されている羽田空港の新滑走路の供用開始後における発着枠の段階的な拡大の際に、さらなる増便、五便化を実現したいと考えております。
 このため、新年度からは、この目標実現に向けて新たに佐賀県及び福岡県南西部地域を対象にしたマイエアポート運動を展開することとし、現在福岡空港を利用されている方々の意識の転換を図り、一人でも多くの地元の方が有明佐賀空港を利用されるように働きかけてまいりたいと存じます。
 また、夜間貨物便については、航空会社と連携をとり、新たな運輸事業者や荷主の開拓に力を注ぐとともに、プログラムチャーター便については、早期の運航再開に向けて、引き続き台湾の旅行代理店への営業活動に取り組み、今後の世界経済の転換の動きに迅速に対応できるように、しっかりと準備を行っていきたいと考えております。
 いずれにしても、地域の可能性を大きく広げる貴重な財産であります有明佐賀空港を最大限に生かせるように、さらなる飛躍に向け、利活用促進に全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
 次に、道路特定財源の一般財源化に伴う今後の道路整備の進め方についてでございます。
 道路特定財源の一般財源化に際して、地方財政に影響を及ぼさない、必要と判断される道路は着実に整備するとの閣議決定がなされたことから、これまで地方枠の確保につきまして、政府・与党に対して地方六団体として強く要請をしてまいりました。
 平成二十一年度の国土交通省道路関係の政府予算案では、道路特定財源の一般財源化に際して創設された新交付金と、補助事業費を合わせた地方配分額は、平成二十年度に一兆二千四百六億円であったものが、平成二十一年度には、一兆三千四十五億円と、五%増となっております。地方へ手厚く配分されたものとなっております。
 一方、直轄事業におきましては、今年度一兆四千二百十九億円であったものが、平成二十一年度には一兆二千五百四十八億円と、前年に比べ一二%減と非常に厳しいものとなっております。西九州自動車道や有明海沿岸道路を初めとする本県の直轄道路整備への影響が懸念されるところでございまして、着実な道路整備が進められていくよう国に働きかけていきたいと存じます。
 また、これまでの地方道路整備臨時交付金にかわるものとして創設をされた九千四百億円の地域活力基盤創造交付金でございますが、この交付金については、道路を中心に、それに関連をいたします、ほかのインフラ整備や関連するソフト事業も含めて、地方の実情に応じて使うことができるとされておりますが、この制度の内容については、現在のところ未確定でございます。地方自治体が活用しやすい、自由度の高い仕組みとなるように、全国知事会を通じて要望しているところでございます。
 佐賀県では、旅客の九六・四%が自動車を使って移動し、貨物の九四・五%が自動車によって運ばれているという、いわば自動車県でございます。また、自動車保有台数も、面積当たり、人口当たり、一世帯当たりで全国平均を上回っております。
 このように、自動車への依存度が高い佐賀県におきましては、日常生活や産業を道路が支えていると言うことができると存じます。
 一方で、県内の道路は整備率、四車線整備状況ともに全国平均をかなり下回っておりまして、整備がおくれていると認識しております。
 厳しい財政状況ではございますが、より一層の選択と集中で、効果的な整備を行うなど、めり張りをつけた事業の取り組みを行いまして、必要と判断される道路整備については、着実に整備を進めることで、県民の期待にこたえてまいりたいと存じます。
 次に、建設業の経営安定化対策についてのお尋ねでございます。
 まずは、建設業に対する私の認識についてのお尋ねでございますが、建設業は長い間、社会資本整備の担い手として、地域になくてはならないものでございます。また、安定した雇用の確保などを通じて地域経済の発展にも寄与されてきました。県民の暮らしや産業などを支える重要な産業であると認識をしております。
 しかしながら、昨今の公共事業の減少などを背景として、過度な低入札での受注競争が続いていく中、建設業者の経営状況は非常に厳しくなっております。これまでも県議会におきまして、入札契約制度のあり方について、さまざまな議論が行われてまいりました。
 入札契約制度につきましては、これまでもこうした議論を受けて一定の見直しを行ってまいりましたし、現在も本年四月に見直しを行うための検討を行っている段階でございます。
 その内容の主なものとしては、予定価格の事後公表の拡大、総合評価落札方式の拡大及び評価手法の一部の見直し、公告から入札までの期間の短縮などを考えているところでございます。
 議員が御指摘をされた最低制限価格の改正についてでございますが、私自身、去る二月二十六日にメートプラザで開催をされました「建設業・建設関連産業の経営確立緊急大会」に出席をしました。その中で、倒産を経験された方や若手の従事者、下請の方などの生の声をお聞きしました。建設業の置かれている厳しい経営状況を改めて認識をしたところでございます。
 経済や雇用情勢の悪化している今の状況を踏まえますと、建設業者においても雇用をしっかり確保していただいて、むしろ雇用の受け皿を担っていただきたいという期待のもと、現在、予定価格のおおむね八五%程度で運用している最低制限価格を、当面おおむね九〇%程度にまで引き上げ、緊急総合対策事業から適用することとしたいと存じます。
 次に、教育行政についてのお尋ねでございます。
 学力調査と学力向上等への取り組みについてのお尋ねでございます。
 学力向上に向けた取り組みには、学校のみならず、家庭や地域との連携協力が必要でございます。この点で、保護者や地域住民への情報の公開、共有は重要であると考えます。
 しかしながら、私は幾つかの都道府県で行われております、県が主導をして公開をするということに対しては、やや疑問を持っております。
 そもそも、こうした公立の小・中・高はほとんどの場合、市町村立でございます。その市町村立であるということは、すなわち、その設置は市町村長であり、その運営については、一義的には市町村の教育委員会が担っているものと理解をしております。そこの市町村の住民から、あるいはその学校に通う子供の保護者から、学校に対し、市町村に対し、そうした情報の提供について求められるという状況が県内でたくさん生じていれば、これは県としても考えなければならないのかもしれませんけれども、私は現時点において、佐賀県においてはそうした情報公開を求める動きというものが全県的に起きているとは認識しておりません。
 こうした学力の状況の公表については、まずはその学校に子供を通わせておられる保護者の方々が学校に対して求められ、そしてさらには、それぞれの学校を設置している市町村に対して求められる。そうした中で県としてどうするのかということが求められていくのではないかと考えておりまして、私自身が率先をして、県のほうから具体的な市町村や学校ごとの結果を公表することは考えておりません。
 なお、県の教育委員会では、独自の取り組みとして、県全体に加えまして、県内五つの教育事務所単位での結果を公表されておりますが、これはあくまでも県行政として許されるところではないかと考えているところでございます。
 次に、学力向上への取り組みについてでございますが、私も、まずは各学校が調査をもとに、みずからの成果と課題を客観的に検証して、授業の改善などに取り組むことが不可欠だと考えております。
 このため、県の教育委員会でも、今年度は三百回を超える訪問支援を行い、現場の機運も高まっておりまして、特に重点的に取り組んだ学校では、学力の向上も見られるというふうに伺っております。
 この成果も踏まえまして、来年度予算におきましては、新たに提案公募に基づき、訪問支援などを行いまして、自律的、主体的な課題解決を後押しする魅力ある学校づくり推進事業や、中学一年の学習環境改善のための小規模学級、チームティーチング選択制などをお願いしております。
 学力向上など教育課題の解決のため、ほかの県の先進的な取り組みについても、積極的に情報収集などを行うこととあわせて、それぞれみずからも調査研究をしていきながら、佐賀県らしい効果的な施策が確実に実現され、学校や市町教育委員会とも一体となって取り組まれるように期待をし、また、私自身も取り組んでまいりたいと存じます。
 私からは以上でございます。


12 : ◎川崎教育長

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◎川崎教育長 登壇=教育行政についてのうち、不登校対策としての魅力ある学校づくりについてお答えをいたします。
 不登校を未然に防止するためには、まずもって魅力ある学校づくりに取り組むことが重要であろうと考えるところでございます。
 魅力ある学校とはということでございますけれども、学業のみならず、スポーツや文化、芸術など、さまざまな場面におきまして、生徒一人一人に存在感があり、授業がわかりやすく、そして安全・安心で、おのずと通いたくなるような学校であろうととらえております。
 このため、県教育委員会といたしましては、教育のあり方や教育内容の改善、生徒指導の充実などに努めてきたところでございますけれども、とりわけ中学校におきましては、不登校者数が、平成十八年度、十九年度と連続して対前年度より増加しているという状況にございます。こうしたことから、教育環境のなお一層の充実を図っていくことが重要と考えている次第でございます。
 そこで、平成二十一年度から、来年度から、新たによりよい教育環境を整えるために、魅力ある学校づくり推進事業を初めといたしまして、中学校第一学年におきます小規模学級、またはチームティーチング選択制を導入することといたしました。
 また、不登校児童生徒に対しまして、きめ細かで柔軟な対応ができるよう、不登校の割合が高い中学校に非常勤講師を配置し、校内指導体制を強化いたしますとともに、スクールカウンセラーを重点配置いたしまして、相談時間をふやすこととしている状況でございます。
 いずれにいたしましても、不登校や魅力ある学校への取り組みは、学校だけでなく、家庭や地域の連携協力があってこそ実を結んでいくものと考えるところでございます。各種事業の進展に当たりましては、効果的な取り組みとなるよう、学校や市町教育委員会と一体となりまして取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。


3 : ◎伊藤警察本部長
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◎伊藤警察本部長 登壇=石井秀夫議員の警察行政についての質問にお答えいたします。
 県警察におきましては、現下の厳しい治安情勢に的確に対応するため、本年の活動重点といたしまして、安全・安心なまちづくりの推進、交通事故総量の抑止、犯罪の検挙対策の強化、少年の非行防止・保護総合対策の推進など七つの項目を定め、各警察職員が真摯に、かつ一丸となって県内の治安再生と県民の信頼確保に向けた各種対策を推進し、県民の方々が真に安全・安心を実感できる地域社会の実現を目指していきます。
 特に昨年は、全国的には交通事故死者数が減少する中、本県における死者数は大幅に増加し、増加率及び人口十万人当たりの死者数が全国ワースト第一位になったという深刻な情勢を踏まえ、交通事故死者の約七割を占める高齢者の交通安全教育を推進するとともに、交通事故の発生状況に応じた交通指導取り締まりの強化、夜間における重大事故防止等を目的としたヘッドライト原則上向きの広報活動等を強力に推進し、交通事故総量を抑制することを目的としていきたいと考えております。
 また、この活動に当たりましては、県、市町等関係機関や、交通ボランティアの方々との緊密な連携に配意してまいりたいと存じております。
 また、依然として被害が深刻な振り込め詐欺対策については、昨年、県内の被害総額が一億円を超えたところであり、犯人グループの検挙はもとより、犯行に使用している預金口座や携帯電話等の、いわゆる犯行ツールの提供行為の取り締まりを徹底するとともに、県民の協力により、だまされたふり作戦を行うなどして、犯行ツールの使用を凍結し、振り込め詐欺をやりにくくする環境づくりを強力に推進してまいります。
 あわせて、自治体や金融機関、防犯ボランティアの方々等との連携を図り、ATM周辺における警戒活動、具体的な犯行手口を示した広報・啓発活動、高齢者を重点とした被害防止のための指導等を積極的に推進し、予定される定額給付金に伴う振り込め詐欺被害の未然防止を含め、検挙と予防の両面から県警察を挙げて振り込め詐欺の抑止に取り組んでまいります。
 一方、薬物汚染、とりわけ大麻につきましては、インターネットを通じて容易にその種子が入手できること、また、栽培も容易であることなどから、昨年全国では検挙件数、検挙人員ともに過去最高を記録したほか、検挙人員に占めます初犯者の割合が八五%と極めて高く、年齢層も三十歳未満の若者が六二・五%を占めることなどから、大きな社会問題となっております。
 県内におきましても、昨年の検挙人員は十四人で過去最多であり、三十歳未満の若者の割合も約七割となっており、全国同様、問題の深刻化が進んでいます。
 本年に入り、二月までの検挙人員は既に六人に上っており、うち五人が若者であるなど、今後、さらなる汚染の拡大が懸念されることから、県や学校等の関係機関・団体と連携した広報・啓発活動を強化し、大麻等の薬物の危険性、有害性についての正しい知識の周知を図るとともに、取り締まりを強化してまいります。
 今後とも、県民となお一層連携し、凶悪事件への迅速な初動対応、暴力団排除活動への支援等を含め、治安情勢等に応じたタイムリーな対策を強力に推進し、県民の負託にこたえ、県民が誇りに思うことのできる佐賀県警察となるよう努めてまいりたいと考えております。



Mail : h-ishii@po.ktknet.ne.jp(2003年1月 開設)