第 1 回
九州各県議会議員研究交流大会
第 2 分 科 会
【長崎県議会 坂本智徳議員】
長崎県の坂本でございます。
時間の都合で早口になろうかと思いますが、どうぞご理解いただいて、ご容赦お願いいたします。長崎県における市町村合併の推進についてご報告をさせていただきます。長崎県においては、既に昨年の3月以降、これまでに4つの合併新市町が誕生し、去る1月4目には、県都長崎市に隣接をいたしております6町が編入された新しい長崎市が発足し、合併開始前の79市町村が56市町村となっております。このように、全国的に見ても早いぺ一スで合併が進展している背景といたしまして、合併を推進させる長崎県独自の支援施策の展開があると考えられますので、その主なものについてご報告をさせていただきます。まず、合併モデル案の提示であります。
例えぱ、長崎市とその周辺の町による合併協議については、この地域の中心都市である長崎市を中核とした、既存の広域市町村圏域を考慮した1市10町による合併や、広域連合などを重視した、長崎市の北部に隣接をいたしております9町による合併、さらに、10万人都市が誕生することとなる3町による合併など、複数の合併モデル案を提示することで、地域住民の方々の合併に対する関心を高めるとともに、合併の組み合わせの選択など、その課題と効果を認識していただく契機となっておるところでございます。
次に、長崎県の合併・新市町支援行動計画、「アクションプラン」というふうに呼んでおりますが、その策定がございます。これは、平成15年8月にまとめられたものでありまして、合併で誕生する新しい市や町が、地方分権の時代にふさわしい住民サービスの提供やまちづくりに、すぐに取りかかることができるように、人材育成や県事業のまちづくりへの協力などを通して、新市町を支援していくことを目的といたしているところでございます。このアクションプランの具体的丙容については、後ほど述べさせていただきます。
また、合併によって誕生した新市町に、県と新市町で構成する「新市町支援連絡調整会議」を設置いたしまして、合併後の課題や間題点など地域の状況を把握しながら、新市町への円滑な移行と自立した白治体の確立のための支援を行っております。この連絡調整会議は、これまでに誕生した5つの新市町で発足をいたしております。このように、合併の機運が高まった地域への情報提供に始まり、合併に向けた具体的な支援の実施、さらには合併後の新体制のサポートと連続、一貫した支援体制の構築が、本県における市町村合併推進の原動力となっているものと考えておるところでございます。
それでは、先ほど紹介しましたアクションプランの具体的内容についてご説明をいたします。アクションプランには、新市町への具体的支援策として、大きな3つの柱がございます。1つは、新市町の体制整備への支援。もう1つ、2番目は、行財政運営への支援。そして、一体的なまちづくりへの支援の3つでございます。
まず、新市町の体制整備への支援は、これまでの小規模な町村では、専門的な土木や福祉などの知識を持った職員の確保が難しかったため、早急に人材の確保・育成が求められるとのことから、新市町職員の研修や県職員の派遣、あるいは、県と市町村間の相互人事交流などを行っております。特に、合併によって町村から新市になりますと、福祉事務所の設置が必要となり、県から事務の移管が行われることから、そのスムーズな移管への支援には積極的に取り組んでいるところでございます。
2番目の行財政運営への支援につきましては、これまで、個別に事務事業を執行していたことから、電算システムの統合や庁舎の改修等にかかる臨時的な経費、新市町としての新たなまちづくり事業に必要となる経費などについて、合併後10年度以内に、20億円を限度として補助をいたしております。新市町合併支援特別交付金制度というものを、長崎県独自で設けておるところでございます。3番目の一体的なまちづくりへの支援につきましては、新市町が策定しました新市町村建設計画に基づいたまちづくりを行うときに、県としても、県事業の重点実施などで、地域の特色あるまちづくりを応援することといたしておるところでございます。以上が、アクションプランにおける支援施策の体系であり、県としては80を超える事業を盛り込んでいるところであります。
最後に、今後の新たな市町村合併に向けた動きと、これからの県の役割について、私の所見を交えてご報告をさせていただきます。今後、本県におきましては、3月に県央地域の1市5町が合併して新「諌早市」に、4月に佐世保市と周辺2町が合併して新「佐世保市」になることが、同じく4月に西彼杵郡北部の5町が合併して「西海市」が誕生することが確定しております。また、島原半島にございます北西部6町が10月に合併して、「雲仙市」とする合併申請を県に提出をいたしております。この結果、本年10月の時点で、本県の市町村数は、合併開始前の8市70町1村の79から12市27町1村の40に再編されることとなります。
このほかにも、本年3月の合併特例法期限までの県への申請を目指して、県内各地で法定協議会での合併協議が続けられておりまして、引き続き、県としてもその実現に向けて支援を行っているところであります。このように、市町村合併が進展していく中で、県の役割も当然ながら変化してきております。特に、保健・福祉の分野やまちづくり、先ほども話が出ました廃棄物対策、環境保全対策、地域住民の生活に直接かかわる課題について、住民に最も近い基礎的自治体である市町村の自主的、主体的な取り組みがますます重要になってきており、合併を契機として、市町村の事業執行能力が拡大、強化されている今目、地方分権の一層の推進と相まって、地域の課題は、市町村がその責任と権限において解決を図る方向に進むのではないかというふうに考えております。
県は、その総合調整と、県内全域に係る課題の解決や、九州全域にわたるような広域的施策の展開にシフトしていくことが、今後の役害割ではないかというふうに考えております。以上のとおり、本県における市町村合併の状況について、簡単ではございますが、報告とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。