イカリムシ、チョウは、錦鯉や金魚などの観賞魚の寄生虫としてよく知られている。春から秋にかけて発生。
症 状
イカリムシに寄生されると、部分的に発色、充血し、粘液の異常分泌や上皮細胞の増殖のため、多少隆起したようになる。
寄生部位には3〜12o程度の棒状の虫が突き刺さっていて、肉眼で容易に確認することができる。
チョウ(ウオジラミ)の病魚は胸鰭を小刻みに動かしたり、背鰭をふるわせたり、体を異物にこすりつけるような、通常と異なるさまざまな動きをする。
飛び跳ねたり、過敏な泳ぎ方もする。
対 策
ピンセットで除去するか、マゾテン・ディプテレックスなどの散布による駆除を行う。また傷跡への二次感染を防ぐため、エルバージュやパラザンD
(抗菌剤)や消毒薬で消毒を行う。
マゾテン・ディプテレックスによる駆除
チョウ(ウオジラミ)・イカリムシ発生を予防するには、越冬した雌虫から幼虫が生まれる4〜6月頃水温が15℃以上になる時期に2〜3週間の
間隔で2回くらい池全体に散布するのが効果的。
流水の池では、1〜2時間止水することが必要。
池の中のアオコや有機物はメトリホナート(マゾテン、ディプテレックス)を分解するため、これらの多い池では効果のないことがある。
- 水産用マゾテン液、20〜2.5ml/t
- 水産用マゾテン粉末、0.2〜0.5g/t
- ディプテレックス、0.2〜0.5cc/t
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発生時期
水温14〜15℃で発生し、20℃以上の高水温時に多い。主に春から秋にかけて発病するが、
加温越冬では冬でも発生する。夏季の稚魚や当才魚では、急速に進行し、死亡率は高い。
鰓腐れ病
鰓腐れ病は、泳いでいる姿だけで発見するのは困難で、注水口に寄っているとか、鰓蓋内に白いものが見えた場合に、
鰓蓋を持ち上げて観察することが必要。何となく元気がない、底に沈んでいる、餌の食いが悪くなった、フラフラ泳ぐなど、
多少おかしいと感じた時には鰓腐れ病と疑ってみる。
初期には、鰓の先端や一部だけが白くなり、または鰓弁に黄白色の小さい付着物が出現し、
粘液の異常分泌が起きる。次に鰓弁はうっ血し、暗赤色となり、小さい出血点が多く現れる。食欲低下、
動作が緩慢になり、群れから離れるようになる。
重症になると、池底に沈んだり、横転したり、時には狂奔して泳ぎ、壁にぶつかって死ぬこともある。
欠損部には泥や水生菌が付着して汚い感じがし、鰓の組織は崩れて軟骨だけになってしまう。
鰓の付け根が白く変色したり、鰓蓋を開いた時に鰓が白く見えるようになる。眼球のくぼみやむくみが起こり、
ここまで進行すると、遊泳時にもそれとわかるが、手遅れになることが多い。
口腐れ病
口腔や口部周辺が赤または黄色の炎症を起こす。進行するとただれ、眼球のくぼみや腫れぼったくなり、口吻の先端から黄色、 灰白色に変色し、
患部組織はぼろぼろと崩壊しやすくなる。発病魚は食欲が衰え、注水口に寄ったり、物陰で静止、または水面を浮遊し、
群れから離れていることが多い。摂餌ができないため衰弱、排水部に寄って死に至る。
鰭腐れ病
各鰭が赤く充血し、先端部から徐々に白く変色し、溶けたようになり、簡単に発見できる。進行すると鰭膜が溶けて、
鰭条部分だけが残り、箒状になる。伝染力が非常に強く、重症の場合は全身に感染し死亡する。初期のうちは遊泳の異常などは見られない。
皮膚のカラムナリス病
体表に白色、淡黄色の付着物が付いたように見える。進行すると体表が白い粘膜で覆われ、脱鱗や粘膜の剥離が生じ、
白いボロ布を着たようにぼろぼろになる。また、魚体はむくみ、体を擦り付けたり、ローリングしながら水面を漂うか、
静止する異常遊泳が見られる。この場合は手遅れで死亡することが多い。最初から皮膚感染することもあるが、
多くの場合は鰭腐れ病、鰓腐れ病、口腐れ病などが先行する。とくに幼魚に発生しやすく、眼球のくぼみを伴い、浮腫症のような症状になる
治 療
- エルバージュの短時間薬浴、50〜100g/t、4時間。
- エルバージュと食塩の薬浴、10〜20g/t、食塩5s/t、7〜10日間
- テラマイシンと食塩の薬浴、30〜50g/t、と食塩5s/t、7〜10日間
- テラマイシンの短時間薬浴、水1トン当たりテラマイシン250g/t、4時間
- パラザンDと食塩の薬浴、100ml/t、食塩5s/t、10日間
経口投与
- テラマイシン散の経口投与、1日に魚体重1s当たり0.01〜0.05g
- パラザン経口投与、パラザンは1日に魚体重1s当たり0.1〜0.2gを5〜7日間。
- エルバージュの経口投与、1日に魚体重1s当たり0.5gを5日間。
- サルファ剤の経口投与、ダイメトンなど。
予 防
予防には、病原菌を観賞池や養殖池に持ち込まないことが必要。新しい鯉を池に入れる場合はエルバージュで薬浴。外傷は早く治療する。
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白点病は、錦鯉に限らず、魚を飼育したことのある者なら一度は目にする最もポピュラーな魚病である。白点病は、発病すると進行が早く、伝染性も高く、最も警戒を要する病気の一つでもある。水温25℃以下で一年中発生し、特に水温が変わりやすい春先や、梅雨時、秋口には発病しやすい。また、移動などで急激に水温や水質が変わると発病する場合が多い。白点病は早期発見が第一で、初期のうちに治療をすると、すぐに白点がとれて健康体に戻る。
症 状
初期には、胸鰭、頭部などにケシ粒より小さい白点が生じ、次第に全身に広がっていく。白点は指の腹で触ると砂粒状に感じられる。体を池底にこすり付けるような動作が見られ、食欲がなくなり衰弱し、注水口に集まったり、水面を浮遊したり、池底に静止したりする。また、狂ったような動作を見せることもある。
症状が進むと、寄生部からは多量の粘液が分泌され白濁する。頭部よりも体部、とくに背部に大量に寄生する傾向があり、体表が赤く充血する。魚は体を壁などに擦り付け、症状はますます進み、重症になると表皮が剥離してボロボロになる。
また、体表や鰭にたくさんの白点が見られる場合は、例外なく鰓にも寄生を受けている。鰓にのみ寄生した場合は、食欲不振、注水部に寄るなどが見られるが、鰓の粘液が多く分泌される以外の肉眼による判断は困難である。鰓に寄生すると酸素不足に極端に弱くなり、大形魚でも死亡することがある
治 療
- 10%食塩水、食塩10s/t、1時間の薬浴。三日間
- メチレンブルー1〜2g/t、数日間
- マラカイトグリーン0.1〜0.2g/t、数日間
- エルバージュ、10g/t、食塩5s/t、10日間
- ホルマリン、20〜25cc/t
- 市販薬、ハイトロピカル、またはグリーンFを所定の濃度で五〜七日間薬浴
- 28℃以上に水温を上げる、繁殖停止して自然治癒する。
予 防
白点虫は、新しい魚体や水とともに池に侵入することが多いので、新しい鯉を入れる時は、予防、駆虫をしてから池に放す。
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本病では治療法が明らかになり、かなりの重症鯉でも治療は可能になっていますが、治療するまで一カ月前後を要すること、治療した場合でも、後遺症などにより観賞価値が低下することから特に早期発見、早期治療が重要です。
魚を移動したり、新たに鯉を購入したなどで発病の危険が感じられた場合には、鯉をビニール袋に入れて、下から魚体の各部を観察するなどして、早期発見に努めて下さい。イカリムシ等の寄生がないのに鱗1枚程度が発赤または充血していたり、鰭の先端が出血して欠けているなどの症状があれば、本病の疑いがあります。
少しでも症状が確認されたら、早期に治療して下さい。
経口投与、薬浴による治療
この方法は庭池や蓄養池などの飼育魚全てを集団で治療する場合に適しています。なお、1尾でも病魚がみられた場合は、他の魚も感染している可能性が高いので、この方法により池全体の魚を治療して下さい
- エンロフロキサシン(バイトリル10%液)、体重1s/0.05〜0.1mlを餌量の80〜50%の餌量に吸着 経口投与
- 水産用フロルフェニコール2%液剤、体重1s/0.5mlを餌量の80〜50%の餌量に吸着 経口投与
- パラザンD、100ml/t
- エルバージュ、5〜10g/t
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錦鯉の乳頭腫は、浅黄や黄金系統などの比較的に真鯉に近い品種に発症しやすいのが特徴である。魚齢では2〜4年魚に多く、
主として秋から春にかけての低水温期する。本症のみが原因で斃死した例はみられないが、観賞魚としての価値は著しく減少するために注意を要する。
症 状
頭部や鰭、鱗などの体表に、不透明で白色または淡桃色のやや扁平なイボ状隆起物が形成される。
乳頭腫の大きさや形、数などは固体によりさまざまで、手で触れるとやや硬い感じがし、無理に剥離出血をおこす。
対 策
まれに放置したままで治ることもあるが、25゚C以上の水温で1週間以上飼育すれば乳頭腫は消失して治る例が多い。
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錦鯉の卵巣腫は、成熟した雌魚にのみ発生する病気で、重症魚は斃死するが、他に感染することはない。
症 状
卵巣にできる腫瘍により、腫部が局部的または全体的に膨満するが腫瘍形状が進行するとともに膨満症状も大きくなり、
背こけ症状や膨満部の鱗が立鱗症状を呈したり、眼球突出をみることもある。産卵期においては卵巣の成熟による腹部
膨満がみられるため、本症と区別し難しいこともある。
対 策
現在のところ、外科的に腫瘍を摘出する以外に治療法はないが、初期の病魚ほど治る例は多い。また、
定期的に産卵させることが発病を減少させる方法と思われる。
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体表がむくんで鱗が立つ病気で、その格好が松かさに似ているところから、松かさ病ともいいます。
症 状
エロモナス細菌が主原因だといわれて、血液中に侵入し細菌が腎臓を冒し、全身に水腫ができて立鱗病(松かさ病
の症状が現れます。また、寄生虫や傷口から感染する場合と、餌の過食により消化不良を起こして腸炎になったとき、
患部から感染する場合もある。
治 療
- 食欲があるうちに、エルバージュ(サルファ剤)や水産用パラザンなど抗菌剤を鯉体重1kgに0.1〜0.2gを投与
餌を食べないような場合は、オキソリン酸を0.05%溶液での薬浴。
対 策
エロモナスは感染力が強くないので、水質管理に気をつけ、餌を与え過ぎなければ、まず病気にかかることはありません。
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魚が水面にもがくように上がってきたり、底に沈んだり、逆さになって浮く。
症 状
魚が普通の姿勢がとれず平衡失調を起こして水中を自由に泳げなくなる。
原因としては、不適当な餌をやり、消化不良になって、ふくらんだ腸が浮き袋を圧迫した場合、また水温が急に
下がって、消化力が衰えて、体が弱った時うきぶくろの脂肪変性等によって起こる。
対 策
一度かかると治療は困難! 偏食、過食に注意し、低水温が永く続く場合は注意する。
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低温の水に急に鯉を移動したりすると、間違いなく鯉はカゼをひきます。
温度差が5℃以上あるとカゼをひきやすいので、注意が必要です。
症 状
皮膚全体が薄白っぽい膜でおおわれ、動作が鈍くなる症状が現れます。
治 療
- 3%食塩水に入れ、水温を上げて様子を見る。元気になったら元の所へ戻します。
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四季を問わず発生する。特に水温の急変、環境、栄養状態の悪化や、飼育管理の不備などが要因となって、鯉の体力が低下した時に症状が出る。
症 状
食欲がなくなり、水面近くを浮遊したり、または注水口に集まる。また運動が不活発になり、粘液の異常分泌で、特に頭部が白濁し、体は充血する。
治 療
- 過マンガン酸カリウム、1トン当たり2g、水温15℃以上の時は、水1トン当たり3gで薬浴、または散布。
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、浮腫症に罹った鯉は3日ぐらいで全滅すると言われてきたが、最近では、病気の進行の穏やかなタイプの浮腫症も多くなっている。1週間〜10日をかけてぽつぽつと死んでいったり、浮腫が一部の鯉に見られるだけで、他は元気に泳いでいるという状況も見られる。
浮腫症は梅雨期に発生しやすく、水温が25℃を越えると発病が見られなくなる。
症 状
外観状は浮腫、眼球の落ち込みが特徴で、また、体表の出血や立鱗を見ることもある。病魚は遊泳を停止し、平衡感覚を失い、一斉に水面に浮上し、水流に流されて注水口や排水口付近に集結してしまう。 同様の症状は、別の原因による病気でも見られることがある
治 療
- 食塩 水1トン当たり、食塩5sで3〜5日間の薬浴。
- 食塩+抗菌剤 テラマイシン(水1トン当たり50g)又は、エルバージュ(水1トン当たり10g)又は、パラザンD(水1トン当たり100ml)の混合薬浴を3〜5日間。
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---上記薬品の使用方法など一応の目安です。詳細については、獣医師や専門店にお尋ね下さい。
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