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平成21年度3月定例会
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回答
~石井ひでお議会での質問事項

2009.03.02 : 平成21年2月定例会(第3日) 本文


◎石井秀夫君(拍手)登壇=おはようございます。私は自由民主党を代表して質問をいたします。
 我が国、そして佐賀県は、かつてない難局に直面をしています。アメリカのサブプライムローン問題に端を発した金融危機は、百年に一度の恐慌と言われ、世界の経済、金融市場は大きく混乱しています。
 明治維新の立て役者、大久保利通は、「この難を、逃げ候こと本懐にあらず」と難局に立ち向かい、近代国家の礎を築きました。
 この危機に対応し、県民の生活を守るため、迅速かつ果敢な政策対応により、一日も早い景気回復を願わずにはおられません。この難局を県民の皆さんとともに切り開いていこうではありませんか。
 ところで、昨年からの出口が見えない不況が強まる中で、久々に私たちを元気づけるニュースが飛び込んでまいりました。去る二月二十二日、映画界最大の祭典であります第八十一回アメリカアカデミー賞で、滝田洋二郎監督の「おくりびと」が外国語映画賞を、また加藤久仁生監督の「つみきのいえ」が短編アニメ賞に、日本作品で初めて選ばれました。この二つの作品の同時受賞は初めてでありまして、心から拍手を送りたいと思います。
 それでは、質問に入ってまいります。
 まず、今後の県政運営についてです。
 ことしは、古川知事が平成十五年四月に就任されてから六年、二期目の二年が経過し、折り返しの節目の年となります。
 これまでの古川県政を振り返りますと、一期目は「オープン」「現場」「県民協働」をキーワードに、県民満足度日本一を目指し、さまざまな新たな施策に取り組まれました。
 二期目に入ってからは、「くらしの豊かさを実感できる佐賀県」を目標とする総合計画を策定し、その実現を目指すとともに、必要な財源を確保するため、新たな行財政改革緊急プログラムの策定など行財政改革にも取り組んでこられました。
 この間、九州新幹線西九州ルートやプルサーマル、城原川ダム、県立病院好生館の移転など、世論が分かれる大きな問題についても正面から取り組まれ、判断してこられたところであります。知事自身、これまでの任期を振り返って、改めて実感したこと、満足しているもの、取り組みが十分でなかったと考えているものなど、さまざまな思いがあると思いますが、これからの二年間は、これまでの経験を踏まえ、しっかりと腰を据え、県政運営に全力投球してもらいたいと思っています。
 昨年九月からのアメリカ発の経済金融危機が世界を覆う中、県内経済の厳しさについては論をまたないところでありますが、そういった経済情勢とも相まって、今、多くの県民は日々の生活や将来の展望について大きな不安を抱え、元気をなくしているように見えます。
 知事は、今議会冒頭の提案事項説明の中で、平成二十一年を「地歩を固める年」と位置づけ、何よりもまず足元の経済、金融を支えていくこと、雇用の安定など県民の不安を解消することを第一に据えて取り組むと述べられました。
 今後も県民の豊かな暮らしを実現するため、全力で取り組まれるものと期待していますが、二期目の折り返しに当たって、これまでの六年間の県政運営を振り返っての思いと、今後の県政運営に臨むに当たっての決意を改めて披瀝願いたいと思います。
 次に、財政運営についてでございます。
 県では、地方交付税の予想を上回る削減により、今後の財政運営が困難になったということで、平成十九年十一月に「行財政改革緊急プログラムVer・2.0」を策定され、将来的に持続可能な財政運営を目指して、財政の健全化のための取り組みをこれまで進められてきました。
 このような中、このたびの世界の金融資本市場における危機を契機とした世界規模での景気後退は、我が国経済にも深刻な影響を及ぼし、景気は急速に悪化し、県内経済もその影響を受けております。
 民間需要がこれだけ冷え込んでいる中では、景気の下支えや雇用確保を図るためには政府部門が財政出動をする必要がありますことから、国、地方とも極めて厳しい財政状況ではありますが、今回、県としては「行財政改革緊急プログラムVer・2.0」を一部見直し、緊急総合対策を優先して実施されるということは評価できると思います。
 この結果、佐賀県の平成二十一年度当初予算は、前年度比八・二%増と、全国の都道府県の中では最も高い伸び率の積極型予算となり、予算規模も平成十二年度をピークに減少が続いていたのが、九年ぶりに増加することになっています。国では、二十兆円とも三十兆円とも言われる追加の経済対策の話が出ているようですが、やはり経済がしっかりしていなければ、財政健全化の達成ということも遠のいてしまうのではないかということだと思います。一方で、中長期的な視点で見ますと、県財政を健全な状態に持っていく努力を怠ってはならないと考えます。
 今後、景気が早期に回復することを期待しているところですが、再び今回のような事態が起こるかもしれないという意識を持っておくことも必要であり、そのときに備えるためにも、しっかりとした財政運営を行っていく必要があると思います。
 県内経済を立て直しつつ、県財政の健全化を目指すという非常に難しい課題ではありますが、今後、どういう姿勢で取り組んでいかれるのか、知事の所見を求めたいと思います。
 次に、地方分権改革についてであります。
 地方分権改革推進法が平成十九年四月一日に施行され、内閣府に地方分権改革推進委員会が設置されました。この委員会は、「地方が主役の国づくり」「地方政府の確立」を掲げ、昨年五月に第一次勧告を、そして十二月に第二次勧告を内閣総理大臣に提出いたしました。
 特に、第二次勧告では、自治事務に対する義務づけ・枠づけの見直しとして、福祉施設の設置基準などを、国が政令等で定めることから、自治体の条例で定めることができるようにすること、自治体が作成する各種計画に対して国の同意、協議を不要とするなど、地方の自由度を高める内容が勧告をされています。
 また、国の出先機関の見直しとして、国の各省がブロック単位に設置している出先機関を、公共事業を実施する地方工務局(仮称)とそれ以外を担う地方振興局(仮称)に統廃合することが勧告されています。
 今後は、この春にも地方自治体にとって最も関心が高く、地域経営を進める上で重要な税財政制度に関する第三次勧告がなされる予定であり、その後に、政府として地方分権改革推進計画を作成し、閣議決定する運びになっています。しかし、一連の勧告がなされた以後も、依然として国の各省は強い抵抗を見せているのも事実であります。
 地方自治を充実強化し、地方自治体をしっかりした自治行政権、自治立法権、自治財政権を持つ地方政府とするためにも、各省の抵抗を政治の力で打ち破り、改革を進めることこそ政治の責任ではないでしょうか。
 これまでの地方分権改革推進委員会の勧告に対する知事の認識と地方分権改革の推進、地方政府の確立に向けて、第三次勧告に知事が期待するもの、そして分権改革に対する知事の決意について明確な答弁をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、玄海三号機プルサーマル計画についてであります。
 我が国においては、利用できる資源はできるだけ有効活用するため、一度使用した核燃料を再処理して、有用な資源であるプルトニウムを取り出し、再び燃料として再使用するという核燃料サイクル政策が進められています。エネルギー資源に乏しい我が国においては、このような政策を進めることについては私も理解をいたしております。
 九州電力では、この国の方針を踏まえ、玄海原子力発電所三号機においてプルサーマル計画を実施するようになっておりますが、一方で、実用規模でのプルサーマルについては、我が国で最初に実施されるということで不安感を持つ県民の方もおられます。県民の方に安心していただくためには、やはり安全の確保が大前提だと思います。
 知事は、平成十八年三月に、九州電力が玄海原子力発電所三号機でプルサーマルを実施することについて、事前了解の判断を行われました。現在、プルサーマルで使用するMOX燃料の製造もフランスの工場において完了し、その輸送が計画されているなど、いよいよ実施が近いものと思います。改めて玄海原子力発電所三号機におけるプルサーマル計画に対する知事の考えをお伺いいたします。
 次に、MOX燃料の輸送については、本年一月二十八日に、安全協定に基づく事前了解願が九州電力から県に提出され、県は二月二十六日に事前了解を行ったという報道がなされていました。
 県では、MOX燃料輸送の安全が確保されるとの判断で事前了解がなされたものと思いますが、九州電力の輸送計画の安全確保対策がどのようなものであるのかお伺いをいたします。
 繰り返しになりますが、プルサーマルを含め、原子力発電に関することについては安全確保が大前提です。MOX燃料が玄海原子力発電所に輸送された後、実際にプルサーマルが開始されるまでにどのような安全確保対策が行われるのか、また県としてはどのように対処していくつもりなのかお伺いをいたします。
 次に、有明海の再生についてであります。
 有明海の再生につきましては、これまで多くの取り組みがなされてきましたが、タイラギを初めとする有明海の水産資源はいまだ回復しておらず、有明海の環境異変は依然として続いている状況にあります。
 有明海再生特別措置法が平成十四年十一月に施行され、既に六年が経過しましたが、この間、県では有明海の海域環境の保全及び改善や水産資源の回復等による漁業振興対策が実施をされてまいりました。しかし、タイラギ漁も昨年十二月二十一日に解禁されたものの、これまでの貝柱水揚げ量は約〇・八トンと少なく、貝類漁業の深刻な状況が続いています。さらに、ここ数年好調でありましたノリ養殖も、有明海の西・南部漁場で年明けからノリが色落ちし、漁業経営に大きな影響を及ぼしています。また、貧酸素水塊や赤潮が多発するなど、有明海の海域環境は依然として厳しい状況にあります。
 このような有明海の厳しい状況に対し、今後、県はどのように取り組んでいかれるのか、知事の所見をお伺いいたします。
 有明海再生に向けて、根本的な解決をするためには、有明海異変の原因を究明することが重要であり、中長期開門調査等、徹底した原因究明調査の実施が必要であると考えます。
 このため、県議会では平成十四年以来、諫早湾干拓の中長期開門調査の早期実施を求める意見書を七回提出し、決議も二回行って、県も国に政策提案などで要請してきたところであります。
 平成二十年六月二十七日、佐賀地裁は、有明海沿岸の漁業者らが諫早湾干拓地潮受け堤防排水門の常時開放などを求めた訴訟において、国に対して排水門を五年間にわたって開門するよう命ずる判決を言い渡しました。
 それに対し、国は七月十日に控訴した上で、開門調査のための環境アセスメントを行うとの農林水産大臣談話を出し、九月三十日には環境アセスメントの指針が公表されました。しかし、その後、半年も経過しようとしていますが、これまで実施の具体的な動きが見えず、不安さえ覚えております。
 開門調査のための環境アセスメントを早期に実施させ、中長期開門調査の実現につなげるためにどのような取り組みをされるのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、地球温暖化対策についてであります。

 地球温暖化の問題は、人類の生存の基盤を揺るがす最大の脅威であり、人類が必ず克服しなければならない課題であります。
 世界の科学者で構成されているIPCC──気候変動に関する政府間パネルでは、繰り返し警鐘が鳴らされておりますが、化石エネルギーに依存した状況をこのまま続ければ、将来の世代を危機的な状況に追い込んでしまいかねません。今こそ、私たちは化石エネルギーへの依存を断ち切り、将来の世代のために、低炭素社会の実現に向かって動き出す必要があります。
 昨年の北海道洞爺湖サミットの首脳宣言では、二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を少なくとも五〇%削減するという目標を気候変動枠組条約締結国で共有することを求めており、我が国も二〇五〇年までに現状から六〇%から八〇%削減を目標として取り組んでいくことを決定しています。
 しかし、我が国は、昨年度から京都議定書の目標達成期間に入り、その国際的な約束を果たすため、不退転の覚悟で臨んでいるところでありますが、二〇〇七年度の温室効果ガス排出量の速報値を見ますと、削減目標の六%を達成するどころか、逆に八・七%増加しており、国際的な約束を果たすことは大変厳しい状況になっていると思われます。
 今日の世界的な金融危機の影響も懸念されるところでありますが、温暖化対策は緊急に取り組むべき課題と思います。これまでも地球温暖化対策については、国だけでなく、環境先進県を目指す本県においては、さまざまな取り組みが行われていますが、今後は、県民一人一人がみずから温暖化対策の意義と重要性を理解されるよう、県民運動を盛り上げていくなど、今まで以上の取り組みが必要と考えています。県では、この地球温暖化対策にどういう姿勢で臨まれるのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、少子化対策についてであります。

 本県では「子育てにやさしい社会を創る」という目標を掲げ、「佐賀県次世代育成支援地域行動計画」に基づき、子供に関するさまざまな施策の推進に取り組まれています。
 平成十九年の佐賀県の合計特殊出生率は一・五一となっており、全国で七位、九州では五位となっています。平成十八年の一・五〇と比較してみますと、〇・〇一ポイント増となっています。
 一方、出生数を見てみますと、平成十九年で七千七百三人と、昭和三十五年以降、下位から三番目の人数となっており、少子化に歯どめがかかっておりません。
 少子化が進行すれば、まちから子供たちが減り続け、過疎化、高齢化に拍車がかかり、地域経済の活力が低下するなど、将来の佐賀県に明るい展望が開けないのではと不安を感じています。少子化の背景には、経済状況、社会関係、価値観の変化、多様化など、さまざまな要因があると思いますが、対策としては、あらゆる分野にわたり、いろいろな取り組みを継続的に行っていく必要があると思っています。
 子育てをしている人たちには、子育てにお金がかかり、昨今の経済状況では、夫婦共働きでないと生活を維持できないという現実もあります。このため、子育て中の共働きの人を支える環境づくりが重要だと思われます。
 将来の佐賀県を見据え、少子化対策としてどのような支援を行い、どのような取り組みをしていかれるのかお伺いをいたします。
 次に、新県立病院の整備運営についてお伺いをいたします。
 県立病院好生館につきましては、佐賀市嘉瀬地区への移転改築計画が進められ、平成二十四年度中の開院に向けて、現在、基本設計が大詰めを迎えていると聞いております。新年度は、この基本設計を受けて、実施設計に移るとともに、移転用地の造成工事も始まり、いよいよ本格的に新しい県立病院建設に向けて動きだす記念すべき年になります。
 県立病院は、鍋島閑叟公により「好生館」と命名されてから、今年度で実に百五十年目を迎える歴史ある病院であります。また、県内唯一の県立病院として、かけがえのない県民の財産であると思っております。
 今回の嘉瀬地区への移転改築は、県立病院好生館にとりまして、まさに百五十年に一度の大事業であり、目標どおり開院できるよう着実に進めていく必要があります。
 さらに、運営形態につきましては、昨年十一月定例県議会における法人定款の議決を受け、平成二十二年四月から地方独立行政法人に移行することとし、先日、この法人の理事長として、十時忠秀医療統括監が就任されることとなった旨発表されました。
 佐賀大学医学部附属病院長時代に経営面で全国トップの実績を上げられた十時統括監の手腕には大いに期待するものであり、今後、十時統括監のもと、鋭意準備を進められ、病院運営のいろいろな場面で、現場の判断を生かしたスピーディーな対応を行うことで、医療を取り巻く厳しい環境を生き抜くことのできるたくましい経営体になることを期待しています。
 移転改築事業に要する費用は、現時点での想定として、概算で約三百億円かかると聞いています。着実に事業を進めていくためには、きちんとした予算措置が不可欠でありますが、現下の厳しい財政状況の中、予算の確保についてはどのように認識をされているのでしょうか。
 また、平成二十四年度中の新病院開院に向けて、事業の進捗状況はどうなっているのでしょうか。最近は豊富な情報をもとに、患者は病院を選ぶというよりも、医師を選ぶ時代になってきています。県立病院が患者に選ばれる病院となるためにも、よい医師を確保する工夫や努力が大事だと思います。
 例えば、佐賀県出身で県外で活躍している医師の中には、ふるさとに貢献したいと考えている人もおられるかもしれません。地方独立行政法人になれば、柔軟な職員採用が可能となり、こうした県外における優秀な医師を確保したり、他の病院で活躍しているすぐれた経営者や専門性の高い事務職員を採用するなど、経営面の向上が期待でき、そういう経営を続ける中で、職員全員が経営感覚を持つことにもつながっていくと思います。
 こうした観点から、地方独立行政法人の特徴を生かした病院経営と、魅力にあふれた病院づくりについて、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、新型インフルエンザ対策についてであります。

 先般、佐賀新聞に「もし新型インフルエンザが日本に上陸したら…。」という書き出しの有明抄が掲載をされていました。その中に、今から九十年ほど前に発生した新型インフルエンザ、スペイン風邪についての注目すべき記載がありました。それによりますと、当時の新聞には「悪性感冒襲来」と記され、ほとんどの小学校が学校閉鎖となったこと、どこへ行ってもせきの声を聞かないところはなく、熱冷ましの氷の値段が五倍にも暴騰したこと、一月余りで県内の死者が千八百二十二人に達したことなどが記されています。
 しかし、今では当時のことを語れる人はほとんどいなくなっています。
 新型インフルエンザという言葉は知っていても、それがどれだけ自分の身に降りかかる問題か、危機感を持っている県民はまだまだ少ないのではないかと私は感じています。
 佐賀県の対策としては、ことし一月に「佐賀県新型インフルエンザ対応行動計画」が第三版に改訂されました。非常にわかりやすく整理をされているんだなと感じました。しかし、この新型インフルエンザ対策は、県のみでなく、社会全体で取り組む課題であると思います。
 こうした中、県では市町版行動計画の策定や、ライフライン事業者を初めとした、企業の事業継続計画の策定に向けて取り組んでおられると思っております。特に、市町は住民に最も身近な行政機関であり、県は市町と協力しながら、この課題に取り組むべきだと思っています。
 県は今後どのような新型インフルエンザ対策を推進されていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、粒子線がん治療施設についてお伺いをいたします。
 粒子線がん治療施設につきましては、知事から提案事項説明の中で、進捗状況等について報告されましたが、必ず実現されるよう、大きな期待感を持って成り行きを見守っています。
 鳥栖地区に開設を計画する粒子線がん治療施設は、初期投資において百五十億円かかると試算されています。そのうち県は二十億円を負担し、残り百三十億円は経済界等からの出資や寄附等で賄う予定であると説明をされています。
 しかし、ここ数カ月来の経済状況を見ますと、残りの百三十億円は本当に集まるんだろうかという危惧をいたしております。知事としても、半年前の時点ではこれほどまでに経済が落ち込むとは恐らく予想されていなかったと思います。
 この百三十億円という目標額の確保については、例えば、県もプロジェクトチームなどを組織し、そして支援するなど相当の覚悟を持って臨む必要があると考えますが、知事の考えをお伺いいたします。
 次に、医療スタッフの確保について質問をいたします。
 粒子線がん治療施設を開設し、実際に治療を行うためには、熟練した技術を持つ医療スタッフが必要でありますが、粒子線がん治療施設がまだ普及の黎明期にあることから、その医療スタッフの確保は非常に難しいと聞いています。
 佐賀県鳥栖の地で安定的に医療スタッフを確保するためには、近隣の大学及び協力協定を締結された放射線医学総合研究所との連携協力が不可欠であると考えますが、人材確保に向けた取り組みと見通しについて、答弁を求めたいと思います。
 計画実現のためには、まだ数多くの課題が残されていると思いますが、知事を初め執行部におかれましては、当初の目標どおり、平成二十五年春には施設を開設できる不退転の決意で臨んでほしいと思っています。計画実現、目標達成に向けて、知事の決意のほどをお聞かせください。
 次に、商店街の活性化についてお伺いをいたします。
 県内各地の商店街では、車社会の進展、郊外への大型店の相次ぐ出店などにより、衰退傾向に歯どめがかからない厳しい状況となって久しく、商店街を通る人もまばらという現状です。このような商店街では、魅力ある店舗の出店も期待しづらい状況となっておりまして、さらなる衰退を招くという悪循環に陥っているように思われます。
 こうした中、国におきましては、商店街ならではの力を発揮してもらうため、商店街が果たしてきた地域コミュニティーの担い手という役割に焦点を当てた新たな取り組みを推進するための新法「商店街の活性化に関する法律」──これは仮称ですけれども──を今国会に提出する方向で検討されています。
 この新法では、商店街での高齢者、子育て支援施設の整備、宅配サービスの提供などの地域に貢献する取り組みや、地域イベント、商店街ブランドの開発などの地域の魅力を発信する取り組み等に対し、補助率を三分の二に引き上げて支援するほか、空き店舗対策の強化、人材育成の支援など、総合的に商店街への支援措置を講ずる内容になると聞いております。
 新法制定の背景にあるように、各地の商店街は地域の中心地として栄え、祭りや郷土芸能などの地域文化を支えるとともに、地域のコミュニティーの核として、地域住民の憩いや交流、娯楽の場としての機能を果たしてきました。こうした機能を果たしてきた商店街をこのまま放置すれば、地域コミュニティーの核がなくなり、結果として地域文化さえも支えることができなくなるのではないかと心配をしておりまして、県内の商店街の衰退は目を覆うばかりでありますが、いま一度、活性化に向けた取り組みが大変重要だと思います。
 これからの商店街の活性化につきまして、知事はどのようにお考えなのかお伺いをいたします。
 次に、佐賀県農業の振興についてであります。
 本県におきましては、農業は基礎産業であり、農業を振興していくことで、本県の持続的な発展を図る上で、極めて重要であると常々思っております。しかし、最近の農業を取り巻く情勢を見ますと、担い手の減少や高齢化の進行、農産物価格の低迷などに加え、燃油や配合飼料等の価格高騰、さらには、最近の金融経済情勢の悪化に伴う景気の後退など、極めて厳しいものがあります。
 佐賀県農業の基盤となっている水田農業の現状を見ますと、米価の下落や生産資材費の上昇、さらには、本県産米の主力品種であるヒノヒカリの作柄低下などから、農家経営は一層厳しさを増しております。
 また、米の需給と価格の安定を図るために実施されている生産調整、いわゆる減反について、石破農林水産大臣は、「米の生産調整については、廃止を含めた見直しを行う」とされ、現在、いろいろな議論がなされているなど、新たな動きもあります。
 こうした中、ヒノヒカリにかわる品種として注目されている新品種「佐賀三十七号」は、私も試食をしてみましたが、大変おいしく、農家の期待も大きいなど、明るい状況も見られます。
 また、最近の園芸農業を見てみますと、アスパラガスなどの産地拡大や、アイスプラントなどの新たな品目の取り組みが始まるなど、明るい話題も見られるところでありますが、高齢化の進行などに加え、最近の農産物価格の低迷や燃油等の生産資材費の高騰などから、営農をやめられる農家もあります。園芸農家の推移を、六年前の平成十五年と直近の平成十九年を比べてみますと、例えば、ミカン農家が四千百六戸から三千二百十四戸、イチゴ農家が千四百四十八戸から千二百九十九戸、お茶農家が千八百八戸から千五百八十二戸などとそれぞれ減少しております。
 また、畜産業では、配合飼料価格の高騰に加え、最近の景気後退による牛肉や豚肉など、畜産物価格の大幅な低下、さらには高水準で推移してきた肥育素牛価格も肥育農家の購買意欲低下により下落するなど、畜産経営は大変厳しさを増しております。
 中でも、本県の酪農につきましては、最近の牛乳消費の低迷から、牛乳の取引価格の安値が続き、非常に苦しい経営をされており、酪農家の方からは悲痛な声も寄せられております。事実、最近の五年間の飼養戸数の推移を見ますと、平成十五年の二百十戸から、平成十九年には百四十二戸へと減少しております。このように先の見えない農業情勢に、農家の皆さんは生産への意欲をなくしつつあり、このままでは佐賀県農業が衰退していくのではないかと大変懸念をいたしております。
 私は、佐賀県が発展していくためには、佐賀県農業が持続的に発展し、そして、そのためには農家の皆さんが将来に光が見え、意欲と誇りを持って営農に取り組まれるよう、基盤となっている水田農業の振興はもとより、収益性の期待ができる園芸や畜産などを積極的に振興していかなければならないと思っております。
 今後、水田農業、園芸農業、畜産の振興にどのように取り組んでいかれるのか、知事の所見をお伺いしたいと思います。
 また、現在、生産調整の見直しの検討が始まっているところでありますが、そのことについて、知事はどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
 次に、景気動向を踏まえた企業誘致の推進についてであります。
 本県の産業振興を図る上で、有力な施策である企業誘致につきましては、今年度の企業立地件数が十八件、新規地元雇用計画者数が千三百四十二人となっており、平成十五年度から現在までで、企業立地件数が百四件、新規地元雇用計画者数が七千七百二十三人と、順調に推移をしてまいりました。
 そうした中、内閣府によりますと、我が国経済は、平成十四年二月から平成十九年十月までの六十九カ月間にわたり拡大した戦後最長の好景気を経て、景気後退局面に入ったとされ、その後、原油などを初めとする原材料価格の高騰や米国のサブプライムローン問題に端を発する世界的な金融不安、急激な円高などにより、平成二十年九月以降、百年に一度とも言われる深刻な不況に突入し、企業の業績悪化や、これに伴う雇用情勢の悪化が連日報道をされております。
 また、先日発表された昨年十月から十二月までのGDP──国内総生産の伸び率は、年率に換算で一二・七%のマイナスとなり、二けたのマイナスは石油危機直後の昭和四十九年以来三十四年ぶりのこととなっており、戦後最大の危機と言われております。
 このように、国内の経済情勢は予断を許さない状況で、企業の設備投資意欲は急激に冷え込んでおります。企業誘致を推進するためには、極めて厳しい状況であると認識をしております。
 しかしながら、企業誘致は新規雇用創出効果を初めとして、地域経済の活性化や将来にわたる税収確保をもたらす、持続的な自治体経営に不可欠の重要施策であり、厳しい経済情勢のもとだからこそ、知事みずからのトップセールスを含め、知事がみずから先頭に立って、さらなる推進を図っていくべきであると考えております。
 そこで、最近の景気動向を踏まえ、佐賀県の経済活性化のかぎとなる企業誘致に今後どのように取り組まれるのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、佐賀県観光の振興についてであります。
 観光は、地域経済の活性化や雇用の創出、地域ブランドの形成などに寄与する重要な産業であります。しかし、日本政府観光局──JNTOの発表では、二〇〇八年の訪日外国人数は前年比〇・一%増で、過去最高の八百三十五万人となったものの、世界的な景気後退や円高の影響等もあって、八月以降減少局面に入り、下半期は前年比八・八%の減となりました。日本人の国内旅行の動向につきましても、回数、宿泊数とも横ばいか落ち込む傾向にあります。もはや、官民が共通の認識を持ち、協力して観光の振興に知恵を絞る時期に来ているのではないでしょうか。
 政府は、訪日外国人数を二〇一〇年までに一千万人にするビジット・ジャパン・キャンペーンを展開中で、昨年十月には新たに官公庁を設置し、観光立国の実現を目指した取り組みを推進しています。
 観光客をふやすためには、団体客の動員とか一過性のキャンペーンでは限界があり、個人客が自由に旅をし、楽しんでいただける環境づくりが重要で、何度でも来ていただける工夫と仕掛けが必要ではないでしょうか。そういう意味では、観光客をふやすにも、発想の転換が求められます。観光、旅行を狭い枠組みでとらえず、多様な旅行商品企画は有効だと思います。例えば、佐賀県固有の伝統、文化、歴史、産業、自然などの観光資源の活用があります。また、町並み、産業施設(企業)、昔ながらの素朴な家庭料理など、身近なものこそが魅力的な観光資源になるのではないでしょうか。農業など、県内産業への波及効果も期待できると思います。
 若者や高齢者、女性や学生、小さな子供を持つ母親、都会から佐賀に移り住んでこられた方など、いろんな人の意見を聞くなどして、佐賀県発のアイデアを生かした佐賀県の観光振興を推進してはどうでしょうか。知事の思いと考えをお聞きしたいと思います。
 次に、九州新幹線についてお伺いいたします。
 平成二十三年春の全線開業に向けて、九州新幹線鹿児島ルートは残りあと二年となり、佐賀県区間の工事も順調に進められています。西九州地域の新しい玄関口となる新鳥栖駅は、日ごとにその姿を完成形に近づけつつあり、開業への期待を感じさせます。
 西九州ルートにつきましては、昭和四十八年の整備計画決定以来、これまでさまざまな議論を経て、昨年三月二十六日にようやく武雄温泉─諫早間の工事実施計画が認可されました。昨年十一月には西九州ルートでは初めての建設工事となる俵坂トンネル(西工区)も発注され、新年度からは本格的な建設が始まると聞いております。
 西九州ルートにつきましては、国の平成十九年度及び二十年度予算に事業費ベースでそれぞれ十億円が計上されていますが、佐賀県区間における現在の進捗状況はどうなっているのでしょうか。また、国の二十一年度予算に西九州ルート全体で五十億円が盛り込まれたと聞いております。佐賀県区間でどのような整備が行われる予定なのかお伺いをいたします。
 次に、西九州ルートにつきましては、その開業効果はもとより、建設時から県内への経済的な効果を期待するところも大きいものがあると考えております。
 このような中、昨年四月、知事はみずから、建設主体である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の理事長に対し、建設投資効果の県内への拡大について提案をされ、事務的にも調整を行われていると聞いております。
 県の提案に対する鉄道・運輸機構の対応は厳しいものがあるとのことですが、今後とも県として、県内経済の活性化のために積極的に取り組んでいただきたいと思っておりますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、西九州ルートの在来線走行区間であります肥前山口─武雄温泉間は、単線のため複線化が検討をされております。現在、県から国に対して新幹線の負担スキームでの整備を要望されていると聞いております。どのような負担スキームになるのかは、今後の国との協議次第と思いますが、整備に伴う県負担が発生した場合、沿線市町の負担をどのように考えておられるのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、西九州ルートは、新鳥栖から武雄温泉間では在来線を走行する計画となっています。在来線の沿線住民の皆さんからは、運行本数がふえることによる踏切における渋滞や安全性等に対する不安の声も聞こえております。西九州ルートの開業までには約九年という期間があるものの、できるだけ早くその不安を払拭する必要があると考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 報道によりますと、県は鹿児島ルート及び西九州ルートに係る県負担の増額を国や鉄道・運輸機構から打診されてはいるものの、具体的な県負担の増加額は示されていないとのことですが、県民の皆さんの関心は、県負担がどの程度になるのかということにあります。
 まず、佐賀県の県負担額の試算を県民に示すとともに、県負担がないよう国に対して求めていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、有明佐賀空港についてお伺いいたします。
 昨年、開港十周年を迎えました有明佐賀空港は、平成十六年七月からの夜間貨物便の就航や、平成十七年十月に続く昨年十一月の東京路線の増便など、これまでの利用促進の取り組みが着実に実を結び、近年、利便性が向上しています。しかし、現下の厳しい経済情勢のもと、航空需要の低迷による路線の廃止や減便が全国各地の空港で進められており、有明佐賀空港が生き残っていくためには、これまで以上に利用者確保の取り組みが重要であります。
 また、夜間貨物便につきましては、羽田空港の新滑走路工事の影響により、昨年七月から佐賀発羽田行きの便が運休し、九州から首都圏向けの夜間航空貨物の輸送が休止されるなど、九州の航空物流に影響が出ています。さらには、平成十八年一月に運航が始められた台湾からのプログラムチャーター便は、昨年八月以降は台湾の景気低迷の影響で運航実績がなく、県内各地の観光客誘致に影響が出ています。
 このように、有明佐賀空港は現在多くの課題を抱えており、この空港をこれから将来に向かって大きく育てていくためには、まずは有明佐賀空港がこれまで歩んできた十年を振り返り、収支の問題なども含め、反省すべき点はきちんと反省した上で、これからの取り組みを進めていく必要があると考えております。
 県は、有明佐賀空港のこれまでの十年をどのように評価しているのかお伺いをいたします。
 また、県は、最近の厳しい経済情勢を踏まえて、航空旅客の需要や交通物流の動向を注視しながら、平成二十二年十月末の羽田空港新滑走路の供用開始など将来をしっかりと見据え、旅客便や夜間貨物便の利用促進、国際チャーター便の誘致促進などの課題に対し、精力的に取り組んでいく必要があると考えます。
 今後、有明佐賀空港の活性化に向けてどのような目標を持って、どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
 次に、道路特定財源の一般財源化に伴う今後の道路整備の進め方についてであります。
 道路は、企業誘致や観光振興といった産業面のみならず、通勤通学や物流、救急医療などの県民生活や社会経済活動を支える最も基礎的な社会資本であり、地域が一体となって発展していく上でも、重要な役割を担っています。特に、公共交通機関が利用しやすいとは言いがたい我が県では、交通手段のほとんどを車に頼っており、一世帯当たりの自動車保有台数も二台を超え、全国平均を大幅に上回っているなど、自動車への依存度が高く、日常生活や産業を道路が支えている状況であります。
 しかし、県内の各都市や隣県都市を結び、地域間の交流を支える有明海沿岸道路などの広域的な幹線道路ネットワークや、それを補完する幹線道路、また、通学路や生活道路の交通安全対策など、県内にはまだまだ整備が必要なところが数多く残されており、県内各地域からも、道路整備に対する要望は非常に大きいものがあります。
 このような中、平成二十一年度から道路特定財源制度が廃止され、一般財源化されることに際し、地方道路整備臨時交付金にかわるものとして、地域活力基盤創造交付金──これは仮称ですが──が創設されることとなるなど、地方への一定の配慮はあるものの、必要な道路がおくれるのではないかと危惧をされております。
 県民の中には、県財政が厳しい中であっても、少しずつではありますが、着実に整備されてきた身近な生活道路などが整備途中で休止に追い込まれるのではないかと不安に思われている方もたくさんおられます。今後の道路整備予算はどのような見通しであるのか。また、このような情勢の中、必要な道路整備を今後どのように進めていこうとされているのかお伺いをいたします。
 次に、建設業の経営安定化対策についてであります。
 県内の建設投資額は、国や県の財政悪化に伴う公共事業予算の大幅縮減により、ピーク時の平成五年度七千三十四億円に比べ、平成十九年度は三千九百八十四億円で三千五十億円、約四三%と大幅に減少しております。
 一方、建設業者数は、建設投資額ピーク時の平成五年度末三千六百七十一社に対し、平成十九年度末は三千四百四十二社で二百二十九社、約六%と、わずかな減少にとどまっており、建設投資額に対する過剰な状況となっています。
 また、条件つき一般競争入札が全面導入された平成十九年度の平均落札率は八六・二%であり、指名競争が中心であった平成十七年度に比べますと八・五ポイント減少しており、建設業者の生き残りをかけた過当競争に突入している状況下にあります。
 このような状況を受け、県としても、工事の品質確保や下請業者へのしわ寄せ防止の観点から、平成二十年度に最低制限価格制度から低入札価格調査制度に移行されるとともに、低入札調査基準価格を予定価格のおおむね八五%に引き上げられました。その結果、平成二十一年一月末現在の平均落札率は八八・六%と、二・四ポイント上昇したところです。しかし、依然として低入札基準価格付近での競争は続いています。
 また、設計に用いる労務単価、普通作業員を例にとりますと、ピーク時の平成十年度の一万八千七百円が、平成二十年度は一万二千二百円と、六千五百円、約三五%も落ち込むなど、工事の設計価格が縮減しており、建設業者の利益率は低下してきています。現在の急激な景気後退と相まって、建設業者の経営環境は非常に厳しい状況が続いているところであります。
 そもそも、県内建設業は、社会資本整備の担い手であり、かつては農閑期の農業従事者の雇用の受け皿となるなど、長い間、地域社会の経済や雇用の下支えを行うとともに、台風等の災害発生時には、道路、河川のパトロールや応急復旧への対応、冬季の路面凍結などの維持管理に昼夜を問わず従事されるなど、県民の生活安全に寄与されており、なくてはならない重要な産業であります。
 戦後最大の危機と言われる景気の冷え込みにより、建設業界も大変な状況に直面をされており、今後倒産が予想される建設業者が多数発生することが懸念されています。
 このような中、県では今回の緊急総合対策として公共事業費の増額が盛り込まれましたが、これらに関連し、さきの緊急総合対策の質疑の折、我が自民党の福島光洋議員が最低制限価格を引き上げるべきではないかと指摘をしましたところ、県土づくり本部長からは、入札制度の見直しの中で検討したい旨の答弁がなされました。
 建設業の地域における役割の重要性や直面している経営危機を勘案しますと、最低制限価格引き上げなどの入札契約制度の改正を決断すべき時期に来ていると私は考えますが、知事の建設業者の役割に対する評価と制度改正について、前向きな答弁をお願いいたします。
 次に、教育行政についてお伺いをいたします。
 初めに、学力調査と学力向上等への取り組みについて伺います。
 昨年度から全国規模での学力調査が開始され、本県は全国平均と比べて小中学校の三領域では全国を上回るか同程度のようですが、残り五領域では下回っており、特に活用を問うB問題に課題が大きいようです。私も一人の県民として、全国平均程度の学力は身につけさせたいと願うものであります。
 ところで、調査を契機に、一部では市町村別等の結果公表の是非が議論されていますが、私はこうした議論以上に、まずは本来の趣旨であります調査結果をもとに、学校等がおのおのの教育の改善に生かすという点にもっと力を注いでいただき、教育水準の向上にぜひ役立ててほしいと思います。
 ただ、教育の質の向上には競争は不要なのかというと、そうではないと考えます。よかったか、悪かったかなどの短絡的な議論ではなく、みずからの結果と、国や県と比較して、どこに課題があるのかを見直すことは、授業や学校運営の改善に資すると考えるからです。
 調査開始以来、注目されている秋田県では、他県と比べて児童生徒の授業や家庭学習への意欲が高く、また、学校も課外の補充指導や授業での発展的指導、学力調査を踏まえた授業改善などに熱心であるとされています。
 施策面では、本県同様、少人数指導や学力調査等がありますが、同時に、学力向上推進班による訪問指導に熱心であり、私は施策や制度の充実のみならず、こうした地道な取り組みこそが学力面の成果をもたらしているものと思っております。つまり、「教育は人なり」との言葉のように、訪問指導による外からの刺激が教師の意識を変え、教育活動が変わり、それが施策の効果的な運用や、児童生徒の意識の向上にもつながっているのではないでしょうか。
 本県でも、昨年来、結果の分析や施策の改善とともに、教育長がこれまで力強く答弁をされてきたとおり、「学力調査等分析・改善支援プロジェクト」等による訪問支援の強化に取り組まれていると聞いています。こうした教育委員会の取り組みも踏まえ、学力調査の結果公表のあり方や、調査結果を活用した学力向上などへの取り組みについて、知事としてはどのような所見をお持ちなのかお伺いをいたします。
 次に、不登校対策としての魅力ある学校づくりについてであります。
 高度情報化の進展や少子化の進行など、社会が急激に変化する中で、子供たちが置かれている環境はますます厳しさを増してきています。次代を担う子供たちがそうした環境の中で、しっかりとした学力、豊かな人間性や社会性を身につけ、健やかに育っていくことは、ひとしく県民が願うところであります。
 本県におきましては、未来をたくましく切り開き、他人を思いやるなどの豊かな人間性を育て、生涯にわたってみずから学ぶ意欲を養うなど、生きる力を身につけさせるために、県教育委員会では、佐賀県教育の基本方針を定められ、行政機関と学校とが一体となって、しっかりとした教育実践が行われてきており、敬意を表したいと思っております。
 しかし、そうした取り組みにもかかわらず、学校現場に目を向けてみますと、いまださまざまな課題を抱え、学校の先生方は相当の苦労をされているとも聞いております。学力の問題、いじめや暴力行為などの問題行動、不登校など、早急に解決しなければならない課題が山積しています。
 特に不登校につきましては、文部科学省の調査によりますと、全国的にも増加の傾向にあり、佐賀県においても、平成十九年度における県内公立中学校の不登校数は増加傾向にあり、憂慮すべき状況にあると認識をいたしております。
 子供たちは本来、学校が好きなはずであります。学校でいろいろなことを教わり、体を鍛え、友と語らいながら、将来の人生設計図をつくっていくものでしょう。それが学校に行けない、あるいは学校に行かない子供がふえていると聞きます。私はこのような傾向をストップさせなければならないと強く感じています。そのためにも、何といっても学校が魅力あるものでなければなりません。今の学校は、子供たちにとって魅力あるものになっているのでしょうか。
 私はこれからの佐賀県を支えていく子供たちの将来のために、不登校対策を進めるに当たっては、子供たちが進んで登校したくなるような魅力ある学校づくりが必要であると考えています。
 県教育委員会としては、不登校対策についてどのような取り組みを行っていかれるのか、川崎教育長にお伺いをいたします。
 次に、警察行政についてです。
 昨年は、全国で通り魔による無差別殺傷事件や、元厚生省事務次官をねらった殺人事件等社会に大きな衝撃を与える凶悪事件が発生する一方で、高齢者等を食い物にした振り込め詐欺事件や食の安全を脅かす事件、市民層にまで蔓延しつつある大麻による薬物汚染など、市民生活に不安を与える悪質な事件が相次いで発生した年でもありました。
 また、県内に目を向けますと、全国的に交通事故死者数が減少しているにもかかわらず、昨年は六十八人もの方が交通事故によりとうとい命を落とされました。増加率で全国ワースト一位となったほか、高齢者や主婦等が被害に遭っている振り込め詐欺についても、被害総額が一億円を超えたと報道されておりました。さらに、最近、社会問題となっています大麻汚染につきましては、インターネットを通じて拡散している状況にあると承知しており、県内への波及も心配されるところです。
 私はこのような県内の状況から、ことしも凶悪事件や暴力団情勢を初めとした治安上の不安要素が一層厳しさを増してくると感じているところでもあります。申し上げるまでもなく、良好な治安は県民生活の基盤となるものであり、県警にはこうした情勢を厳しく認識していただき、県民とともに佐賀県の安全・安心の確保に取り組んでいただきたいと願っています。
 県警察としては、高齢者の交通死亡事故や振り込め詐欺、あるいは大麻による薬物汚染などの現状を踏まえ、県民の安全・安心を確保するためにどのような取り組みを行っていこうと考えておられるのか、警察本部長の所見をお伺いいたします。
 以上、二十項目について質問をいたしました。古川知事、川崎教育長、伊藤警察本部長の力強い、そして真摯な答弁を期待して、私の代表質問を終わります。(拍手)











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