第 1 回
九州各県議会議員研究交流大会
第 2 分 科 会
【熊本県議会 中原隆博議員】
熊本県議会議員の中原でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
私たちの目々の生活の中で、大手金融機関の合併やライバル会杜同士の合併など、生き残りをかけた民間企業の経営戦路が展開されております。市町村合併問題も、環境変化の視点でとらえ、市町村を取り巻く環境をどう受けとめ、どう対応するかに、今後のその命運がかかっていると、かように存じております。熊本県議会では、結婚や進路の選択と同様に、市町村の自主合併を尊重しながら、県の将来の姿とも密接に関係する問題と位置づけ、県執行機関とともに、重要課題の1つとして積極的に取り組んでいるところでございます。
合併間題が具体的に動き始めました平成12年の3月、全国2番目となる、熊本県市町村合併推進要綱を策定し、同年12月に県下全域での合併推進を図るため、知事を本部長とする「市町村合併推進本部」を設置、「市町村合併特別交付金制度」の創設や、市町村合併の新たなまちづくりを積極的に支援してまいっているところであります。同時並行的に、県議会におきましても、市町村合併間題全般を審議の中心とする地域開発特別委員会と総務常任委員会との両委員会で、数多くの審議を重ねてまいりました。平成15年度以降は、合併に向けた詰めの論議が深まってきたことを受けまして、廃置分合申請議案を中心に、総務常任委員会におきまして審議を行っているところでございます。
市町村合併の進捗状況は、平成15年4月に合併いたしましたあさぎり町を皮切りといたしまして、本年3月末までには、県内市町村の数は68となる予定です。来年の3月までには49市町村となる見通しです。合併問題が具体化した平成12年3月時点では、熊本県内には94市町村がありました。およそ5割の市町村に収れんされることになるわけです。なお、一たん解散した枠組みで再度協議を立ち上げ、合併成就に至った例を1つだけご紹介申し上げます。
それは、天草地域の合併協議会であります。合併成功の秘訣について、合併協議会会長の安田本渡市長は、「財政論議からスタートしたことを反省している。将来に向け、どういうまちづくりをやっておくべきかが重要で、天草を島に戻そう、1つの島としてのかたいきずなを重視するというキーワードをもって住民座談会等に臨んだ結果が成功に結びついた」と語っておられます。また、現行合併特例法のもとでの合併を選択しない市町村の数は、現時点で34程度となる見込みです。16市町村が人口1万人未満の小規模町村であり、これまで以上に厳しい行財政運営を迫られることが予想されます。本年4月以降引き続き、県議会も、地域自身の主体的な取り組みを的確に酌み取りながら、県執行機関とともに、合併新法のもとで積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。
さて、都道府県のこれからでございますが、おのずと変わらざるを得ないと思います。そのためには、都道府県から市町村への権限移譲をはじめ、今までの都道府県の役割を見直さなければなりません。本県におきましても、出先機関の見直しを検討いたしているところでございます。広域自治体のあり方として、先ほど来、お話がございますように、道州制の論議がされてまいっておりますけれども、道州制移行により解決できる政策課題は何なのか、詰めるべき点は多いと思います。
九州内におきましては、既に災害時相互応援協定や、観光・産業廃棄物税の導入、有明海・八代海再生など、広域的に共同対応している案件が増えてきている現状はご承知のとおりであります。去る1月21目、衆議院本会議における小泉首相の施政方針演説で、「引き続き市町村合併を推進するとともに、北海道が道州制に向けた先行的取り組みとなるよう支援いたします」と発言をなさいました。北海道における道州制の施行が順調に進み、地域活性化政策が展開できれば、ほかの地域でも道州制論議が熱を帯びてくるものと思います。北海道の道州制特区は、まさに試金石であると思います。
都道府県のこれからは、道州制も視野に入れた敢り組みが必要であると認識をいたしております。ご静聴ありがとうございました。